9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
選択肢、5人を見捨てられないッ!!
ルート始まります
もう二度と
「この世の理は等価交換。何かを得るためには何かを犠牲にしなくちゃいけない。だから行って。九條さんを救えるのは貴方だけ」
…………!?
あれ…………? なんだ? この感覚…………痛っ!
小さな電流が流れてきたように頭痛が一瞬生じ、グラッと意識が軽く揺らぐ。
「私も貴方が好きだから、私は貴方の幸せを守りたい。だから行きなさい。全てを踏み台にして、全てを乗り越えて、私たちの……彼女の……貴方自身の未来を掴む為に」
「…………」
「……蓮太、覚悟を決めたのなら返事を」
「断るッ!!」
あの痛みを通して、何かが俺をつき動かした。
理由も根拠もないただの直感だが、何故か俺はこの場を見捨ててはいけないと強く思ったんだ。
「もう俺は誰も見捨てない。何も乗り越えない。対面する全てを背負ってみんなと共にこれからの道を進む!」
「何を言っているの!? 貴方が九條さんを止めないと、彼女は私たちの手の届かない場所へ行ってしまうのよ!」
「確かに時間はない、俺だって今すぐにでも駆け出して助けてあげたいさ。でも…………俺は誰も犠牲にするつもりは無い。みんなで無事にまた集まって…………笑って、日常に戻るんだ」
すっかりと変わってしまった、仲間たちとの日常に。
「目付きが変わった…………なるほどね、それは手強いわ」
バンッバンッと数回の爆発を利用して空を飛び、加速をつけた得意の体術で真っ先に俺を狙う爆発女。
そして予想通りにその攻撃方法は《蹴り》だ。
「激流を制するは静水…………だったか?」
1度深く息を吐き、心を出来るだけ落ち着かせたあと、あの女の蹴りに抗わずにその流れに沿って攻撃をスルリと避ける。
壮大に空振りをした蹴りは、触れてもいない地面に大きな斬撃でも当てたように大地を割きその蹴りの威力の高さを知らしめる。
大地を割くと言っても細い1本の線が残る程度ではあるが……触れてもいない箇所を傷つけられる時点で十分異常だな。
「みんなはできるだけスタミナを温存させてくれ。これから先の作戦で全く戦闘が起こらないという可能性もない。むしろ戦うことを前提に動いた方がよさそうだ」
「で、でも! 今みんなで頑張らなきゃ先輩がやられちゃったら────」
「うん。だからこの場にいてくれ、あくまでこの戦いを俺とレナに任せて欲しいんだ。試したい技もあるしさ」
もし俺が上手くあの力を扱いきれたのなら、この勝負一瞬でケリが着く。
「天ちゃんは翔を守りつつ適材適所で危ない攻撃がきたらそれを消してくれ。自分たちの身を第一に考えてな」
「香坂さんは希亜と行動を共にしつつ能力を発動して考えられる最善を具現化しててくれ。可能な限り叶えられそうな願いは…………俺とレナを除くメンバーが怪我をしなかったり、都奪還を間に合ったりとか」
「希亜は一応能力の準備を、防御にも攻撃にも支援にも最善の策を選べるように1番きついかもしれないが気を張っててくれ」
身につけている上着を脱ぎ捨て、こちらに近寄ってきたレナと共に少し距離をとった爆発女の前に2人で立ちはだかる。
俺の考えていることがレナに筒抜けなのなら……ある程度のことは息を合わせられるだろう。
「でも……お前ら2人だけなんて……」
「大丈夫、翔。どの道アイツをこれくらいで倒せないと…………俺は守りたい人達全員を守れない。でも、最悪の時はぜひ助けてくれよ! だからそばにいて欲しい」
翔は若干困惑顔で、頭をポリポリと掻いていたが……渋々と言った感じでそれを了承し、俺と軽く拳を合わせて天ちゃんや香坂さんを連れて俺たちから距離をとった。
「蓮太……私……!」
「希亜、俺を信じてくれ」
約1秒ほど、お互いの目を見つめ合い、視線を通して心の会話を始まる。
そう思っているのは俺だけかもしれないが、意志を伝えるには視線から……と信じている。
「…………はぁ」
呆れたようにため息を吐くと、希亜は自分の前髪に付けているヘアピンを一つだけ外して、俺の前髪に留めた。
「え……いや……その……」
「それだけ髪が長ければ邪魔になるでしょう。後で返してくれればそれでいい」
そう言ってあの女を警戒しつつ、希亜もみんなの元へと近づいて行った。
「…………ありがとう」
くるっと体を回してレナと共に戦闘態勢に入る。
「貴方の洞察力、そして即座に考えた動きに対応出来る運動能力、そして実際にそれを叶えるだけの力。ごめんなさい私、貴方を過小評価していたみたい」
「ずっとそのままクソ評価のままでいいぜ、油断してくれるのならありがたい話だ」
「いいえ、お友達を見捨てなかったその瞬間から、貴方の色が変わった。どしたの? 何か辛いことでも思い出した?」
「いや……辛いことを思い出にしないためにこの場に残った」
さっき言ったことは全部本心だ。特に1番危機感を抱いたのは、俺だけが都に追いついたとしても、立ちはだかる敵たちに1人で勝てるかどうかという点。
考えたくはないが……事実として勝つことが前提でないと、少なくとも都は救えない。
だったら……これからの俺は邪魔をする敵みんなを倒して行かなきゃいけない。
どんなに強い敵だろうと。
どんなに厄介な敵でも。
「俺はこれから先の戦いで二度と負けることは許されない。これ以上大切な仲間や、大好きな人を守るために…………俺は勝ち続けなきゃいけない」
「そうね、君にとっての最善を手にするには……私たち全員に勝たなければその未来はない。でもどうするの? そのちっぽけな力で」
「…………お前らにどうやったら勝てるかを考えた」
意識を深く集中させ、まだ慣れてもいないあの能力を解放する。
全身の筋肉を解し、脳に掛けられた制限の扉を無理やり押し広げる。
すると驚く程に感じる世界が広がり、身体の熱がより強く、より熱く感じた。
「人間はな、自分の身体を守る防衛本能として、30%の力しか出せないように枷をつけてるんだ」
激しく鳴り続ける耳鳴りを我慢して、更に強く、更に深く能力を発動する。
「俺のこの力は、そんな限界の枷を壊して《進化》させる力」
多分……この能力の使い方と1番相性がいい奴は…………レナとルナだろうけどな。
身体の発汗が止まらない、ボタボタと大量の汗が上がりすぎた体温を冷まそうと留まることを知らずに放出している。
「なんなの……その尋常ではない汗の量は……! 身体の中で一体何が……!?」
これ……1度言ってみたかったんだよ。
あのセリフを……!
「お前はもう、俺についてこれねぇぞ」
「うーわ言いやがったよ
「