9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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諸事情につき、一部分カットして物語が進みます。物語内でたった数十分しか経過していませんが…………つまりはそういう事です。

一応カット部分はどこかのタイミングでR18版の方を作り、その部分だけの作品を用意する予定ではありますが……予定は未定ということで、そんなことをするかもしれないんだ〜位の感覚でお願いします。


どんどん深まる2人

 

 軽めにシャワーで汗を流すつもりが、なんやかんやあって結局普通に身体を洗い、風呂を済ませてしまった。

 

 んや、別にそれはそれでいいんだが…………やっちゃいけないことしちゃった気がする。

 

 ちなみに都はもう一度身体を()()()()事が必要になったため、俺だけ先に上がることになった。

 

 …………流れであんなことになったとはいえこのタイミングはまずかったのでは? 向こうから誘ってきたとはいえ俺たちはまだ1日目だぞ……!? 

 

「こ…………これから先、大丈夫だろうか……」

 

 どんな理由があろうと欲に勝てなかった俺の責任。そもそもとしていくら愛し合っているとはいえ彼女にとっては異性と風呂に入ることそのものがトラウマになってしまっているかもしれないのに、何故俺は止めなかったんだ……! 

 

 彼女が入ってきてから気がついたとはいえ、交代するなりなんなりして傷の記憶を呼び覚まさないようにするべきだっただろ……! 

 

 あの時、都は苦い記憶を、幸せな思い出に変えたいって言っていたけれど、そのセリフが出るってことはやっぱり無理しているって証拠じゃないか。

 

 多分、本心で嬉しいとか幸せと思ってくれているのだと思う、けれど裏を返せばそう思わないとかなり苦しい状況にいるってことだろ? そりゃあそうでなくても幸せってのは追い求めるのが普通ではあるが……

 

 都の場合は状況が状況だ。少し急ぎすぎている気もする。

 

 でもこれはあくまで俺の価値観の話で、都本人はそうは思ってない可能性も……

 

「…………交際関係になるって、こんなに大変なのか……!?」

 

 大切だ、特別だ。心の底からそう思ってしまっているからこそ、誰よりも何よりも彼女を優先してしまう。それはそれでまずいのでは? でも全く気にするなってわけでもない。

 

 賢者モードに突入してしまっているからか様々な思考が脳裏をよぎる。

 

「い、いや…………冷静になれ、まだ手でしてもらっただけだ。そういう行為をした訳じゃない。本番はこれから先、もっと仲良くなって彼女の傷が癒えてからだ。うん。心に誓おう」

 

 もう二度と誘惑には負けない。もし次に彼女がそういう素振りを見せてきた時は、もうしょうがない。その時は全てを話そう。お互いに意見を交わして2人で結果をだすのが大事なんだ。

 

 ただもう一度だけ、試練を与えてください。この誘惑に1度でも勝てなければ、俺はダメなままだ。

 

 ……つーかあんなタイミングで反応すんなよ、バカ息子……! 

 

 ネットでよく男の頭と下半身は別の生き物だと例える人を見かけるが、大当たりだ。ほんの少しだけでも意識してしまうと、誰よりも張り切ってバカになる。

 

「あー……もう、考えるな考えるな! さっさと寝る準備をして早く休めるようにしてあげよう」

 

 疲れているのはお互い様なんだ。まぁ……今は都の方が疲れてるかもしれないけど、とにかく早く眠りたいはずだ。そうと決まれば……

 

 重たい体を何とか動かし、テーブルを寄せて床に布団を敷き、アラームをセットしていつでも寝られる準備を整える。

 

 そしてちょうどその頃に、寝る準備を済ませて髪を乾かし終わったのであろう都が寝巻き姿でリビングへと入ってきた。

 

 緊張するな緊張するな緊張するな緊張するな緊張するな緊張するな緊張するな緊張するな緊張するな緊張するな!!!! 

 

 普通に話しかけろよ? 俺! 

 

 そう! 何も無かった! 俺たちは風呂場で何もしなかった!! 

 

「み、みゃこはベッドで寝て下さいね」

 

 早速噛んだぁぁぁぁぁっっっっ!!!! 

 

 普通を意識しすぎてテンパったぁぁぁ!!! 

 

 しかも何故か敬語になっちまった! なんで!? 普通に「ベッドで寝ろよ?」つて言うだけじゃんか! 童貞丸出しかッ!! 

