9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
「せ、成功するかな……? あたし上手く自分の能力使えるかわかんないんだけど……」
「私も、そんな使い方は試したことも無くて……」
一通りの作戦を伝え終わったあと、オーバーフローの出力を抑えつつ、2人の準備を待っていた。
「確かに出来るかどうかわかんないところはあるけど、まずはやってみようぜ。この作戦も気づかれたら最後だ。だから慎重に頼む」
「でも、この作戦もあの人に簡単にバレちゃうんじゃないの?」
「まぁ……読まれたらバレるな」
……やっぱ相手の心理を読む力って反則だろ。思惑が筒抜けだなんてどうしようもない。
バレないように上手く立ち回るしかない……か。
「…………大将ッ!!」
唐突に聞こえてきたレナの呼び声に思わず反応すると、悠は俺たちに向かって両腕を突き出すように構えて肩から凄まじい光を放って何かの準備をしている。
そしてその両腕の間にはバチバチと翠色に弾ける磁力の塊が唸っていた。
あれはまさか────
「
それを認識した瞬間、1度レナを魂の中に引っ込めて、すぐさま俺のすぐ隣に出現させる。
「波ッ!」
その理由はもちろん、後ろの2人を守るため。
「「
俺たちを狙って真っ直ぐに飛んできた電気と磁力が大量に圧縮された砲撃を、レナと2人で壁を作りその能力を更に強化する。
二重で作った鏡の壁に、オーバーフローで更に強度や範囲を広げてより強くより大きくして守るが…………
反射した攻撃諸共あまりにもの破壊力があるその波動に打ち消され、どんどん鏡にヒビが入っていく。
「もう…………! 持たねぇ……!」
「大将、チャンスは今しかねぇと思わねぇか?」
「チャンスって…………お前何を……」
「耐えるのは無理だが逸らすことは出来る。だったらさっきの作戦に変更を加えてオレを混ぜるんだよ」
「んな事言ったって……!」
と油断してしまったその時、鏡の割れる音がした。
《視点切り替え》
「はぁ……はぁ……!」
僕の最高最大の秘策。その辺の大きめの瓦礫を弾してレールガンの原理を利用した攻撃、その名も
アイツらが何か妙なことを企んでいることは気がついていた。なぜなら僕と戦っていたあのフードの女、あの子に能力を使うと
だから固まっていたことを利用してあの場で確実に殺すためにこの技を使った。
生身の人間がこの技に耐えられるはずがない。都ちゃんでもうちょっと遊んであげたかったけど、今僕はあのフードの女の子の方が凄くそそる。
恐らく助けるために駆けつけたんだろうけどあの距離じゃ間に合わないだろうし……絶望しているところを追い詰めて発散しよう。
「僕の……勝ちだ…………!」
かなり強気な子だったからな、心をズタボロに折った時の反応が楽しみだ。
フードの子が絶望顔で涙を流しながら僕に懸命に奉仕をするその姿を想像したら……………………
「ひひっ……! うひひひっ! ひひひひひひっ!!!!」
ダメだダメだ……勃起してきた……!
もう都ちゃんなんてどうでもいいや、早くあの子で遊びたい!
高揚する気持ちを何とか抑えつつ、爆煙が広がる場所へ向かおうとすると……船が大きく揺れ始めた。
「……しまった、この船の耐久性能の事を考えてなかった」
あれだけの高威力なビームを派手に当てちゃったんだ、もう壊れてしまっても仕方がない。
まぁ別にまたいつか買えばいいし。そんな事よりもあの子はどこかな♪
「……悠ッ!!」
遠くから聞こえてくる船の内部からの爆発音に混ざり、目の前の黒煙から竹内蓮太が勢いよく飛び出してくる。
「……!」
彼は小賢しい動きで翻弄しつつ僕に向かって何度か殴り掛かり攻撃を当てようとするが…………さっきの変な壁の力で力を使い果たしたのか、能力を使うまでもなく見切るレベルの遅さだ。
「どうしたの? 随分と力がないじゃないか。それじゃあ僕に勝てないよ?」
僕の方もさっきの技でかなり消耗してしまったけれど……この程度ならまだ僕の方が上だ。
「ふざけんなよ……! テメェなんかオレがぶっ倒してやんよ!!」
それから何度かの攻防を繰り返し、お互いに腕や拳を抑えて動けなくなる。
「お友達が死んで怒る気持ちはわかるけど……気がそぞろのままじゃあ勝機はないね」
「…………誰が死んでるって?」
……?
今コイツ……口を開けていないのに喋った?
そして唐突に、僕の
「今だぜ? 大将」
そして目の前の竹内蓮太の背後から、
「解除ッ!!」
すっかり晴れて視界が良くなった奥側の方から、銀髪の女の子が手を銃を構えるようにして、能力を使っている。
「しまっ────」
気がついた時にはもう遅かった。僕が煙の中から出てきた最初に戦っていた竹内蓮太は、モザイクがかかったかのように白いモヤの中で徐々に見た目が切り替わり……あのフードの女の子に姿を変えた。
いや、戻ったと言うべきだろう。
そして動けない僕の背後に回った竹内蓮太は、ブチブチと音の鳴る力の込めた右腕を、振り向きざまに全身全霊の一撃として僕の顔に叩きつけた。
「く………………たばれッッッッ!!!!」
その拳が当たった瞬間、バキバキボキボキと骨が砕ける音が脳内に再生され、強く顔にめり込んだ拳に抗うことが出来ずに、元々煙が上がっていた方向へと吹き飛ばされた。
「ごおはっ!?!?」
視界がぐらつく。
痛みが全身に駆け回る。
歯が何本か抜けてしまって口から血が止まらない。
顎が砕けた。
鼻が曲がった。
耳鳴りが酷くて何も聞こえない。
嫌だ……死にたくない。
死にたくない。
嫌だ。
嫌だ嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ。
ドサッと激しい音をたてながら転がり込んだ僕は、ある何かにぶつかってその勢いを止められた。
そしてぼんやりと見える視界に見えたのは、僕を見下ろす都ちゃんの姿だった。
「おねがひ…………! みやほしゃん…………!!!」
「たひゅけて……!!!!」