9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
その声には聞き覚えがあった。どこか可愛くて、若干低めのクールさも持ち合わせている声。この声は……
公園に行った時に、姿を表さずに俺を脅してきた奴だ。
未だにフードを深く被り、顔は見せてくれないが、その姿は拝ませくれた。
「人の忠告はしっかりと聞かなきゃダメだぜ?」
唯一見える口元をほんの少しだけ緩ませ、不気味さを漂わすその女はゆっくりと、一歩一歩を噛み締めるような速度でこちらへと向かってくる。
……危険な香りがする。
「るっせーな、人と話す時はまず目を見てから話しなさい。ママに教わらなかったか?」
だが怯んでいられない。これは想定していた通りだ。一人での夜間の外出の危険性は十分理解していたつもりだった。だからこその準備もしたし、心構えもしていた。
「生憎、ママがいないんで………………ねっ!」
何かの溜め動作をした後に、その女は突如として背後の空間から槍を出現させる。
「──!?」
石化の能力じゃない!? いや、今はそれよりも……!
風を切るような音と同時にその槍は勢いよく俺を貫かんと向かってくる。だが…………
槍はたった一本。それに目で追えないような速度じゃない……これなら別に──
「んっ…………!」
上半身を大きく動かすことで、その槍を避けることに成功した俺は、そのまま能力の準備をする。
「なんだ、避けたのか。チッ…………まだまだ上手く扱えねぇな……」
「そんな物騒なもん当てたきゃまずフードを取れよ、そしたら視界が良くなるぜ?」
「テメェに言われたかねぇっての、そのクソ長ぇ髪切れよ」
さて……と。
ヤバいぞ!? 俺とアイツの能力の相性は最悪なんだが!? 遠距離からの攻撃なんてズリィもん持ちやがってこの……!
こっちゃあ範囲が決まってるってのによ!
「ばーか、ロン毛はモテるんだぞ? 南斗だってほとんどロン毛だったろ?」
「一人短髪だろ」
なんか普通に戦闘してるけど、俺に勝機はあるのかねぇ……。自分からは攻撃できない以上は、相手の攻撃に合わせてのカウンターがメインウエポンになるんだが……
なにせ反射だからなぁ……最初の一撃だけが奇襲として使えるから……そこで決めたいな……
「うるせーよ! つーかなんだよその槍、カッコよすぎだろ……羨ましいなコノヤロウ」
「そんなに欲しけりゃ沢山やるよッ!」
次に奴の背後から出てきたのは四本の槍………………
四本ッ!?
次々に連続で飛んでくる槍を二本目までは上手く躱すが……残りは無理だ! 仕方ねぇ!
「
右掌に紋章を浮かばせ、咄嗟に能力を発動する。すると俺の目の前ギリギリで前が全て見えなくなるほどの鏡が出現し、残りの二本の槍を受け止める。
パチスロのような高音を、キュイーンッ!! と鳴らし、鏡に当たった槍は女の方へと向かって跳ね返っていく。
「な……ッ!?」
一瞬の出来事で動揺していたのか、驚きの声が俺の耳にまで聞こえくる。
鏡を消すと、土埃の舞う中で、フードを取った赤目の女が肩を抑えて俺を見ていた。
「…………マジかよ。そういう事か……」
危なかった……能力を使ってなけりゃ、俺があんな風に……いや、もっと酷い状態になってたかもしれない。
反射能力……やっぱり強いな。つっても制限はある。まず第一に俺を中心とした半径2m以内でしか出現させられないこと。そして、マジックミラーでも何でもなくて、両面鏡だから、目の前に出現させると俺の視界も途切れること。
「まさか操作も出来なくなるたぁな……」
……操作。操作?
なるほど、反射した槍は消したりすることが出来ないのか。へぇ……。
「いいモン持ってんじゃん」
「だろ? だから物騒なもんを突き合わねぇで、俺ともっといいモン突き合おうぜ? 突くのは俺だけだけど」
「へへっ……ばーか」
その瞬間に、相手の女の左目の辺りに紋章が出現した。顔の三分の一程を覆うほどの大きな紋章だ。
そして、俺はその女と『目が合った』。
「──ッ!」
動かない。
身体が全く言うことを聞かない。ビビっているのか? いや違う、そんな圧じゃない。まるで、身体が麻痺を起こしたかのように痙攣を繰り返し、自由を奪われている。
これは…………二つ目の能力!
「お望み通り顔を拝ませてやるよ。ほら、ここまで近づきゃあよく見えるだろ?」
右手で肩を抑えながら、不気味な笑顔を浮かべて近づいてくるその女は、顔の紋章をそのままに街灯が照らしている場所まで歩いてくる。
身体はうごかないが…………
「なんだよ、めっちゃ可愛いじゃん…………」
口は何とか動く。
「……うっぜ」
女は更に紋章を強く光らせて、何かの能力を俺にかける。
ヤバいぞ……マジで段々感覚がなくなってきてる……! 落ち着け……! 落ち着け! 冷静になれ!
俺とアイツの目が合った瞬間に動けなくなったんだ。つまり、この身体が動かなくなる能力の条件は視線を合わせること。その証拠にアイツは俺の目から「視線を外さない」。ということはその逆をすれば……!!
身体は痙攣するレベルではあるけど動く。口も普通に動いた。ということは…………
「さっさと死ねよ」
「
能力を使って目の前に鏡を出現させて、俺とアイツとの間に壁を作る。目の前に映る俺自身を確認して、咄嗟に身体を後ろへと動かしてみる。
すると、視線を外した直後に、さっきの痙攣が嘘のように治り、何とか走れるレベルで動けるようになった。
「…………よし!」
アイツ相手に距離を離しちゃダメだ! 遠距離攻撃の槍に、目が合うと相手の身体を麻痺らせる能力の二つを持ってる。俺の能力が反射じゃなけりゃあとっくにもう死んじまってる!!
一気に近づいてぶん殴るしかねぇ……!
相手を殴ることを決意すると、鏡を俺と相手の間に常に出現させて軸をずらすようにしながら大回りに全力で走る。
「
できるだけ最短距離で、且つ、槍を飛ばされても反応できるように……!
「……! アイツ……どこ行きやがったッ!?」
よし、バレてねぇ! 今なら行けるッ!! 移動しながらも常に俺とアイツの間に鏡を追従させてるから、ちゃんと能力が効いてるんだ!
……お勉強をちゃんとやっといて良かったぜ。
完全に俺を見失ってる女の近くに鏡を移動させ、その鏡を追うように俺も真っ直ぐに女に向かって走る。そして──
女の近くで鏡を止めて、勢いよく突撃し、自分が作り出した鏡をぶっ壊して奇襲する。
その時、相手は明らかな動揺を見せていた。
「これでも……喰らえっ!!」
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