9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
「あーもう悔しい〜!!!!」
ダンッダンッと強く足踏みをするようにドシドシ歩く天ちゃんを先頭に、俺と都と翔はその背後を追うように歩く。
「所詮一夜漬けのレベルだったな、天ちゃんにはこのステージは早すぎるよ」
ふんふんと鼻歌でも歌ってしまいそうな程に機嫌がいい俺は、約束として奢ってもらった飲み物を飲みながら煽る。
「エロパイのくせに〜!!」
結局ゲームでの戦闘結果は5勝0敗、実力に圧倒的な差は無かったのだが、肝心なところで天ちゃんの操作ミスがあったり、単純に勝ったりと1本も譲ることなく圧勝したのだ。
「天の奴、昨日もずっと蓮太を倒すって言って練習してたけど……すげぇよな、こいつも決して弱いわけじゃないぞ?」
「単純さ、天ちゃんが俺より
「むっきー!! もう知らないかんね! 学校であることないこと言ってエロパイの評判下げまくってやる!」
「そんな陰湿な仕返しやめて?」
この子って俺たちの中でもムードメーカーな所があるから、1年を中心に変な噂でも流されたりしたら本当に悪いことになりそうで怖い。
「知ってます? みゃーこ先輩。エロパイって実は結城先輩や春風先輩とも裏で付き合って────」
「ねぇよばーか」
「ばかって言うな! ばーか!」
「ばかって言った方がばかなんですー」
「じゃあエロパイじゃねぇか!」
そんな低レベルな言い合い。ここまで無邪気に騒いでいるのも随分と久しぶりな気もする。
何も考えずに、ただふざけて遊ぶだなんて。
「……あのうるさい奴の相手を出来るだなんて、大人なのか子供なのかわっかんねぇな」
「でも、楽しそう。ちょっと嫉妬しちゃうかも」
「嫉妬?」
「蓮太くん、私にはばかって言ったりしないもん」
「あー……、そりゃあ……ねぇ?」
なんて翔と都の会話なんてお構い無しで、ひたすらに天ちゃんとの会話のドッヂボール。
「次は……あそこ何があったかな」
「アミューズメントのところにホッケーみたいなゲーム機あったよな? あれでチーム戦でもするか」
「おっ!? いいのか? あたし達兄妹を舐めてると痛い目見るぞ〜?」
「おードンと来いや、お前ら白翔コンビなんて俺と都の前じゃあ話にもならんよ」
「だからあたしゃあパンツかっつーの! てかあたし今日は白じゃないし! 今日は水色…………って何言わすの!? やっぱコイツエロだ! このエロ魔神!!」
「知るかよ!? おめぇが勝手に言い出しだんだろ!?」
と、都とお揃いの天ちゃんなのであった。
そんなこんなでラウンドツーに到着。それからは本当に色んな所へ行って遊びまくった。
着く前に言っていた通りにホッケーの様な機械でチーム戦、結果新海チーム勝利。俺たちの敗因は慣れない手つきで都が頑張っている時に揺れる胸をガン見してたからだ。
…………つらみ。
それから銃でゾンビを倒すゲームだったり、バスケットのシュートを打つやつだったり、レースゲームだったりと4人で充実した時間を過ごす。
そして軽く昼食を済ませて、女の子組は言葉を濁してどこかへ去っていったので、俺と翔だけとなり2人を待つ。
きっとトイレだろう。
「たまにゃあこんなのもいいな」
「確かに、頻繁に出来ることじゃないけど……やっぱりこういうのって楽しいもんな」
「考えなきゃいけないことはまだあるけど……まぁ、息抜きも必要だろ。っと…………そういや一応伝えとくか」
「ん?」
せっかく翔と2人きりになれたんだ。不安にさせたくない2人も今はいないことだし……丁度いいかも。
「ソフィに会った」
「……なんで俺の所には来ないんだ? アイツ」
「さぁな、ただ言えることは……俺たちの知らない所で何かが起きてるってことだけだ」
平行世界の事は……別に言わなくてもいいだろう。
「何かってなんだよ」
「ソフィは何らかの危険な状況に身を置かれている可能性が高いかも? って話。それと……《オーバーオール》の件」
「待てよ……危険な状況って?」
「わからん。適当に言ってみただけ。急に姿を消したからなにか理由があるのかも? って思った程度だ」
その割には態度は普通だったけど……なにか伝えようとはしていたからな。
「そうか……それで《オーバーオール》って?」
「知らん」
「さっきから何も分かってないぞ……」
「俺も対して翔と同じで何も分かってねぇってことなんだよ。とにかく俺たちの目的であるアーティファクトの収集。それを達成するためには《オーバーオール》って名前のアーティファクトの回収が不可欠らしい」
「うーん……不可欠って言われてもノーヒントだしなぁ……」
「詳しいことはまた後で話すよ、ここで深く話すようなことじゃあないからさ」
そう言ってポンっと翔の肩を軽く叩くと、その瞬間に急な頭痛に襲われる。
「────ッ!?」
小さな耳鳴りのようなものも脳内に響き、手すりを掴んで頭を抑えていると、翔の方も同じような反応を見せていた。
「痛っ……!」
そして頭に直接流れてくるかのように浮かび上がる言葉。
「「《オーバーロード》……?」」
俺と翔は2人して同じ言葉を発していたのだ。これは……正直偶然なんかじゃないだろう。この言葉が何を意味しているかは知らないが、何か忘れちゃいけない大切なことな様な気がする。
「…………」
頭痛が収まった俺と翔は2人して目を合わせていた後、不意に視線を横に向けると、俺たちから少し離れた先に、女の子が2人、誰かに声をかけられている姿が見えた。
いかにも陽の気質があふれ出る男が2人で声をかけている。
「…………翔」
「うん?」
一応の非常事態。翔の名を呼び親指をクイッとあの男どもに向けると、翔は目の色を変えて俺に向かって頷いた。
「行こう、蓮太」
「はいよ」
とりあえず考えるのは後だ。今はいち早く助けてあげるべきだろう。
2人でテクテクと歩みを進めて女の子2人に男2人が馴れ馴れしく話しかけている所へたどり着くと…………
「いいじゃん! 俺たちと少し遊んでよ!」
「い、いえ……あの……」
俺は都の肩を寄せ、翔は天ちゃんの前に立ち、男達から彼女を守る様にして乱入した。
「俺の彼女に何か用か?」
「……妹に何か?」
次回の枝は……?
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新海 天
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香坂 春風
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結城 希亜
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ゴースト