9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
《視点切り替え》
「くどくど! くどくど! なのだわなのだわ! なのだわ────っ!!」
「悪い大将……くどくどなのだわ言われても全然わかんねぇ……」
そこは伝われよ。漫画とかでよくある感じだろ。
「物分りが悪い女だな」
「なのだわ語で無茶苦茶言われて言葉の本質なんて理解出来るわけねぇだろ常識的に考えてそこまで察せる奴なんていねぇつーのどんだけ自分勝手なんだよそんなんだから彼女の一人もできねぇんだろ
「止めて! 理不尽に怒ったのは謝るからそんなこと言わないで! ごめんなさいッ!」
……あれ? なんで俺の方が立場が弱くなってるんだ……? つか口悪っ!?
「おーい蓮太ぁ、冷蔵庫ん中なーんも入ってねぇぞー」
ルナは俺たちのことなんてガン無視で冷蔵庫漁ってるし。これは……あれかな? もう俺って威厳なんて何も無い感じかな?
「もうお前すっかり慣れてきてるなぁ……」
つっても……そうか、そう言えば最近買い物に行ってなかったな。そろそろ買い直さなきゃいけねぇかな……
「んー……、じゃとりあえず俺は外で食うけど、お前らどうする? 今日はなんか食うか?」
「オレは食う」
パタンっとルナは冷蔵庫の扉を閉めて、おそらく中に入っていたのだろう小さいサイズのラムネ缶を飲んでいる。
前からちょいちょい思ってたんだけどコイツらの中に入っていった食料たちはどうやって消えてるんだろ? 消化もしないし便意も無いし、システムがわかんねぇ。
まぁアーティファクトなんて非科学的な物にロジックを求めるのもおかしな話だろうけどさ。
「じゃレナも来るか?」
「ん」
2人とも来るなら……最初から能力使ってた方がいいよな。非常時以外で外で無闇矢鱈に消したりする訳にはいかねぇし。
んー……それならバイクは使えないな。3人乗りなんて出来たとしても色々とめんどくせぇことになる。だとすると歩きになるが…………しゃあねぇ、適当に近場の店で済ませるか。
「じゃ行こうぜ、なんだか腹減ってきた」
「そりゃ
使わせたのは誰だよ。
…………俺か。
…………
……
……
ブラブラと3人で街中を歩きながら、何を食おうか悩みながら店を探す。
別に気分的には何でもいいんだが……やっぱりこの2人にはせっかくものを食べることができるようになったんだ。(理由は謎だけど)色々と食わせてやりたいってのが本音。
チラチラとさっきから目に入るのは…………牛丼屋。いやぁ……これは別に後でもいいだろ。ラーメン屋。まぁ……ラーメンかぁ……
定食屋。うーん…………種類があるから無難っちゃ無難だが……
「んで、お前らは何食いたい………………ってなんでそんなに楽しそうなんだ?」
いつの間にか先導してしまっていたことに気がついてくるりと身体をレナとルナの方へ振り返らせると、普段よりも若干浅くフードを被った2人はどこかむず痒そうに、でも嬉しそうに少しだけ表情を緩ませていた。
「別に、何でもねぇよ」
「……?」
よく分からない2人を一旦放置して、スマホを開いて近くの店を探してみる。
んー…………
「な? 大将と契約して良かっただろ?」
「なんつーか……慣れねぇ」
「
「蓮雫も普通に喧嘩とかしてるもんな」
「それだけ、
「やっぱダメだ、俺じゃ全然決まらねぇよ。なんにする?」
って……コイツら人が一生懸命店探してやってるってのに何をコソコソ喋ってるんだ……?
「別に、オレたちゃあお前の食いたいモンで構わ────」
と、話している途中でさっきまで表情を緩ませていたルナの顔が引き締まる。
まるで危機がすぐそこに迫っているかのように。
「…………おい大将。後ろ」
続けてレナもそう言った。
威嚇するような目つきで俺の背後を睨み続ける2人と同じように、またもくるりとその場を振り返ると…………
「…………ッ」
商店街を歩く人々の奥に、不自然に俺たちに視線を向けている人影が。
そしてソイツが近くにある、建物の上にある大きな電子看板に向かって腕を上げると…………そこから鳥のような形の影が、残像残すスピードで猛突進する。
するともちろんその看板はバチバチと漏電した電気を弾きながら、大きな破壊音とともに地面に激突するように落下した。
「おい……アレ」
「わかってる! 行くぞッ!」
「はぁ…………ったく」
アレは明らかに《アーティファクト能力》だ。紋章こそ目には見えなかったが、わざわざ俺たちに見せつけるように仕向けたのはそういうことだろう。
つまりはこれをすれば俺がキレる事も知ってたはずだ。わざとなんだ。
強く地面を蹴り続け、次々に人混みを躱してあの人影の方へ走り続ける。レナルナはそんな人を避ける仕草が面倒なようで、看板やゴミやなにかの箱等、そこら辺にある物を踏み台にして左右の壁沿いに密着するように入っていた。
「レナッ! ルナッ! 先に追いかけろ! 俺はあの現場に怪我人がいないかを確認してから向かう!」
「「了解ッ」」
俺に返事をすると、今まで気にしていたことを振り払うように更にその移動速度を上げて、タタタンッと随分と慣れたような動きで障害物を越えていく。
普段はああだけどいざと言う時はちゃんと指示通りに動いてくれる。最低限の信頼はあるようでよかった。
「少しの間……頼むぞ、2人とも……!」