9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
空間その2
「…………」
「………………」
「…………あら、ごめんなさい。この世界にやって来ていたのね」
「どうやら第2の観測を終えたようね。それにしても…………酷いことになったわ」
「流石の私も同情しちゃう。ここまで堕ちた枝は初めてよ? 私の知っている…………いえ、
「そもそもとして本来交わることの無い人間たちが交わってしまっているのよ。それを言ってしまえばレンタもそうなのだけれど……」
「原因は間違いなく1つ。この枝での私が事実上死んでしまっているから、秘密裏に集めていたアーティファクトが集められなくなって、ユーザーがそのまま放置されてしまったこと」
「事実上死んでしまったと言うのは、レンタに世界を繋ぐ扉をズラされたからよ」
「あの時のこと覚えているかしら? ソラを助けるために自分自身に取り込んだ霊薬《ネクタル》あの時から歯車は狂ってしまった」
「《ネクタル》は故意に力の枷を崩壊させ契約者の力量を無視して溢れさせる力。本来あの世界の人間が使用すると肉体が耐えきれずに死んでしまう可能性もある激薬なのよ」
「その薬に平然と耐えられた事そのものが驚きだけれど……それよりもあの時に暴走したもうひとつの能力、《オーバーフロー》の方が問題ね」
「あの枝を観測し終えたのなら……効力はわかっているわよね? ありとあらゆる限界の上限を壊し、進化させる力」
「それによって《魔鏡》のアーティファクトが暴走し、世界の扉の軸をずらしてしまった」
「《魔鏡》のアーティファクトの力は、本来《反射》するための力ではないの。それはあくまで付属でついてくるオマケ、要は副産物の賜物」
「《魔鏡》のアーティファクトの本来の力は……全ての世界を繋ぎ、行き来する力」
「貴方たちの世界では鏡はあの世とこの世を繋ぐ扉として使われているのでしょう? それと似たようなものよ」
「セフィロトの魔力記録帳を漁って確認してみた時にそれが判明したわ。だからこそ《魔鏡》の力は世界をも崩壊させる力を持ってしまっている」
「幸いと言うべきか、あの子は常識離れした精神力で持ち直して、世界の崩壊までは防げたけれど…………あの枝の先では結果がもう見えているわね」
「急いで打開策を練っておかないと、本当に全てが手遅れになる」
「
「いい? 《オーバーロード》と《オーバーフロー》、そして《オーバーオール》の持ち主3人だけは警戒しておきなさい」
「世界でたった3つだけの、王たる素質を持ったアーティファクト。最も神に近いとされる最凶最悪のアーティファクト」
「それら全てが解放されてしまった」
「けれど《オーバーロード》に関しては安心ね、少なくともアナタたちナインズが預かってくれていることに、まぁ……感謝しているわ」
「カケルとレンタに繋がっていられるアナタたちだからこそ、あの世界に干渉できる。もう始まってしまった崩壊はまだまだ序曲に過ぎない」
「そうね、色々と話し込んでしまったけれど……アナタたちはまず《オーバーオール》の所持者を探して頂戴。私の心当たりがある人物を伝えてあげてもいいのだけれど…………アナタたちの思考の邪魔はしたくないわ、だから確信のない発言は控えるようにする」
「アナタたちが《オーバーオール》の所持者を見つけられた時にすぐに対処ができるように、私は私で準備をしておくわ」
「いい? 《オーバーロード》でレンタを操りながら、《オーバーオール》の所有者を見つけるの」
「なぜレンタの方ではなく《オーバーオール》を警戒するのかと言うと…………全ての元凶が《オーバーオール》だからよ」
「……もうここまで力の影響が出てしまっているのね」
「とにかく、私が言ったことを忘れないでね」
「それじゃあまた会いましょう」
「まだ希望は残っているわ」
「壊れてしまったこの世界を救ってッ! 」