9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

16 / 185
姿の見えない敵

 

 唐突に起きた人体石化事件。未だにニュースにはなっていないが、帰り道に公園に寄ってみると、警察のヤツらが何かと騒いでいたから、世間に出るのは時間の問題なのかもしれない。

 

 隠蔽する可能性も無くはないが……普通は殺人事件なんて思わないだろう。俺たちのように『アーティファクト』の存在を知らない奴らは。

 

 ……サイレンの音が五月蝿い。ここじゃあ落ち着いて考え込むことも出来なさそうだ。

 

 なんて思いながらチラッと警察が集まっている方を見ると……新海が数人の警察官から事情聴取をされていた。

 

 ………………帰るか。

 

 こんなところにいつまでも居てもしょうがないし、人だかりも少しづつだけどでき始めた。このどさくさに紛れてこの場を離れよう。

 

 と、その場から離れようとすると……

 

 

 ──トン……。

 

 

 と背中から『誰かが寄りかかるような』重みを感じた。

 

 ……誰だよ、こんな訳の分からんことを堂々とするとは……。

 

「気になっちまうか? あの石像の事が」

 

 その声は女の声だった。崩された言葉に似合わないほどの可愛らしい声で、あの石像の事を問いだしてくる。

 

 ……もうあの石像はこの公園には無いのに。

 

「あぁ、気になるね。あんな面白い能力があるなんて羨ましい」

 

 内心……心臓がバクバク動いている。それだけこの状況に焦っているんだ。何故なら、相手は石像の事を知っている。それもただ知ってるだけじゃない、おそらく、血が出てたことも知っている。

 

 となると……石化の件も全て知っていて、俺に語り掛けている可能性が高い。

 

「なんだ? アンタ、面白いなんて思ってんのか? ハハッ、こいつぁひでぇ。今頃あの子……天国で泣いてるぜ?」

 

「バーカ、死んだ奴が泣くかよ」

 

「ハハッ! そりゃあそうだ!」

 

 ……だとすると、姿も見えないが、俺の真後ろにいるコイツは石化能力を持っている可能性が高い。

 

 馬鹿なのか? わざわざこのタイミングで、こんな分かりやすいことをして……

 

「アンタとは気が合いそうなのになぁ…………」

 

「さぁな、誰と仲良くなるにしても、まずはお互いの顔合わせからじゃないか?」

 

「オレはいいけど…………」

 

 

 

 

 

「死んでも知らねぇぜ?」

 

 

 

 

 そんな言葉が耳元で聞こえてくる。実際は少し離れているんだろうが……相手が首を横に向けて、わざと俺だけに聞けえてくるように言ったのは十分に理解出来た。

 

 間違いない。この後ろの女は能力者。アーティファクトの所有者だ。

 

 だとすると……やはり石化!? 

 

「心配は無用だ。俺はどんな力も効かねぇ」

 

 まずいまずいまずいまずい!! まさかの事件の犯人と直面しちまったか!? これ、ガチで推理が当たってたらヤバいぞ!? どんな条件で石化してしまうのかが分からないから……いつ俺が死んでもおかしくねぇ……!! 

 

「テメェの方が羨ましいじゃねぇか、無敵なんてチートだろ」

 

 ……でも、落ち着け。今は人がかなり多い。事件の事を噂して街中の人間がスマホを片手に結構な数ウロウロしている。まさかこんな人混みの中で能力を使い出さないだろう。

 

「それで……何の用なんだ? わざわざ俺の側に来たってことは、俺に用事があったんだろ?」

 

「用って用はねぇんだけどな。どうしてもアンタの事が気になったらしくて……ちょいと偵察に来たんだよ」

 

「……何言ってんだお前」

 

「最初は対した用事はなかったんだけど、アンタ……力を持ってんだろ? 具体的には知らねぇけど、どうやら今聞いた感じだと無敵能力らしいじゃねぇか。そんなもん、誰だって欲しいと思うだろ?」

 

 ……なるほど。コイツはまだ他に仲間がいるのか。そいつの指図で俺の元へと来たが、俺との会話で俺のアーティファクトに興味を持った。つまり、こいつも目的はアーティファクトの収集。

 

 ……戦闘は避けられない……か? 

