9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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都√ 『ふたり』 END

 

「はぁぁぁぁぁ………………」

 

 授業も終わり待ちに待った昼休憩の時間。のんびりと都と2人で雑談なんてしながら弁当でも食べてゆっくり過ごそうと思っていたのに……

 

「た、大変だった……ね。あはは……」

 

「っざけんなよマジでもう…………」

 

 俺たちは(俺だけ)クラスの男子から追っかけられていた。

 

「で、でも、どうして蓮太くんを追いかけてるのかな?」

 

「お前それマジで言ってんのかよ……まぁ別にいいけどさ」

 

 アイツら叫びながら目を血眼にして追いかけてたもんな。「九條様を守れー!」ってよ。ふざけんな、むしろ俺がお前らから守るわ。

 

「さすがのアイツらも屋上までは追っかけてこないな、仮に来たとしてもこの場所にいたらバレないだろ」

 

 そう言ってなんとか守り抜いてきた弁当を床に置く。するりと風呂敷を解いて中身を確認するが…………うん。問題なさそうだ。

 

 それにしても流石の俺もこんな所には初めて来た。なんだっけ? こういうところの名前、塔屋……だっけ? あの入口の上の所。

 

「あっ、お弁当……ごめんね? 私が用意しようと思ってたんだけど、寝ちゃってて……」

 

「ん? いいっていいって。俺も作るのは大好きだし、前回は都がハンバーグを作ってくれたからな。今回は俺が…………って言っても時間がなかったから過度な期待はしないで欲しいです……次回はちゃんと作るから!」

 

 カパッと蓋を開け、皿替わりにその蓋を都に渡して二段になっている弁当箱を分解する。

 

 パックの米を使っているとはいえ、これは花見とか用の本来おかず達をぶち込むためだけの箱だ。つまりは米を敷きつめる部分が無いため、灼熱のように熱かった米を握って塩むすびを作った。

 

 ぶっちゃけ右手が使えない以上、敷く方が楽なんだけど……渋々百均で買っておいた手軽におにぎりが作れる道具を使わせてもらった。

 

 ちなみにそのせいか、ピクニックの弁当みたいな感じになっている。

 

「わっ……! 凄い! とっても美味しそう!」

 

「米はパックだし、おかずも有り合わせだけどな。初めてだからもっと豪華にしたかったんだけど……妥協してくれ」

 

 ははっと軽く笑って誤魔化しながら、水筒に用意してきたお茶を注ぎ都に渡す。

 

「妥協だなんてそんな……! 本当に嬉しい、ありがとう!」

 

「そっか、まぁとりあえず食べようぜ。走り回って腹減ったよ……ったく」

 

 使い捨てのお手ふきで手を拭き、都と2人で両手を合わせて(俺は片手)…………

 

「いただきますっと」

「いただきます」

 

 とりあえずは塩むすびの海苔がついている部分をもって、予め割っておいた割り箸を使って簡易版トンカツを一口。

 

 …………うん。即興で思いついた割には近い味がでてる。歯ごたえも弁当にしては上々だろう。

 

「あっ、タコさんウインナーだ♪」

 

 何かと機嫌が良さそうな都は、さっきからいつも以上に嬉しそうな表情を浮かべてパクパクと弁当を食べてくれる。

 

「うんっ! 美味しいよ!」

 

「そりゃ良かった、まだ俺の腕も捨てたもんじゃないな」

 

 ぶっちゃけ俺なんかの料理よりもあん時の都お手製ハンバーグの方が何億倍も美味かったけどね。比にならないくらい。

 

「これすごい……! ほうれん草がバターと絡んで……でも濃厚すぎない。どうやって作ったんだろ? 私じゃこんなに美味しくは作れないよ」

 

「んな事ないって、ほら麺つゆあるじゃん? あれって卵焼き以外も色々な代用品として使えるんだ。調味料が足りない時や手早く済ませたい時はめっちゃ頼りになる」

 

「へぇ……! 凄い……!」

 

「うどんや鍋、煮物に焼き物、本当になんでも使えるからな。便利が良すぎて結構使っちゃうんだよ」

 

 張り切って自分で夕飯を作る時とかは当たり前かのように使ってるしな。最近は外食が多かったけど。

 

「美味しい〜♪」

 

 まぁでも気に入ってくれたのなら良かった。やっぱり彼女に変なものは食べさせたくないし、俺がこうして手作り料理を振る舞うのも初めてだから不安なとこもあったけど……

 

「〜〜〜♪」

 

 すっげぇ美味そうに食ってる都を見る限りじゃあ心配無さそうだ。

 

「…………! 都、ちょっと止まって」

 

「うん?」

 

 ある事に気がついた俺は、都に声をかけてそっと左手を都の口元に伸ばす。そして一粒だけ可愛くくっついていた米粒を取って、ぱくりと自分の口の中に入れる。

 

「米がついてた」

 

 ニコッと笑って返すと、途端に恥ずかしくなったのか、都の顔がみるみるうちに真っ赤に染っていく。

 

「あ……ああ……! ありがとうごじゃいましゅ…………!」

 

「噛んでる噛んでる」

 

 はははっと笑いながら2人だけの時間を過ごしていく。本物の恋人同士の甘い香りが漂うような雰囲気の中、やっと手にした幸せを噛み締めて。

 

 お互いに傷を残してしまったけれど、辛い時には隣に大好きな人がいる。嬉しい時にも隣に大好きな人がいる。

 

 こんな当たり前の幸せを、これからも続けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 どんな困難だろうと、どんな災難だろうと、乗り越えてみせる。嬉しいことも悲しいことも俺たちは2人で分かち合う。

 

 これからも……ずっと。

 

 

 

 ずっと──────





こんにちは、主です。一応都√これにて一旦終了とさせていただきます。しかしこれから別√の観測が始まる訳ではなく、『都After』として付き合い始めてからの物語や後日談などの日常物語、未回収の問題の答えなどがもう少し続きます。まぁそんなに長くはありませんが……

何故ここでENDとさせて頂いたのかと申しますと、次回どの枝へと進むかをこれからのアンケートで決めて頂きたいなと思ったからです。まだ具体的に『都After』がどれくらい続くかの目安は定まっていませんが、一応そこそこあるのでこのタイミングだとじっくりと投票して頂けるなと判断し、次回の枝のアンケートを行いたいと思います。

そして晴れて選択内容に『新海 天』『ゴースト』解禁です。

つまりは『新海 天』『香坂 春風』 『結城 希亜』『 ゴースト』の以上4名からの選出となります。

一応アンケート終了時には事前に告知を致しますが……1週間はかかると思いますのでゆっくりとお選び下さい。

都√が始まって約1ヶ月、ありがとうございました。



PS.都√第2選択肢ですが、最後に待っています。そこからのBAD分岐などはありませんのでご安心を。

次回の枝は……?

  • 新海 天
  • 香坂 春風
  • 結城 希亜
  • ゴースト
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