9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
「これをこうしてこうやって……」
「ね、ねぇ……これ大丈夫なの? 色々と危ないんじゃ……」
「何言ってんだ都。これだけ分かりやすくしとけばみんな誤認しないだろ?」
「うーん……なんだか怒られそうな気が……」
「これで……よし」
何かを心配する都の左腕にクルクルと包帯を巻いて痛くならない程度に締め付ける。
「せめて○とかにした方がいいんじゃない? 流石にあのマークのままだと、心配だな……」
「いいんだよ、つーか俺はそれがいいの。かっこいいから」
なんて会話をしている時に、ピンポンとインターホンの鳴る音がする。
「あ、私出てくるね」
トコトコと都は小動物のように可愛らしく歩いて行くと、すぐに翔と天ちゃんが血相を変えて部屋に入り込んできた。
「蓮太ッ!」
「エロパイッ!」
「来たか」
それからは天ちゃんの猛烈な謝罪が始まる。ひたすらにごめんなさいごめんなさいごめんなちゃいと本気なのかふざけてるのか微妙に分からない謝罪だったが……まぁ気にしない。
罪悪感からか、わーわーと泣いていたがポテチを渡したら簡単に笑顔になった。
……なんで俺が損してるんだ?
「それで、蓮太の偽物がいるのが確定したわけだけど……どうするんだ? アイツを止めないとどうしようもなくないか?」
「止めるには止めるけどまずはしとかなきゃいけないことがあるだろ?」
「しとかなきゃいけないことって? (バリボリ)」
「俺たちが仲間である印を残すんだ。俺たちだけのパスワードを俺たちだけで共有する」
そうやって都の左腕を見せつける。
「待ってエロパイ、なんかあたし言いたいことわかった気がするんだけど……」
「お、察しがいいな。わかったんならほら、左腕カモン」
そうして差し出された天ちゃんの左腕に黒ペンでマークをつけて包帯で隠すように巻く。
「……えぇこれ、大丈夫なの? あたしたち海賊になる気は無いんだけど……」
「よし、そんで翔の方にも…………っと」
マークをつけてクルクルと包帯を巻く。これで4人分の準備は整った。
「いいか? 俺には偽物が居ることはわかっているが、それが化けたものなのか、変えたものなのかはわからない。つまりは俺以外のお前たちの誰かも偽物がいるかもしれないと思え」
「うわっ、唐突に真面目な話になった」
「これから俺たちはバラけて行動することもあると思う、そうなりゃもう俺たちは味方をも疑わなきゃいけない関係になるんだ」
「そ、そうだね。私も蓮太くんを疑いたくはないよ」
「そりゃもちろん仲間を疑いたくはない。だからこそほんの少しでも怪しいと感じたのなら、この包帯を
「なるほど……二段構えの作戦か、流石だな」
「うん待って? この流れ何か既視感があるよ? あたし覚えてるよ?」
すっかりとポテチを食べることをやめた天ちゃんは、何故か微妙そうな顔をして話を聞いていた。
「しょうがねぇだろ、だって区別がつかないほどに似てるんだろ?」
「似てるなんてものじゃないよ! 同じだよ同じ!」
「天の気持ちも分からなくは無いが、真面目な話あんな奴が存在する以上、迂闊な行動は取れない」
「そうね、だから……こういうものも必要なのは理解出来たつもり」
「よしっそれじゃあお前ら、腕を出せ」
それから俺たち4人はそれぞれの左腕を差し出して、輪を作る。
「ここに香坂さんと希亜、高峰がいないけど……アイツらには本物だと確定した瞬間に同じようにしてもらう、だからまずは俺たちだけだけど……」
「これから何が起こっても、左腕のこれが────」
「仲間の印だっ!」
「あのー……エロパイ、やっぱりこれアウトな気がするんだけど……」
「え? なんで? これ俺のオリジナルだよ?」
「それ一番ダメなセリフ! それだけは絶対言っちゃあダメ!! あたし知らないよ!? 後悔することになっても!」
わちゃわちゃと焦る天ちゃんとは裏腹に、都はどこか嬉しそうな表情をして包帯が巻かれている腕をキュッと握る。
「みゃーこ先輩もいいから! そんなシーンまで再現しなくていいから!」
「それじゃあ行こうか、天…………飯屋へっ!!」
「にぃやんもふざけんなよ!? そんな所まで誰も覚えてないっつーの!」
「最後にはさ! 天ちゃんの去り際に俺たちみんなで背中を向けて腕を掲げようぜ!」
「なんで!? なんであたしがお姫様役なの!? 可愛いから!? だったら許す!」
「それだったら都の方が適正だなぁ」
「はぁ〜!? 今何か言いました〜!?!?」
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蓮太
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翔