9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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大変遅れてしまいましたが、今からでも注意喚起を残させていただきます。

前回警告させていただいた時よりも、この回のお話は胸糞注意です。
特に都推しの方々には大変大きな不快感を与えてしまう恐れがあります。最悪ここのお話のみ飛ばしていただいても構いません。
それでもBAD√の最終話が気になるという方のみ読み進めていくことをおすすめ致します。

注意喚起が遅れてしまい申し訳ありませんでした。深く謝罪致します。


‪✕‬ 都BAD√ フタリ END

 

「うああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

 

 何度も何度も机やパソコンを投げ捨て、棚や壁を壊す。

 

 ベッドもグチャグチャになりクロスは破れ、窓ガラスは粉砕。

 

 いくら殴っても、いくら蹴っても、いくら壊しても心は落ち着かなかった。

 

「おいっ! 止めろ大将ッ!!」

 

 無造作に暴れ回る俺を止めようとレナが押さえつけようとするが、もう身体が止まらない。

 

 理性なんてものはとっくに壊れていた。

 

 部屋にあるものは全てボロボロ、まるで俺の心情を表しているかのように崩壊したその空間は、留まることを知らずにどんどん壊れていく。

 

「この……いい加減に…………! しやがれっ!!」

 

 そしてそんな俺にレナは荒っぽい蹴りをぶち込み、俺は勢いよく壁に飛ばされて体を打ち付ける。

 

「あぐっ……!?」

 

 それからレナは俺の胸ぐらを掴んで、震える拳を我慢しながら俺に叫んだ。

 

「今暴れても何も変わりゃしねぇだろうがっ!! 苦しい気持ちは吐くほどわかる! 辛い気持ちはクソほどわかる! お前の中に溢れてくるその《殺意》が痛いほどオレに流れてくるからなッ!」

 

「アンタが都を心の底から好きだった事もわかる! だからこそお前が立ち上がれよ! 一生の傷を背負っちまったけど、都はまだ《生きている》! 死んじまった天や香坂が守り通したアンタが《生きている》!」

 

「希亜も翔もアンタがこんな形で終わることを望んじゃいないはずだ! テメェは誰なのかすらも覚えてねぇだろうがなッ!!」

 

「こんだけの人間を犠牲にしてきたんだ! 意地でも助けろッ! 死んでも助けろッ! お前はみんなの意志を背負ってるんだ! 一人一人の魂の意志を受け継いできてるんだッ!!」

 

 最後に怒りに任せた乱暴な態度で壁に向かって頭をぶつけられたあと、途端に落ち着きを取り戻していく。

 

 誰一人守れなかった事実が、重く俺にのしかかってきていて…………何故俺だけが生きているんだと死にたくなる。

 

 いや……違う……! 

 

 違うのはわかってるんだ……! でも…………! 

 

「じゃあ……! 俺はどうしたらいいんだよッ!! もうどこを探したって……都は…………!」

 

「いる」

 

「…………」

 

「初めて石像を見つけたあの公園だ。蓮華がたった今見つけたらしい」

 

 なんで……

 

 なんで……? それじゃあこのビデオはなんなんだ? 

 

 さっきまで俺が見ていた地獄のような映像は一体…………

 

「さっきの動画、日付が5日だった。つまりは3日前って事だ。今あの公園にいることも可能性としては十分に有り得る」

 

「でも……蓮華は大将は連れてこない方がいいかもって言ってた。もしかしたらひどい目にあわされている可能性もあるが…………行くだろ?」

 

「行く……! 絶対に行く……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 がむしゃらに走ること約10分。ビキビキと痛覚が悲鳴をあげているが、そんなものを気にせずに目的地である公園に向かってただただ走る。

 

「痛っ……!」

 

 身体を激しく動かすと、潰れた左眼が膨張するように痛む。血流が早くなって一度に送られる血の量が増えたからだろうか? 

 

 これ以上血を早く流していると本当に破裂してしまいそうだ。

 

 いや、そんなものはどうでもいい。

 

 今は本当に都がそこにいるのかどうかを確認できたら…………! 

 

 そしてとうとうたどり着いた公園。日曜日の昼時ということもあってか、幼い子供から高齢者の人、赤ん坊を連れている母親たち、移動販売をしているクレープ屋のおっちゃんなど、なかなかに色んな人が集まっていた。

 

 彼らは至って普通に日々を過ごしており、特に不思議な違和感は感じない。

 

()()()()を除いて。

 

 俺はそれに気がつくと自分の身体なんて顧みずに、公園の真ん中に堂々と立っている大きな時計台に向かって駆け寄った。

 

 至って変哲のない時計台だが、おかしいのはそれじゃない。

 

 俺は急いでその時計台に縄で括られている裸の都を救出した。

 

 刃物がない代わりに自分の歯を使って噛みちぎり、体の所々が青く腫れている都を両手で受け止める。

 

 彼女はずっと目を閉じたままだ。

 

 呼吸は…………している。心臓も動いている。よかった…………ちゃんと生きてる……! 

