9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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意外な人物、遭遇

 

 物陰から聞こえてきた音にタイミングを合わせて、相手が逃げられないように姿を現す。声をかけて動揺を誘い、空いている片手で相手の腕を掴む。

 

「人をこっそりつけ歩くなんて良い趣味とは言えないぜ。警察に──」

 

「ちょ、待ってよ竹内! 僕だよ僕、深沢だよ!!」

 

「あぇ?」

 

 その声を聞いた後、掴んでいた腕の方から相手の顔に視線を向ける。すると見たことのあるような……ないような……クラスメイトがそこに立っていた。

 

「…………深沢?」

 

「そうだよ! ほら、公園に行った時のメンバーにいたでしょ? 女の子にモテモテの深沢だよ!」

 

 いや、深沢がいるのはわかったんだが……なんでこいつが? 

 

「なんで深沢が俺たちの後ろを?」

 

「なんでって! そんなの決まってるでしょ!? 竹内と九條さんの決定的なイチャラブシーンを録画する為にわざわざこうして付けてたのさ!」

 

「イチャ……っ!?」

 

 はぁ……何を言いだすかと思えばコイツは……

 

「別にイチャラブシーンなんかこねぇっつーの」

 

「でも手を繋いでるじゃん?」

 

「「……あっ」」

 

 指摘されて気がつく。これは……あれだ。無意識というやつだ。……つか、あれ? 俺っていつから九條さんの手を握ったんだ!? 

 

 焦った俺は慌てて九條さんの手を離す。

 

「悪い九條さん。咄嗟にとはいえ……本当にゴメン」

 

「ううん、だだっ大丈夫だよ! 気にしないで」

 

 顔を少し赤らめた九條さんは、必死に普段通りを取り繕おうと頑張ってる。うん。ここは変なことを言わずにその場の流れに任せるべきだろう。

 

「ほら〜、早くキスしちゃってよ! カメラの準備は出来てるからさっ」

 

「誰がするかよ……! つかお前もお前だろ! 勘違いだったとはいえ普通後を追っかけるか!?」

 

「そりゃあ追っかけるでしょ! 「あの」九條さんと竹内だよ!? 異例の組み合わせでしょ!?」

 

「いや、まぁ……そこは否定しないが」

 

 今までの学園生活の中で俺はほぼ誰とも絡まなかったからな……多分誰が友人と一緒にいるだけでも異例扱いを受けていただろう状況で、その相手が九條さんだ。

 

 …………ある意味深沢で良かったかも。へんな女の子に見られたりでもしたら……あー、想像したくねぇ。

 

「だから早くイチャイチャしてよ! 1枚五百円で売るんだから」

 

「売らせねぇよ!?」

 

 

 …………

 

 ……

 

 ……

 

 

 深沢からの誤解を解き、せっかくだからという事で九條さんの家の近くまで送り届けることになった俺たちは、再び自転車を引きながら広めの道を歩く。

 

「そういえばさ、地味〜にさっきから気になってたんだけど、その怪我どうしたの? 竹内」

 

「あん? これか?」

 

 ……そう言って指さされたのは例の右腕、そう、あのフードを被った赤目の女との戦闘時に負傷した右腕だ。(自分の力の反動)

 

 まさかバカ正直に言う訳にはいかねぇよなぁ……

 

「野良犬に噛まれただけだ、大した事じゃねぇよ」

 

「うぇ!? 野良犬に噛まれるとか本当にあるんだ!? まぁ僕だったら絶対に噛まれないけどねー!」

 

「なんで?」

 

「そりゃあこう……サッと波のように避けるね」

 

 ふふっと笑う九條さんと目と目のコンタクトをとり、あの件は秘密にしようぜ、とサインを送る。

 

 まぁ、相手がそんな意味まで持っていると憶測することは無理だろうけど……何となく意味は伝わったはずだ。

 

「でもちゃんと気をつけておかないとね、私も噛まれちゃったりしたら大変」

 

「九條さんは平気だよ! これからは僕が毎日送り迎えしてあげるからね!」

 

「晴れて立派なストーカーの仲間入りだな、おめでとう。さぁ……警察行こうか」

 

「うそうそ! 冗談だってば!?」

 

 なんて雑談をしていると、それなりの距離を移動していて、もう家は近いとの事でここで別れる事になった。

 