 

「ふふっ、うん。ありがとう。でも……床じゃあ身体が痛くならない? ベッドは蓮太くんのものだし、あれだったら────」

 

「ごめんなさい勘弁して下さい。これ以上は本当に変な気起こしてしまいそうなので床で寝させて下さい! むしろもうこの部屋好きに使って下さい!」

 

 はい、負けました。

 

 所詮男はケダモノなのだ。

 

「あ、あぁ…………その……気にしないでいいよ……? 私がしてあげたくて、その…………しちゃっただけ……だから」

 

「はうぅっ……!」

 

 その優しさが心に染みる……! もう……この子はほんと……! 

 

 キュンときた胸を落ち着かせるために1度深く深呼吸をし、どんどんと高鳴る心臓を少しづつ静めていく。

 

「なんかもう……ありがとうございます……何から何まで……」

 

 ダメだこりゃ、もう俺は一生この人に勝てる気がしない。俺の心は弱すぎる。

 

 こんなことをしている場合じゃないのに……さっさと寝なきゃ。

 

「とにかく……さ、もうすぐ朝になるし、少しでも長く休むためにもう寝よう?」

 

「それ……なんだけど…………ほんの少しだけでいいから、隣に……いてもいい……かな?」

 

「…………うぇ!?」

 

 寝るのに隣って……そういうことですよね!? こんな初心な私に添い寝しろと!? え!? なに!? この子実は俺の事興奮させて殺そうとしてる!? 

 

 とか何とか最初は思ったけれど、よく良く考えれば彼女は単に甘えたいだけなのかもしれない。

 

 数日間とはいえ、誰にも頼らずに1人で戦ってきたんだ。相当なプレッシャーやストレスを感じながら一切の気を許さずにずっと。だからこそ父親や母親ではない、俺という特別な関係性の存在が出来たことで、その相手にしか出来ない癒しを求めているのではないか? 

 

 ましてやその人は()()()から。都が食事会をした日。もしかするともっと前かもしれない。

 

 それだけの期間に想い続けた人と晴れて交際関係になれたんだ。色んな視点から考えても、寄り添うことが彼女にとっての最大限の癒しなのかも。

 

「まぁ……うん、わかった。それじゃあ戸締りの確認と電気を消してくるから、都は先に寝てて。直ぐに戻るから」

 

「う……うん」

 

 それから部屋を出て、玄関の鍵を確認し、廊下の電気を消す。そうしてリビングに戻り部屋の電気を暗い暖色の常夜灯に切り替え、都が先に入っているベッドに遅れて入り込んだ。

 

「……入るよ」

 

「はい……」

 

 ウチの電気は2種類の常夜灯機能があり、俺が普段使っているモードは数秒が経過すると直ぐに明かりが消えて暗闇になるというもので、その機能が俺がベッドに入り込んだタイミングで作動し、一気に部屋が暗くなる。

 

 けれどこれだけの近さの距離だ、少しづつ目が慣れてくると、ぼんやりと都の顔も見えるようになる。

 

 風呂を済ませたばかりだからか、それとも緊張のあまりか、掛け布団を被せたばかりだというのに、もうかなり暑い。

 

 それに、何度も匂って慣れたはずの香りがほんのりと鼻を掠めて余計に緊張を生む。

 

「右腕は大丈夫? 寝にくかったり、痛かったりしない?」

 

「いや、今のところは大丈夫。どの道横になってないと寝にくいし気にしなくてもいいよ」

 

 その代わりに貴女の美しすぎる顔が超近距離にあってバチクソ緊張しますけどね! 

 

「無理はしないでね?」

 

「うん。いざって時は都に頼る」

 

「任せてね」

 

 そんな会話を最後に、お互いに黙りあってしまってカチカチと時計の針が進む音だけが部屋に響く。

 

 なにか話すべきか、それとも素直に寝るべきか、そんなことを考えるがこんな形で異性と並んで添い寝なんてした経験もないので緊張と興奮が何よりも勝り、何をすべきか全く判断できない。

 

 きっと俺の顔は明かりがついたら赤く染まっていることだろう。

 

 なんてわたわたと頭の中で考えていたら、都が身体を少し近づけてきた。

 

 

 

「本当にありがとう。蓮太くん。私を助けてくれて」

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