9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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4月30日 都√
2人の始まり


 

「おい、大将」

 

 んん…………九條さんの好きな人……か。ちょっと気になるような気にならないような……

 

「おーい、聞こえてんだろ?」

 

 俺には関係ない事だとは理解してるけど、やっぱりあんな愚痴をポロリと聞いてしまったらどうしても気になるよなぁ。

 

 もちろん両親に強制されている訳じゃないだろうし、あくまで九條さん本人が恋愛に興味を持てば……くらいにしか思っていないと思う。

 

「ダメだなこりゃ、何も話を聞いちゃいねぇ」

 

 でもやっぱ相手が悪いよなぁ、娘の立場になれば全てがやりにくくなるのは簡単にわかるだろうに。将来のためにわざとそういう状況を作ったりとかしてるのか? 

 

 だとしても余計なお世話だよな。

 

 ……それに本人から相談されたとはいえ助けを求められた訳では無い。やっぱり考えるだけ無駄か、なんとか自力でどうしかす────

 

「ふー……」

 

「はぁんっ…………」

 

 突如として両耳から襲ってくる温風。そのむず痒さに身悶えし、変な声が出てしまう。

 

「…………いやオレもノリノリでやっといて言いにくいんだけど……本当に気持ち悪いな……」

 

「じゃあやんなよルナッ!」

 

「お前がオレたちの話を全然聞かねぇのが悪ぃんだろうが! 厄介事は全部オレたちに任せやがって……」

 

「あ……まぁその件に関しては悪いとは思ってるよ、だからちゃんとしてくれたら何でも言う事1個聞いてやるって約束だったろ?」

 

 4人で公園の中で時間を潰していた日から1日経過した。今は次の日の夕方。あの時は集まれる人たちを集めて何か作戦でも考えようとしてたんだけど、レナ&ルナが今のお前は集中力に欠けてるから無駄。と真っ向から言われて結局集まらないことにした。

 

 確かに彼女たちの言ってたことは正しかったのかもしれない。

 

「やっぱオレたちが合ってたな、大将、昨日からずっと九條のことを考えてる。オレたちにはバレバレだぜ?」

 

「レナはいい子だなぁ……頭撫でてやろうか?」

 

「あんまり調子乗ってたらぶっ飛ばす」

 

「そんなにいい子じゃなかった」

 

 やれやれ……意外と人の面倒を見るって大変だよな。コイツらはその気になれば飯とか風呂とかも絶対要らないんだけど……せっかく一緒に住んでる(というか俺そのもの)のに何もしてやらないってのも人として……なぁ? 

 

 かと言っていきなり2人分も生活費が増えると流石の俺も直ぐに死ぬので、父親に電話を掛けて仕送りの金額アップを頼んでみると…………

 

 連れ込んでいる女の子が2人とも可愛いからと言ってアホみたいに金額がアップした。ぶっちゃけ良くて3倍くらいになるかと思ってたら7倍くらいになった。

 

 逆に申し訳なくなってくる。それでも俺に送っている金は「その程度」らしい。まぁ……バイトもしてねぇし完全に甘えきってるからあえてもう何も言わないけど。

 

「とにかく聞けよ、一応オレたちで軽くは探してみたけど……まぁそんな簡単には見つからねぇのはもちろん、大した問題も出てない。つまりは何も進展がなかった、以上」

 

 と雑な説明で終わらせるルナだったが…………きっとそれが事実なんだろう。たった一日で何かが変わるなんて思ってもいないし、なんならこれだけじゃあこれから先も何も変わらない可能性もある。

 

 でも何もしないよりはマシだろ。

 

「そっか悪い。ありがとな、こんな無謀な事させてさ」

 

「いいさ、人使いが荒い扱いには何故か慣れてる」

 

 ……コイツらは前契約者に関しての記憶は持ち合わせていない。理由は不明だが……そもそもとして1つのアーティファクトが分裂するなんて事態そのものが特殊というか異常。そのせいでどんな不都合がでてきても正確に理由を明らかにすることができない。

 

 でも俺と契約する前の《感覚》は覚えているようで、ルナは前の契約者からはいい扱いをされてはいなかったようだ。

 