 俺の家は来た道を戻る方向だし、深沢は俺とは別方向の道、九條さんは近くの家と見事にみんなバラバラの方向に向かう事になる。

 

「じゃねー、バイバーイ」

 

 何食わぬ顔で性格に似合わない女の子のような笑顔を俺たちに向けながら、手を振る深沢に別れの挨拶を告げて、適当に九條さんにも挨拶をする。

 

「じゃあ俺もこの辺で」

 

「今日はごめんね? わざわざナインボールまで来てくれた上に送り迎えまで……ありがとう」

 

「別に、ただちょっと心配だっただけだ。俺自身が危険な目にあったばっかりだからな」

 

「腕の方は……大丈夫? 痛くない?」

 

「あぁ、今のところは」

 

 軽く怪我をしている方の腕をクイッとあげて問題ないことをアピールする。

 

「無茶はしないでね」

 

「しねぇよ。じゃあな、また明日」

 

「うん。またね」

 

 可愛らしくこちらに軽く手を振って来た九條さんに、手を上げる程度の愛想のない返事を返し、歩いてきた道を戻る。

 

 ……うん。

 

「今日一日はだいぶん疲れたなぁ…………」

 

 思い返せばココ最近で今日という一日が一番長かったような気がする。公園に行ったら石像から血が出てくるわ、九條さんから若干疑われるわ、フードの女に殺されかけるわ、クラスメイトがストーカーになってるわ。

 

 ……一日のスケジュールがやべぇだろ、コレ……アホかよ。

 

 さっさと帰って寝よう。お気に入りの眼鏡(伊達)も買い直さなくちゃいけねぇし、単純に疲れたし。

 

 パパっと明日に切り替えて疲れを癒したい。

 

「ふぁ〜……」

 

 寝みぃ。

 





夜景が見渡せるあるビルの一角、その屋上。

そこにたどり着くと、僕よりも先に街中を見下ろしている人物がいた。

「おっまたせ〜」

「おう」

僕も先着していた人物の横に座って、足を宙にぶらぶらと揺らしながら下を見下げる。

「右腕、怪我してたよ」

「オレがやったんじゃねぇ、アイツが勝手にやったんだ。自業自得だろ」

「《反射》のアーティファクト……ねぇ…………。こりゃまた厄介だね」

「まだオレが扱い慣れてないってのもあるけど、それを差し引いてもアイツは中々おもしれぇぜ?」

隣の人物はさっきからそうだ。僕の元に戻ってきてからというもの、ずっと楽しそうに笑っている。

「随分と気に入ってるね。まぁ……僕もだけど」

才能(センス)がある。しかもあの目はマジモンの目だ。オレたちと同じ……同族の目なんだよ」

「でも難しいよねー、実際。今のところはこっちの攻撃は全部効かないんでしょ?」

「効かねぇ。しかも何故かあん時よりも《石化》の進行がかなり遅かった。変な能力を使って抵抗してたと考えても…………結局あんなに時間を稼がれちゃ一撃で仕留められねぇ」

オマケにこっちの能力の条件はバレちゃってるっぽいしなぁ。話を聞いてる限りだと九條さんも僕たちと同じユーザーっぽいし、つい駆りたくなっちゃうよね。

「そうか、あの女の方も力を持ってるのか」

「僕の記憶を読まないで欲しいなぁ」

「流れてくるんだよ、文句言うな」

ま、何にせよこれで……

「五人目……か。探しゃあ結構見つかるもんなんだな。名前は……」

「男の方が竹内 蓮太。女の子は九條 都どっちも僕のクラスメイトだねっ」

「んで既に一人割れてるのが……確か、結城 希亜だっけか?」

「そうそう、ほら石にしちゃった子と同じ、玖方の子だよ」

「知らねぇよ」

結構女の子がいっぱいでラッキー!

「ほんっと下らねぇ……」

「なんだよ、君だって竹内に興味があるんでしょ」

「アホか」

そんなことを言いながらも、隣の子はじーっと下の見つめている。

うわぁ……ガチで気に入ってるじゃん……。僕の幻体とは思えないなぁ。

「でも、残念ながらまだダメだよー。対策が練れない以上はどうしようもないからね」

「わーってるよ、じゃ、ちゃっちゃと他の奴殺しちまおうぜ」

「そうしよっか」

校内火事事件の際、九條 都を助けますか?

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