9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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心の闇

 

《視点切り替え》

 

 ここはどこ? 

 

「おかえり、希亜」

 

 私は何を? 

 

「えぇ」

 

 意識がハッキリと戻った時には、私は知らない場所を歩いていた。

 

「あら、戻られていましたの? 希亜さん」

 

「今は《そっち》なのね、春風」

 

 春風!? 今までどこにいたの!? 

 

「こちらの方が今は楽なんです。それに、もうすぐ準備も終わりますし……ね」

 

「そう」

 

 何が何だか……わからない。自分の体は言うことを聞かず、行動も会話さえも私自身の心を無視し続ける。

 

 私は一体……? 

 

「2人とも揃ったみたいだね。よかったよかった」

 

 パンパンと手を叩きながら唐突に現れたのは、全体がシルエットで包まれた謎の人物だった。

 

 強く光る何かのマークのようなものが逆光となり、一番重要な姿が確認できない。けれど、その人物はその声で簡単に想像ができた。

 

「俺はそう頻繁に世界間を移動できないからね、《魔鏡》の力を使って君たち2人には先に飛んで貰うよ」

 

「今更何を」

 

「そうですわね。それに貴方様の出番はない可能性もあります。(わたくし)たちに追いついた時には既に彼は支配下に……なんて都合が良すぎるでしょうか?」

 

「春風の能力が完全に有効ならば……難しいことは無いでしょうね」

 

 私は一体何を話しているの? 私たちは今から何をされるの? 

 

「うん……一応念の為に確認しておこうか。君たち2人に最優先で行ってもらうことは何?」

 

「もちろん《霊薬》による契約の強制解除ですわね。《魔鏡》や《奇跡》の力はともかく、何よりも警戒すべきは《幻体》。あの力さえ引き離すことが出来れば勝利はこちらのものですから」

 

「そうね、1人ならともかく、2体の幻体による《奇跡》と《魔鏡》の同時対面は絶対に避けるべき問題。どちらか片方でも取り除くことが出来たのなら即刻砕き割るべきね」

 

 ……!? なん……! で……ッ!? 

 

 口が勝手に……!? 

 

「そう、それが分かっているのなら問題ないね、それじゃあ……俺の能力で君たちのその《悪意》だけを転送させる。心の奥底に潜む闇の部分を肥大化させてね」

 

 私たちの……悪意? 心の奥底に潜む闇……? 何を言っているのかがわからない。

 

 相手の心理に関する能力だなんて……聞いた事もない。

 

「……希亜はまだ若干の意識()()があるようだね。不思議そうな気配だ、今この状況に理解出来ていない、あるいは整理が追いついていないって言った感じかな」

 

「じゃあ説明くらいはしてあげるよ。まずは自己紹介から、俺は“紅葉”そっちからは好きなように呼んでよ。こっちからも好きなように呼ぶから」

 

 紅葉……この人の声……間違いない。蓮太だ。

 

「俺の目的は竹内 蓮太の“消滅”だ。彼がこの世界に来てしまったことでこの世界の歯車は狂い始めている。もちろん彼だけの問題ではないが……トリガーとなったのは間違いない。だって、()()()()()()()()人物だからね」

 

 ……!? 消滅……って……! それに本来は存在しない? この人は一体何を言いたいの!? 

 

「存在しないって言うのはそのままの意味だよ。俺を含めて、彼は君たちの物語には関わることの無い、存在しないモノなんだ。だけど突如として現れた《魔鏡》そして《オーバーフロー》によって君たちの運命を変えるべくやってきた。神の使者とでも言おうか」

 

「だが結果どうだ? 俺は彼が関わることのなかった世界を知っている。知っているからこそこの世界を壊さなきゃいけないと思った。それが何よりも君たちの為だと思っているから、あの男を消すべきだと考えた」

 

 そんなこと……させるわけが無い! 彼がこの世界に存在しない人? その根拠は? 証拠も無いその言葉は信用するに値しない。

 

 それに仮に蓮太が世界の外の人間。異世界人だったとしても彼には彼の人生がある。この世界で、この街で幸せに生きる彼の運命が。

 

「では聞くが……その結果、君は幸せとやらになれたのか?」

 

 ……!? 

 

「心の底から笑顔でいられるという結果にたどり着けたのか?」

 

 …………

 

「違うだろう? 俺の能力……《魔鏡》とは別の俺だけの力、その詳細は他人の悪意を増幅させる力。この力が扱えるってことは、希亜自身の心の奥底にはほんの欠片だけだとしても、悪の心があったんだ」

 

「“彼”を取られた事で発生した心の闇が」

 

 ……そんなこと……ない! 私は本当にあの2人の幸せを祝って────

 

「強がらなくていい。君の心の闇は既に知っている。人間ってのは見返りがなければ人とは繋がれないからな」

 

 ……何が言いたいの。

 

「友達になるのは自分を肯定してくれるから、孤独という痛みを忘れさせてくれるから。その見返りを求めて繋がった人が今や自分から大切な人を奪い去ってしまった。その結果心に抱えるべき想いは…………」

 

「“どうして私じゃないの? ”だ」

 

 ────ッ!? 

 

「“私だって愛していたのに”」

 

 いや……! 

 

「“私だって振り向いて欲しかったのに”」

 

 やめて…………ッ! 

 

「“私だって隣を歩いていたかったのに”」

 

 来るなッ! 来るな来るな……! 来るな…………ッ!! 

 

「“()()大切な人を失った”」

 

 ひっ…………! 

 

「そんな心の闇は強大な力を宿し、人を消すにはもってこいなんだ。儚い恋心、それは裏を返せば自分を苦しめる茨だ。想えば想うほど苦くなり、痛くなる。胸に秘めれば秘めるほどもう1人の自分に殺されそうになる」

 

「さぁ、お話はここまで。後は君たち2人の働きに期待しているよ、希亜、春風」

 

 

 

 

 

 

 

「その“想い”を胸に……次の世界へ行ってらっしゃい」

 





こんにちは、主です。今回の投稿をもちましてアンケートの締め切りを行わさせていただきます。数々の投稿ありがとうございました!

次回の枝は……結果の通りです。狂い始めた運命の物語、どういう結果になるのか……お楽しみください。

そして次回、都√最終選択肢ですがここにお知らせとして載させていただきます。

次回選択肢は…………《一部記憶を蓮太にインストールする》か《一部記憶を翔にインストールする》かです。現状として、今記憶のインストールが可能な人物はこの2名のみ、運命を変える行動をとれるのもこの2名のみです。

一部記憶というのは人物や物の名前、直感程度の予知等ですね。特待の相手が好きだとかの感情はインストールしません。原作と近しい感覚だと思ってもらって大丈夫です。

他、質問等があれば直接ご連絡下さい。その都度返答をさせていただきます。

そして都Afterですが、まだほんの少しだけ続きます。そして次回の枝の観測中、選択終了時はまた事前に告知として残します。

長々とお話しましたが、要は蓮太と翔、どちらにオーバーロードを使うかですね。翔はともかく何故蓮太にインストールが出来るのか……まだ判明は致していませんが遠い未来に……なにか理由がわかる……かも?

以上、主からでした。

記憶のインストール先

  • 蓮太
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