9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
《視点切り替え》
真冬の空のように冷たく凍えた風が吹く中、私たち《ヴァルハラ・ソサイエティ》は1つの豪邸に向かって歩く途中で、ある人物の姿を発見した。
四肢を無造作に固定されたような痕の先に、その四点と口からドクドクと出血している箇所を放置して、無理やり這いずるように赤黒い液体が道路にこびりついている。
とは言っても這いずったと言えるほど進むことは出来ていない。けれどその姿が力の限り振り絞った結果なのだろうと容易に想像することができた。
そんな
「ねぇ……竹内先輩、大丈夫ですか……?」
途中で蓮雫が急に顔色を変えて、近くにコンビニで簡易の医療道具を買ってくれとせがんだ理由が、今になって理解出来た。
来る途中である程度の出来事は彼女から直接聞いていたけれど…………このまでとはね。
「専門の知識を持ち合わせていないからハッキリとは言えないけれど、少なくとも死んではいないわ」
心の底から心配しているであろう天が、横で不器用なりに手伝ってくれる。
「蓮太……完全に気を失ってるよな。それくらい酷くやられたって事かよ…………!!」
「ええ、意識は飛んでるわね。これだけ身体を動かしても眉一つ動かさないところを見ると、そのダメージは壮絶でしょうね」
彼は気を失っている今でも、力強く唇をかみ締め、涙と跡を残している。
「あの子が
「そうね、もう引き返せない。彼らは最早放置はもちろん、救出する対象でもない。私たちの仲間を傷つけた《罪》は…………重い」
ある程度の応急処置をきっちりと済ませ、最後にそっと指先で涙の跡を拭き取ると、私はゆっくりとその場を立ち上がり、彼の怪我をしている部分を目視確認して、くるりと振り返る。
「大将の事は蓮華が内側から面倒見てくれてる。大将自身の治癒力を促進させながら周囲を警戒してくれてる」
「貴女は残らなくてもいいの?」
「オレはいい。確かにオレも与えられた分を返したらもっと大将は楽になるだろうけど…………蓮華に任せられたからな」
ギュッと深くパーカーのフードを被り、その赤い瞳でこれからの目的地である家を睨む彼女。
この場にいる皆が抱いている感情は……重なってるみたいね。
「そこで休んでいなさい、蓮太。後のことは私たちに任せて」
不自然な程に人通りが無い道路を封鎖するように、横一列になって私たちは歩みを進める。
春風と天、蓮雫と新海くん、そして私の5人。
各々が様々な感情を胸に抱いて、あるひとつの目的のために同じ方向へと先を急ぐ。
「あの大罪人を捕らえて…………相応の罰を与えるわ」
私と同じように…………貴方を愛した彼女を助ける為に。
《視点切り替え》
「…………来たな彼らが。どうする? 与一」
「わざわざ僕らが出しゃばるとこじゃないでしょ、でもまぁ…………やられっぱなしってのは癪だし、しっかりと借りた分は返すけどね〜」
流石にあの状況で乱入しても、負けるのは目に見えてたからね。僕はもう《眼》を使わなきゃまずいし……出来るなら1体1の状況を作りたいところ。
でもあの獲物は取られちゃったから……
「僕らは九條さん一行を追いかけようか。どの道彼女達があの場に残ってる1人を倒しても、もう九條さん達は行ってしまったからどうしようもないだろうし」
「珍しいな、君が彼らの協力をするなんて」
「悔しいけど僕と蓮夜だけじゃあ返り討ちにあいそうだからね、なかよしこよしなんて面倒で大っ嫌いだけど……お返しの為ならなんだってするさ。次はもう手を抜かない」
「殺す気で行くから」
「君が決めたことなのなら、私はそれに従うまでさ。それならひとまずは潜入の件も小休止だな、最優先で九條氏を追いかけようか」
「蓮夜も手を抜かないで全力でいくんだよ? その
「善処しよう」