9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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互いの能力

 

《盗人》の能力。

 

 それは、九條さん自身を中心とした10メートル以内の範囲の物を問答無用で我がモノとする能力。いわばその範囲内の物に対する「所有権」を自分のモノにするという力。

 

 しかも取られたことに対しての記憶が全く無く、オマケに奪った物は「最初から所有していなかった物」となってしまう。逆に戻すことも出来るが、戻したとしても九條さんが奪っていた期間の記憶は消滅してしまう。

 

 つまりは誰にもバレることの無い絶対的な盗人の力。

 

「なるほどねぇ……それが九條さんの力」

 

 ……ひとまずはそういう事で話を通しておこう。ぶっちゃけ内心ではあのフードの女と手を組んでたんじゃないか? とか思ってるけど、まだなんの確証もない。下手な騒動は避けた方がいいだろう。

 

「アニメじゃあアーティファクトが持ち主を選んでたな。それで……ショックって事か」

 

 端的に言うなら、九條さんの本質が現れた力って事だ。人の物を盗むという力に相応しいと判断された。そりゃぁ…………まぁショックなのかもな。

 

 それに対して俺の力は……物を反射する鏡の力。

 

 うーん…………相応しいかもな。

 

 周りが気にかけてくれる事を全て跳ね除け、教員の目に留まらないように人の真似をして生きてきた。昔こそ色々な人が話しかけてくれたりはしたが……全て突っぱねたからな。

 

 そういう意味じゃあ俺のこの力はまさに相応しいってこったぁ。

 

「真面目に生きてきたつもりだったのに、誰かのものを自分のものにしたいって、そんな欲求が眠っていたなんて……ね」

 

「確かに……自分の醜い部分をさらけ出されたみたいだな。俺も自分の力について考え直してみると……良い気はしねぇよ」

 

「うん。それで……なかなか立ち直れなくて……でも! こんな力でも誰かの役に立てるのならって……」

 

 随分と予想通りの正義感の強い人だ……。傷つく人を見たくない、誰も死なせたくない。よくわからないけど、そんな感じだろう。

 

「いいんじゃねぇか? 力は力でも使い方次第だろうし。能力が善悪を決めるわけじゃねぇよ。善悪を決めるのはいつだって人間だ」

 

「人間……」

 

「どんなに人の為を思って作られた善のものでも、扱う人間次第で簡単に悪になる。道具や能力に罪はないんだ。九條さんが立派な志を持っている以上は善だろうよ」

 

 ついそんなことを言ってしまった。別にこんなことを言うつもりはなかったんだけどなぁ……

 

 なんでだろ? なんか考える前に直感的にこんな言葉が出てきたんだよなぁ……。まぁいいや。別に嘘でもなんでもないし。本当にそう思っただけだし。

 

 今は不思議とさっきの疑問は外れているんじゃないか? とも思うようになった。この九條さんの表情や言葉の重みが演技だとしたら大女優だ。

 

 みんなのように冷たくあしらっても変わらずに声をかけてくれる。迷わずに傷の手当もしてくれる。最初こそ疑ったりしてたけど……今じゃ能力も明かしてくれた。しかも、あの時公園にやってきたのは、ナインボールで俺が九條さんの分の会計を済ませた事でのお礼の為にわざわざ探してまで追っかけてきていたらしい。

 

 だからこそ…………

 

 

 

 

「また力の練習相手になってくれよ? お兄さん」

 

 

 

 

 ……人を信じないと心に決めたはずなのに、心が揺れ動いてる。だが、その甘さは捨てなきゃいけない。

 

 人を信じたから、俺が甘えたから、過去に俺は一番大切な人を失った。

 

 でも……俺はあの頃とは違う。力がある。誰かに縋らなくてもいいような能力が……。

 

 これは甘えなんだろうか? 

 

 この数年、能力に選ばれるほど人と関わらずに生きてきた反動なのか、何故か強く思う。

 

 九條 都(このひと)は……いや、九條 都(このひと)だからこそ……信用してみたい。

 

 いや待て……。簡単に心を開くな。もう二度とあの失敗をしない為に……俺はこの人を試そう。

 

「ありがとう……優しいんだね、竹内くん」

 

「別にそんな事ねぇよ。兄貴から昔似たような事を言われたことがあっただけだ」

 

「竹内くんのお兄さんが?」

 

「…………あぁ」

 

「ぁ……」

 

 つい出してしまった暗めの雰囲気で察してしまったのか、九條さんは申し訳なさそうに謝ってくる。

 

 この手の謝罪にはもう結構慣れたりしたが、めんどいので適当にあしらって1回で終わらせる。

 

「とりあえず、九條さんがその立派な正義の心で事件の事を捜査するのは勝手だが、相手はどんなやつかも分からない殺人者。今は下手に動かないことだ。実際、俺もついさっき襲われたしな」

 

「そ、そうだよ! 大きい怪我はなかったけど本当に大丈夫だったの?」

 

「正直危なかった。俺の能力……あー………………《鏡》の力なんだけど、それでも大ピンチだった」

 

「鏡?」

 

「そ、《鏡》の能力。受けたモノを反射する力。自分の近くじゃないと効果がないけどな」

 

「反射…………それは凄そうだね」

 

「石化じゃなかっただろ?」

 

「あー! もう疑ったりしてませんってば」

 

 なんて冗談を混ぜたりしながら軽く自分の能力について説明する。別に能力を教えてくれたお礼って訳でもないけど……なんだろ。本当にさっきから変だ。心のどこかで九條さんを信用してしまってるのかもしれない。

 

 自覚はないんだけど。

 

 

 

「やっぱり、協力出来ないかな……?」

 

 軽くお互いに笑った後に、九條さんがポツリと呟くように言った。

 

 勿論、仲良くはなりたいと思ってしまったりもしている。今までの人たちとは違う何かを九條さんは感じさせるから。もしかしたら…………なんて思ったり……

 

 でも、やっぱり──

 

「ごめん、それは出来ない」

 

「どうして? 竹内くん、優しいし良い人だし……私と同じであの石化の犯人を探しているのなら──」

 

「無理なんだよ」

 

 どうしてもあの時のことを思い出す。

 

「自分でもよく分からないんだ。色んな感情がぐちゃぐちゃに混ざって、どれが本心なのかがわからない」

 

 

 

 

「どうしても、死んだ兄貴の事が頭から離れないんだ……。だから……ごめん。俺は多分、仲良くはなれても……仲間にはなれない」

 

 

 そう、あの時の……





アンケートの投票ありがとうございます。今回の投稿でアンケートを終了させて頂きます。

今回の結果で、また一つ主人公の選択が一つ決定しました。


次回のアンケートは………………

少し先のお話で校内の火事の際に、主人公は偶然その火事の現場に居合わせます。その時に「新海 翔」と「九條 都」と合流。二人は火が燃えさかる中、火中に飛び込み問題の解決を試みます。

勿論、皆さんが知っている展開ですよね?この時の選択肢をお聞きしたいです。

最後に暴走した炎がありえない軌跡を描き、矢のように、槍のように辺りを舞い、炎の嵐の中にいるような状況になります。
かなり危険な状況、新海君は「咄嗟に助けようとします」が原作とは違い、新海君は間に合いそうにありません。九條さんが危険な状態になります。

「助けますか?」

「助けませんか?」

尚、どちらを選んでも「九條 都」がこの件で死ぬことはありませんが、この先のお話が大きく変わります。
このお話が投稿される直前のギリギリまで悩んでいただいても結構です。悔いのないよう、慎重にお答え下さい。

では。

校内火事事件の際、九條 都を助けますか?

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