9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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4人でダブルデート 前編

 

 都との思い出から更に時間が経過し、今日は5月の5日。ほんの少し慣れてしまった彼女との睡眠から目を覚まし、手早く朝食の準備をする。

 

 手短にぱぱっと簡単な料理を済ませつつ、自分も身支度を始める。フライパンで軽くハムと目玉焼きを2人分作り、昨日の夕飯に用意していた味噌汁を温め直し、一瞬の空いた時間でむにゃむにゃと眠っている都を起こす。

 

「都、都、そろそろ準備しないと間に合わないぞ」

 

 今日も休日ではあるが、まるで学園にでも行く日の様に出かける準備をする。その理由は……以前から予定していた新海兄妹とのダブルデートの為だ。

 

「むにゅ…………」

 

「いや、「むにゅ」じゃなくて……朝は翔の家に行かなきゃいけないだろ? ほら、顔洗って着替えて、セットを整える時間がいるだろ。起きなさい」

 

「うーん…………。おはおぅ……えん太くん……」

 

「はい、おはよう。目が覚めきったら顔を洗いにいけよ」

 

 ココ最近の同棲生活で分かったことは、意外と都は朝に弱い事だった。と言っても基本的に俺が早起きな為、そう感じることがあるだけかもしれないが……だいたい朝は俺の方が早く起きる。

 

 でも、都は何もしない訳ではなく、どうしても俺よりも先に朝に目覚めることが出来ないため、彼女との約束として夕飯は都に作って貰っている。他にも掃除や洗濯も交互に交代制で済ませ、家事は2人でと決めた。

 

 俺は別に全部俺に押し付けてくれても構わないんだが……まぁそんなことを都が認めるはずもなく……と言った感じで、俺たちの間でルールが決まった。

 

 と言っても真面目に守っている訳では無いが……あくまで目安だ。その時その時の気分で全部2人協力してしまったりと結局グダグダにはなっている。

 

「よし……とりあえずはこれでいっか」

 

 カンカンっとリズム良く無駄にフライパンを叩き、手軽な料理たちを皿に乗せてテーブルに配る。

 

 ご飯や味噌汁も2人分配っていると、顔を洗ってすっかりといつも通りに目覚めた都が着替えを済ませて戻ってきた。

 

 …………髪はまだだけど。

 

「今日もありがとう。私の分まで」

 

「都の分も用意するのは当たり前だっつーの。んでどうする? 先に食べるか? 出来たてすぎて熱いかもしれないけど」

 

「うーん……せっかく準備してくれたし……」

 

「……いや、やっぱり先にセットした方がいいか。手伝うからさっさと終わらせよう」

 

 少しボサボサの髪になってしまっている都を洗面台の前まで連れていき、軽く濡らして、くしでとく。

 

 サッサっスー……と髪が痛まないように丁寧且つ素早く驚くぐらいに長い髪を整えていると、ニコニコとはにかむ都が鏡越しに見えた。

 

「ん? どうしたんだ? 何かいい事があった?」

 

「ううん。ただ一度、こうして恋人に髪をセットしてもらうのって憧れだったから、つい」

 

「別に言ってくれたら毎日手伝うのに……この長さだったら手入れも大変だろ」

 

 ある程度真っ直ぐに整え終わると、ドライヤーを取り出して髪をかき分けて温風を優しく当てる。それからヘアアイロンを使ってクルクルと髪にクセをつけて……

 

「たまにしてもらうのがいいんですっ」

 

「そういうもんか?」

 

「そういうもんです♪」

 

 やたらと上機嫌な都と会話しているうちに、10分ほどで手早く済ませた俺は都と一緒にリビングへと移動して朝食を摂る。

 

 あの思い出から色んな意味での一線を越えた俺たちは、急速に距離が縮まったような気がする。

 

 お互いに心も身体も許し合うことでやはりどこか遠慮していた壁が少し薄くなったのだろうか? 

