9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
「……お?」
なんちゃかんちゃあったコンビニを出ていくと、不自然に俺を待ち構えるようにとある人物が出入口の横に立っていた。
「……よう、大将」
「…………」
似たような姿の2人の内1人はなんとも無愛想にガムを風船のように膨らませながら、俺に目を合わせようとしない。
「あれ……? ゴーストさん……?」
「もう見つけたのか? 偉い早かったな」
「見つけるのはわけねぇよ。んな事よりも気にする事があんだろ」
「あぁ、《白》のゴーストも────」
「じゃねぇよ馬鹿」
ベチンっと片手で作ったキツネを弾かれ、モロにデコピンを食らう俺。
「て……」
「天だよ、天」
「……ん? 天ちゃんがどうしたんだよ」
「テメェなーに連れ出してんだよ、あれか? とうとう変態が止まらなくなって人の妹属性にやられたのか?」
「なんでだよ! 偶然一緒になったから一緒に登校してただけだっつーの!」
確かに俺と天ちゃん2人だけってのはかなり珍しい組み合わせではあるけれどもさ!? いきなりそれは酷いんじゃねぇの!?
つかそもそもお前分かっててここで待ってただろ。
「ゴーストさんも……」
「まぁでも良かったじゃねぇか、コイツも変大将に用事があるみたいだったぜ?」
「ちょっと待て、変大将ってなんだ。バカにしてんのか!?」
「あぁ馬鹿にしてるよ。ま、詳しくは後で話すからさっさとガッコーへ行ってこいよ、変態将」
「ちょっと待って、それはもう変態が主になってるよね? もはやそこまでいくとわざとだよね?」
「わーったからさっさと行けっての、セクハラ変態将」
「……もしかして俺の事嫌いなの?」
《視点切りかえ》
「行かせてよかったのかよ。アイツ、なんか変だぜ?」
蓮太と天の背中を見送っている時、隣にいるもう1人のオレである《白》がそう問い質す。
「でも大将は影響が無いみてぇだ。他の奴らみたいに完全に忘れることも、ド忘れすることも無かった」
気になるのはその1点。色々と不確定要素が多すぎるからあんまりハッキリとしたことは言えねぇけど……もしかしたら大将は…………
「それで? わざわざオレを連れ出して何をするのかと思えば、お守りでもしろってか?」
「だからさっき話し合った通りだ。
《アンブロシア》と組み合わせで作ることの出来るもうひとつの霊薬、《ネクタル》。リスクは高いがもしも止めることが出来なけりゃ使うしかねぇ。
「だったら物だけ持ってけよ、オレが怪我してんの知ってんだろ」
「そんだけ動けりゃ十分だ。つーかそもそも
《白》の立場は十分に理解しているつもりだ。敵でありながら今の自分の居場所に納得していない事実も、道具として扱われ続けているのも。
オレだからこそ身に染みるほど感じ取れる。
でも、そのオレから感じることの出来る満足感や安心感も、きっとコイツには伝わっているんだろう。
蓮太の幻体として過ごしていく中で、アイツは1度たりともオレを“便利な道具”としては見なかった。むしろ無駄に飯や風呂まで用意してくる。呆れるほど馬鹿なんだよ。
本当に、呆れるほど。
コイツなら……きっと捨てないだろうなって思えるから。
それにそもそもとして《白》が持っているアンブロシアは最悪の場合自分に使う用だった。幻体なのにも関わらずコイツは主人の元を離れたいと願っているんだ。
オレにだって、コイツにだって意思はある。生きてもいないし、人でもないけれど…………物でもないから。
「そういやぁよ、その霊薬ってどこで手に入れたんだ? 確かあの人形とは連絡が取れないはずだったよな?」
「ココ最近オレの創造主に喧嘩売ってくる輩がいるんだ、厄介な能力者ばかりだがどうやら仲間を探してるらしくてな、まぁそれはいいとしてソイツらが持ってたやつをかっぱらってきた」
「……あぁ? 霊薬はあの人形が生きてる世界の物だろ? なんでそいつらが持ってんだ?」
「さぁな、知らねぇ。アイツらも異世界人だったりしてな」
「…………」
だとしてもありえないだろ。それならあの肉体はオレたちと同じ幻体を使っているって事になる。
蓮太が雷野郎と戦闘になった時、そんな感覚は無かった記憶があるんだが……
「今考えてもしょうがねぇか。とにかくガッコーへ行くぞ。天を一応見ておかねぇと」
「はぁ……へいへい」
こんにちは主です。
今回の投稿を持ちまして現在選択して頂いているモノを終了させて頂きたいと思います。
次回、記憶がインストールされた時、どういった変化があるのか?お楽しみください。