9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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見えない者たちの暗躍、その裏

 

「おーす、元気にしてるかぁ? (あづま)

 

 ここはどこかの建物の中、乱雑に物が散らかったボロボロの部屋。

 

 周りはコンクリートがむき出しになっていて、明らかに生活感のない場所。

 

 そしてこの建物には《2人》だけ人がいる。

 

「なんだ貴様、また私の邪魔をしに来たのか?」

 

「おいおい……そりゃ酷いだろ。《ヴァルハラ・ソサイエティ》とやらから助けてやったのにその扱い?」

 

「貴様如きの力を借りなくとも私は奴らを倒せた。どこまでいっても邪魔しかせん男だ」

 

 そんな2人の会話を覗き見る。

 

()()()()は、先程より更に干渉を強めた。

 

「あのお人形さんが消える前に言ってただろ? 中途半端な攻撃は逆に相手を強くする。明らかにお前、あの時遊んでただろ」

 

「ヤハハ、遊ばなければつまらない、元より私はこのような小細工をせずともこの圧倒的な力で打ち勝てるのだ」

 

「んまぁ……なんだ、もう面倒だからそれでいいや」

 

「それで? 貴様はわざわざこんな所へ何を伝えに来た」

 

「んぁ? あー、なんだっけ…………ま、そのうち思い出すでしょ」

 

「食えん男よ」

 

 そんな会話の中、半裸の男は突然身体を激しく動かしだし、見えぬ影と戦うように拳を突き出す。

 

 まるで身体を確かめるように。

 

 その行為が一通り終了したあと、ニヤッと口を動かした。

 

「うむ……なるほど……」

 

「お? もう万全なのか?」

 

「問題ない。では早速、奴らを殺しに────」

 

「だから無理だって、あの……なんだっけ、《魔境》の能力を潰さないと反射されたら俺たち何も出来ねぇんだからさ。(あづま)だって得意の能力反射されてたじゃんか」

 

「不服だ、どれだけ強力な電撃を浴びせようと、あの《鏡》に触れると全て弾かれる。しかしそれを真っ向から激しく打ち砕いてこそ《絶望》の2文字はより強く響くのだ。元より私はそのような手段には頼るつもりは無い」

 

「だからアイツらの仲間に薬を摂取させたんだろ。もう誰にどうしたのかは覚えてなさそうだけど、事実としてあいつらは《何か》を探してる。それは成功した何よりも証じゃないか、あともう少しだ」

 

「それこそ私は覚えていない。確かに伝言通りの薬の摂取はした記憶があるが…………その相手を全く知らない。男か女か、人がそれ以外か、影形すらも断片がない」

 

「んや俺も「誰か?」と聞かれちゃあ答えられないが…………ぼんやりとは何となく理解できてる気がするくらいだ。少なくともそうなりゃ成功だろ、お人形さんもそう言ってたじゃんか」

 

「あやつも気に入らん。私たちを利用するだけ利用して殺し合いをさせようとするハラだ。手のひらで転がされているのは非常に腹ただしいが…………ここでは殺しを正当化される。それが無ければあいつから殺しているところだ」

 

「……まだ誰も殺してねぇだろあんた」

 

「黙れ、(てつ)

 

「はいよ」

 

 あの半裸の男の高圧的な態度にも決して怯まず、どこか気だるそうに頭をポリポリと掻く彼は、何かを思い出したかのように言葉を続けた。

 

「そうだ、そうだ、そうだった……ほら、あいついたじゃん、あの…………《イヤリング》のアーティファクト持ってたやつ」

 

「ん? あぁ……私たちの勧誘を断った────」

 

「そっちじゃない方、仲間の方だ」

 

「アイツ……か、あれもあれで名を名乗らんからな……不届き者が多すぎる」

 

「まぁそれぐらいの方がむしろいいでしょ、ベタベタに信用されてるよりもマシだと思うね、俺は」

 

「それでそいつがどうしたのだ」

 

「とりあえず…………これ、穂織って所に行ってきたお土産だってさ」

 

「なんだ? それは」

 

「ほら、色んなところを旅するのが好きって言ってたじゃん? それでその……穂織って場所に行ってみたんだってさ、それでプリンのお土産。お近付きのしるしってやつじゃない?」

 

「…………よくわからんな、貴様ら」

 

 気だるそうな男は差し出してきた紙袋から1つのプリンを取り出し、もぐもぐと食べながら会話を続ける。

 

「ま、これはついでであってだな。本題は…………美味っ! 本題は、次は誰を狙うかを話し合おうって言ってた。アーティファクトは気持ち次第で強くも弱くもなるらしいから、周りの仲間をもう1人くらい苦しめてからの方が確実じゃないか? って……………………プリン美味っ!」

 

「だから私はそんな無粋な真似はこれ以上しないと言っている」

 

「そんでな、俺の意見を言わせてもらうと…………次の標的はあの子がいいと思うんだよ」

 

「貴様らで勝手にやっていろ。私はそろそろ向かうぞ」

 

「だから止めろって、いちいち助けに行かなきゃいけない俺のことも考えろよ」

 

(てつ)、いくら貴様でも限度があるぞ? あまり私を怒らせすぎるなよ」

 

(あづま)……だったらもう少し協力しろよ、俺たち全員の目的は同じだろ? 時間がかかって腹立つのはわかるが……焦ってもしょうがない、地道に少しづつ削ろう」

 

「ふん……」

 

「話を続けるぞ? それで、次の狙いはあの子にしようと思ってる。ほら黒いフードを被ったあの子に」

 

 

 

 

 

 

 ………………………………

 

 

 

 

 

 ブツン──────────────―

 

 

 

 

 

 

 

 





あら、この私が動けないからって覗きはダメよ?せっかく面白くなってきたのに…………

あの時は私の力足らずでわからなかったけど…………そう、アナタではなく()()()()()が新たな力を手にしていたのね、《オーバーロード》を…………

でも、まだ力を上手く扱いきれていない。あの子がいつどこでその力を渡したのかはわからないけど……完全に失敗しちゃったわ。

これでまだ勝負は分からない。でも油断は禁物よ?何が起こるかわからないんですもの。

現に私の知ってる《歯車》とアナタたちが知ってる《歯車》は噛み合わない。この世界は全てが違う。今までの経験のほとんどが無意味になっちゃったけど……それは、私だけじゃないわよね?

だからこそ楽しみましょう?彼らが狂うのをひたすら待って…………

この世界の私がどう動くのか、楽しみだわ。



いつかまた会いましょう?それまで…………不正はやめてね?

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