 

 もちろん全く相手のことを考えずに遠慮していない訳では無いが、お互いに他人という感覚が薄れていったのだろう。気分はほぼ恋人以上夫婦未満といった感じだ。

 

 だから、都が髪のセットを頼ってくれたことも嬉しい。俺が特別と思ってくれているからこその、この油断だろう。

 

 美味しい美味しいと言ってくれる都を見ながらそんなことを思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからは早々に2人で家を出て、待ち合わせでもあるあの場所へと向かう。手土産でも必要かと思いもしたが……まぁ予定では直ぐに出ると思うし必要ないだろう。

 

 そんなこんなでたどり着いた場所は……翔の家。インターホンを鳴らしてドアが開くのを待っていると……すっかりと準備が整っている翔が迎えてくれた。

 

「おはよう、2人とも。入ってくれよ」

 

「おっす。邪魔しまーすっと」

 

「おはよう、新海くん」

 

 手に持った袋が傷つかないように部屋の奥へと進んでいき、リビングに繋がる扉を開けると…………

 

「ちっ……くそ……失敗した」

 

 ピコピコとボタンを押して凄まじいコンボを決めている天ちゃんがゲームをして遊んでいた。

 

「朝からゲームかよ……すげぇな」

 

「ん? あっ! エロパイとみゃーこ先輩! おざーす!」

 

「ふふっ、おはよう、天ちゃん」

 

 俺たちへの挨拶を終えると、ポーズを閉じてひたすらにCPUの敵に向かって攻撃を当てる天ちゃん。

 

『パワーウェイッ!!』

 

『パワーウェイッ!!』

 

『Are you ok?』

 

 敵の隙を突いて派手な攻撃を当てて、天ちゃんは敵を場外へと吹っ飛ばして、戦いに勝利、イケメンな男キャラクターの決めポーズが映し出される。

 

「よーし、ウォーミングアップはこの程度かなー?」

 

「このゲームは何なの? 天ちゃん」

 

 都は天ちゃんの斜め後ろに座り込んで、ゲームのパッケージを見ながら質問する。

 

「これはアレっすよ、《大乱戦》っすよ。スマッシュ……なんちゃらってやつ」

 

「これなら俺も持ってるぞ? ってそういや都とは一緒にゲームとかしたことないな」

 

「面白そう……あっ、このキャラクター知ってるよ! 食べると魔法を使えるんだよね!」

 

「魔法……っていうか食べた敵の能力を使える奴だな。俺も銀河に願うやつをひたすらやってたなぁ……懐かし」

 

 と、ゲームのキャラについてみんなで話していると、天ちゃんはおもむろにコントローラーを繋げ始めて、俺にポイッと投げるように差し出した。

 

「みゃーこ先輩には悪いんですけど……あたしは今日、エロパイを倒さなきゃいけないので先に戦わせてください!」

 

「いや……8人まで同時に戦えるんだから一緒にやればいいんじゃね?」

 

「おぉ? なんだ? 逃げる気か? あれだけあたしをバカにしといて戦わずして逃げるのかぁ!?」

 

 なぜこんなにも天ちゃんがこうも俺に対して好戦的なのかと言うと……昨日の晩に、このゲームをやっていることをRINGを通して知り、天ちゃんなんて楽勝と豪語したら、彼女のプライドに触れてしまったらしく、逆上してしまったからだ。

 

「戦わずして逃げるなんて、所詮エロパイってことかぁ〜」

 

「おっしゃぶっ飛ばしてやる! 早くやるぞ!」

 

「蓮太……天と同じレベルなのかよ……」

 

 接続されたコントローラーを握りしめ、俺も参戦。そして俺が使うキャラは…………

 

「天ちゃん如き俺の元ソルジャーにかかれば瞬殺よ瞬殺」

 

「ふっふっふ……まずはあたしが本気を出すべき相手かを見定めるとしますかね。あたしが使うのは…………同じ名前のこのキャラ!」

 

「うーわ、そんな強キャラ使うのか」

 

「エロパイだってそんな変わんねぇじゃねーか! てかなんならモナド使いとちょっと迷ってたでしょ!?」

 

「はぁ? 別にハイラル勇者でもいいですけど? なんならガチヒーローでザ○キ運ゲーでもしてやろうか?」

 

「うーわ、この人武器持ちしか使う気ないー! そんなんで挑発してたのー?」

 

「天ちゃんも武器持ちだろうが!」

 

 なんてゲームでどちらが強いか論争をしている間にも、俺たちの後ろで呆れながらも微笑ましく見守る2人は飲み物を飲みながら俺たちの対戦を楽しむように見ていた。

 

「俺は天が勝つに一票、九條は?」

 

「じゃあ私は蓮太くんに。頑張ってねっ」

 

 無邪気な彼女の声援を糧に、やる気もMAXになる。

 

「任せろ! 天ちゃんをさっさと倒して早くラウンドツーに────」

 

「隙ありっ!!」

 

「ちょ!? おまっ……ズルッ!?」

次回の枝は……?

  • 新海 天
  • 香坂 春風
  • 結城 希亜
  • ゴースト
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