 まぁ……俺と契約したあの日、俺だけが分かってた事実だが、《雷》のダメージが全く癒えていなかった。つまりはあんなレベルの怪我を負っていたにも関わらず放置されていたんだ。

 

 挙句の果てには捨てられている。こんな話があるか……

 

「だからそう嫌味を言うなよ……ちゃんと納得のいく報酬も与えるつもりだって」

 

「そりゃもちろん貰うぜ? な? 蓮雫」

 

「あぁ、当たり前だ蓮華」

 

「あの……マジで恥ずかしいからその呼び方止めてくんない? レナとルナでいいじゃん」

 

 あれからというもの、こいつら2人はよほど気に入ったのか、単純に俺に対する嫌がらせか知らないが、お互いのことを《蓮》の付く名で呼び合うようになった。

 

 わざとらしくハッキリと。だからこそ俺は意地でもその名では呼ばない。

 

「で、まぁその辺の話はどうでもいいとしてさ、なーにをそんなに考えてるんだ? 大将」

 

「考えてるっつーか……なんだろ?」

 

「安心しろよ、お前みたいな変態野郎にゃ、あのお嬢さまは釣り合わねぇから」

 

「あのなルナ、キミはその変態野郎と共存してるんだけど?」

 

「でもお前オレには全然手を出さねぇじゃん? 蓮雫には耳かきして貰ったり、マ〇〇に顔突っ込んだりしてセクハラしたりしてたんだろ?」

 

「あの……下ネタ普通に言うのやめてくんない? この作品あくまでR15だから……」

 

 普通にハッキリ言いましたよ? この子。これ大丈夫? ピー音入ってる? ちゃんと伏字になってる? 

 

「……思い出しただけでイライラしてきた」

 

「だからごめんって! 別に意図してやった訳じゃないって何度も言ってるじゃんか!」

 

「偶然ならなんでも許されると思ってんのか!」

 

「んな事言ったらレナだって俺の貴重なファーストキス奪っただろうが! こっちだって文句言ったらァ!」

 

「奪ったってなんだよ! どっちかと言えば大将が奪ってきたんだろうが!」

 

「しろって言ったのお前だろっ!?」

 

 

 

「まーた始まったよコイツら…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《視点切り替え》

 

 

 持ち物良し……。服装も…………うん。バッチリ。

 

 上手くやり過ごさないと……もしも恋愛に関するお話になっちゃった時は誰も傷つけないように、自分の意思を伝える。

 

 私にとっては難しいことだけど…………だからこそ乗り越えなきなきゃ。

 

 す、す……! 好きになった人と一緒にいられるように……! 

 

「…………ッ!///」

 

 な、なななっ、何を考えちゃってるんだろう……! 私……! 

 

 鏡に写っている耳まで真っ赤になっている自分を見つめながら、私は最後に貸してもらった黒い伊達眼鏡を耳に掛ける。

 

 ……本当に一緒にいてくれてるみたい。なんだか勇気が湧いてくる。

 

「ふふっ……!」

 

 思わず顔がにやけてしまう。

 

 でもこんなことじゃいけない。これからはもっと気を引き締めないと……! 

 

「…………♪」

 

 彼の物を貸してもらえてるってだけで、こんなにも嬉しくなるなんて思わなかった。

 

 今の私なら、何とか出来るかもしれない。

 

「頑張ろうっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時はそう思ってた。

 

 また昨日みたいな日々に戻れると…………





こんにちは主です。

昨日、堂々と次回投稿は明日を予定していると宣言しておきながら、全然早いタイミングで投稿する形となりました。
ですが…………どうか笑って下さい。申し訳ありません。

そして、予告していた通りに今回の投稿を持ちましてアンケートを終了して頂きます。
まぁ…………正直この点差はひっくり返らないなと薄々感じていましたので……大目に見て下さい。

というわけで…………結果、都√に突入が確定しました。とは言っても何やら雲行きが怪しい様子、この先はどうなるのか?どうぞお楽しみ下さい。

ちなみに《都√Bad》と《都√Good》両方用意しております。どうか良い選択をなさるよう…………
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