 

「欲しいな。俺だって沢山欲しいさ……石化の能力もな」

 

「なるほどなるほどぉ…………。そいつぁ嬉しいねぇ」

 

 明らかに余裕って感じだな。間違いなく俺を舐め腐ってる態度だ。能力なんか無くてサシなら負ける気はしないんだけどな……これでも昔は、色々と手をつけてた頃もあったから、喧嘩には自信があるんだが。

 

「でも、気をつけた方がいいぜ? 死んじまったら、何もかもが無くなるからな」

 

「なんだ? この場で殺り合うつもりか?」

 

「それもいいが……。今はオレも困るんだよ。まだ能力も二つしかねぇしな」

 

 ──ッ!? 

 

 二つ……!? 二つだと!? コイツ、あのアーティファクトを人から奪う方法を知っているのか!? 

 

「おっ? 反応したな? どれが気になったんだ? 殺り合う事か? それとも…………力を複数所持してる事か?」

 

「お前もアーティファクトの収集が目的なんだな……よくもまぁ、俺と似た同じやつがいるもんだ」

 

「ちょいと違うけどな。まぁお喋りはここまでだ、楽しかったぜ?」

 

 聞きたい……、どうやって人から力を奪い取ったのか。アーティファクトを複数所持するという事を成し遂げたのか。

 

「結局何がしたかったんだよ」

 

「そうだなぁ…………強いて言うなら」

 

 少しのタメがあった後、さっきよりもハッキリと聞こえる程の近く。つまり耳元で──

 

「暗い夜道には気をつけろよ? お兄さん」

 

 と囁かれた。

 

 その声を聞いた直後は思わず驚いてしまって、数秒固まってしまったが、その恐怖を振り払うように背後を振り返ると……相も変わらず人だかりが出来ているだけで、変な人は見当たらない。

 

 会社帰りのサラリーマン。帰宅中の学生。白いフードを被った人の後ろ姿。犬の散歩をしている老人。ジョギングをしているガタイがいい男。

 

 それくらいだ。

 

「……なるほど。宣戦布告って事か」

 

 間違いなく威嚇された。何らかの出来事が原因で俺が能力者ということがばれ、姿も分からない奴に言われた。「お前のアーティファクトを殺してても奪うぞ」

 

 ……と。

 

 やられた。心理戦で先手を打たれた。もうこの時点で圧倒的に俺が不利になっちまった。

 

 恐怖心を植え付けられた以上は、俺は常に後手に回ってしまうだろう。

 

 クソ……。馬鹿野郎が。

 

 早速失敗してしまった俺に苛立ちを覚えながらも、俺は自分の家に戻って行った。どんなに自分を責めても現実は変わらない。だからこそこれからを考えなくちゃいけないんだ。

 

 ……一旦風呂にでも入って頭を冷やそう。





突然……ですが以前記載した通り、次回辺りでアンケートを終了させて頂こうかと思っております。おそらく投稿は明日……か明後日?になると思いますが、それを目処にしようかなと思っています。

既に次のアンケの内容も考えてはいるのですが……その時もどうぞ投票お願いします。

では、あと少しの間ですが、まだ時間はありますので、コレだ!というものに一票入れていただくと嬉しいです。

9人目のユーザー(主人公)の友人は?

  • みゃーこ先輩 (九條 都)
  • 皆の妹、天ちゃん (新海 天)
  • デスカレー先輩 (香坂 春風)
  • パフェクイーン (結城 希亜)
  • にぃやん (新海 翔)
  • 司令官 (高峰 蓮夜)
  • 勿論、僕だよね? (深沢 与一)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。