 

 体は本当にボロボロになってしまっているが、幸いと言うべきか切り傷などは見当たらない。強く殴られたような痕は幾つも残っているが、なんとか生きてくれている。

 

「都……! 都…………!!」

 

 イカのような臭いや、雑俳ゴミ……下水のような酷い臭いを漂わせている。

 

 きっと……この一週間はまともな生活を送れていなかったんだろう……! 

 

 きっとゴミクズのように…………ただの雌として道具のように使われていたのだろう……! 

 

 それがどれだけ辛かったことか……死にたかっただろうか…………! 

 

「ごめん……! ごめん……! 本当に……もう二度と離さないから……! 絶対……絶対離さないから…………!!」

 

 そんな彼女をギュッと抱きしめる。

 

 眠ったようにじっと目を閉じ続けている大好きな彼女を。

 

 

 

 

 

 そんな時だった、俺の真後ろに誰かがやってきたのは。

 

「久しぶりね、竹内くん。私の事覚えてる?」

 

 背後から聞こえてきたその声の主は、顔を見なくても一瞬で理解出来た。

 

 あの爆発女だ。

 

「絶対……! 絶対離さない! もうあんな目には絶対遭わせない!!」

 

 振り返らずに、ただひたすら都を守るために体全体を使って抱きしめる。

 

 それくらいの抵抗しか出来なかった。

 

「いいわ、もうあの人はその子には興味無いようだし。また別の女の子を探して遊ぶって言ってたわ」

 

「ならもういいだろ……! 二度と俺たちの前に現れないでくれ!!」

 

 そんな気まぐれで都をこんな無惨な目に遭わせたのかと思うと本当に腹が立つが…………そんなことよりも早く去って欲しかった。

 

 もう俺たちに興味が無いのなら消えて欲しかった。

 

「えぇ、もう貴方たちの前に立ちはだかることはないわ。だから最後の報告に来たの」

 

「世間では《九條 都》はもう死んだことになっているわ。()()()()()という名目でね。そしてその子の父親と一気に距離を縮めれたあの人は、無事にコロナグループに自在に操れる手駒を置くことに成功。度重なる失敗や情報の漏洩が原因で、天下を握っていた大手グループも今や倒産寸前、ほぼ壊滅状態と言っていいわ」

 

「一週間でこんなにも大きく事を動かすなんて予想はしていなかったけれど……まぁさしたる問題ではないわ。これで白巳津川を初めとした様々な機関や会社が大きく崩壊を開始した。そして近衛グループがそれらの問題を無事に解決、まさに《英雄》となったのよ、あの御曹司様は」

 

「だから貴方がどれだけ暴れても、簡単に消すことが出来るこの事実を、忘れないでね」

 

 …………

 

「地位も金力も力も、もう全てあの人は手にしている。今回ばかりは敵が悪かったわ、運が悪かったと諦めるしかないのだけれど…………これからは静かに頑張って」

 

 もう……どうでもいい。

 

 アイツがどれだけ偉かろうが、どれだけ凄かろうが興味がなかった。

 

 もう俺たちとは関わらない。この事実だけが本当に本当に……嬉しかったんだ。

 

「それからその子……都ちゃんはもう目が覚めることはないわ。ちゃんと生きてはいるけれど…………黙らせるのにちょっと乱暴なことしちゃってね、気がつけば壊れちゃった」

 

 …………

 

「外傷性脳損傷……と言った方がいいのかしら? 要するに《植物状態》ってことよ。腕だけは一流のプロが判断したのだから間違いないわ。私自身もその子が目を開けているところをもう2日程見ていないし。だから性処理の道具としてでも使ってあげなさい、もう随分と仕込まれているみたいだし」

 

「まぁ、どちらにしてももう私には関係の無い事だけれどね、長々とごめんなさい。それじゃあさようなら。《存在感》の能力は解除しておくわ、その子のあられも無い姿……周りの方々にも見てもらいなさい」

 

 最後に耳元で「元気でね」と囁かれ、コツコツとヒールが鳴り響く音を聞き流しながら、着ていた上着を都に被せて、じっと見つめる。

 

「都……都…………」

 

 軽く体を揺すっては見るが、彼女はなんの反応も示さない。

 

「お腹……減ってないか? まずは風呂に入るか?」

 

 彼女はなんの反応も示さない。

 

「色々あったけど……今日からは一緒に暮らそうか。もう……帰る場所はないだろうから」

 

 彼女はなんの反応も示さない。

 

「都はベッドを使いなよ。いつか俺は布団を買ってくるからさ、それまでは……一緒に寝ようか」

 

 彼女はなんの反応も示さない。

 

「これから色んな困難が待ち受けてると思うけど…………もう心配ないから……ずっと俺がそばにいるから」

 

 彼女はなんの反応も示さない。

 

 

 

 みんなからもう姿が見えるようになった都を抱えて、自分の家へと歩いていく。

 

 いつか返事が来るかもと願いながら…………何度も何度も声をかけて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大好きだよ、都」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女はなんの反応も示さない。

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