9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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救世主、罪への意識

 

 突如聞こえてきた声、その声と共に俺の後ろの方から雷のような轟音を鳴らしつつ、凄まじい光が無数の槍をかき消していく。

 

 一つ一つを確実に打ち当て、瞬く間に槍は消滅していった。あまりに突然の出来事に脳の処理が追いつかない。

 

「チッ……仲間がいたのか」

 

「なか……ま?」

 

 その言葉の意味を理解出来ずにいると、斜め後ろの方からコツコツと誰かがこっちへやって来ている足音が鳴り響いてきた。

 

「仲間ではない」

 

 その足音は徐々に大きくなっていき……

 

「ただ、敵でもない」

 

 その直後に、あの光が俺の身体を貫いている槍に当たり、粉々に吹き飛ばす。それほどの破壊力がある力を、的確に槍だけに当てて。

 

「一言で表すのならば……同士……ね」

 

 そう言って俺のピンチを助けてくれた人物は…………

 

「玖方の……子?」

 

 俺がフード女を追いかける前に駅前でぶつかった、黒髪のあの子だった。

 

「いつまでそこで寝ているの。さっさと立たないとまたやられるわよ」

 

「言ってくれるじゃんか……」

 

 おもっくそ身体を貫かれてるのを見てただろーがよ……。くっそ……

 

 ま、助かったけど……

 

「ふーん……」

 

 そんな俺たちの会話を邪魔するように、フードの女は玖方の子に向かって四本の槍を飛ばす。

 

「……!」

 

 その槍を見た玖方の子は咄嗟に構えてその槍を避けようとするが……

 

「避けなくていい。そのままそこで立っててくれ…………反射鏡(リフレクション)ッ」

 

 その子の前に鏡を出現させ、その四本の槍をフードの女の方へと跳ね返す。

 

「さっきはありがとう、助かった。後は俺に任せてどこか遠くへ逃げてくれ」

 

「嫌。そもそも貴方一人じゃまたやられるのがオチ。ここは私の能力だけで十分」

 

「いいから逃げろって、そろそろ奥の手が使えるタイミングになるから俺だけでも勝てる」

 

「それに、私は「玖方の子」ではない」

 

「人の話聞けよ」

 

 ゆっくりと腰を上げて、俺も玖方の子の横に並ぶようにフードの女を方へと身体を構える。

 

「とにかく、今も見ただろ? 防御に関してなら俺は問題ない、時間さえ稼げりゃ俺の勝ちなんだ」

 

「それなら、私の矛は無敵。貴方が時間を稼がなくてもすぐに終わらせられる」

 

 ……くっそ、コイツ結構頑固だな。いくらユーザーだとしてもあいつはマジモンの戦闘狂、油断をすれば簡単に死んでしまうだろう。

 

「ジ・オーダー……アクティブ」

 

 彼女が詠唱のようなものを唱えると、玖方の子の左目に紋章が浮かび上がり、不思議な光の線がその左目に集まっていく。

 

「おっと……それはまずい……!」

 

 少し慌てた様子でフードの女は数本の槍を出現させて、その全てを玖方の子に向かって飛ばす。

 

 チラッと玖方の子の方へと視線を向けると、彼女は微動だにせずに、じっと相手の方を見ているだけ。

 

 その顔には若干の焦りの色が見えた。

 

反射鏡(リフレクション)ッ!」

 

 それを確認した後に、咄嗟に能力を使い、彼女を槍から守る。

 

「おい! 何棒立ちのままでいるんだよ!? 危ねぇぞ!?」

 

「……万能ね、その能力」

 

「だから人の話を聞けって──」

 

「この場で言い合うのは無駄だと思うのだけれど?」

 

 ……! 

 

 いや確かにそうだけどさ! 口喧嘩してる暇じゃねぇのは十分わかってるよ! ったく……! 

 

「そうだな! 時間の無駄だ!」

 

 落ち着いて考えろ。状況を読め。

 

 この玖方の子の能力は確かに攻撃力は高いんだろう。しかも範囲も広い。それはさっき助けられた時に実際に目で見たから確実な情報だ。

 

 そして俺のこの能力、一面分しか守ることは出来ないが……範囲攻撃を駆使すれば最悪こちらへの攻撃は全て防ぐことは出来る。

 

 仮にあのフードの女が逃がしてくれると考えても……ここは協力した方が勝率が確実に高い。

 

「玖方の子、悪いけど何言われても俺は逃げるつもりはねぇからな。アイツと戦うってのなら意地でも俺はお前を守る、俺の力はその為の能力だ」

 

「そう、私も悪を前にして背を向ける気は無い」

 

「だったらここは協力しねぇか? 悪いが、どんな力を持っていても1対1ならアイツに勝つのは難しいだろう。アイツ、その気を出せば視線を合わせるだけで動きを止める事ができるんだ」

 

「…………そのようね」

 

 ……「そのようね」? どういう事だ? なんであたかも自分の経験のように……! 

 

 そうか! さっき飛んできた槍を避けなかったのって、視線を合わされて動きを封じられてたのか!? 

 

「そういうことか……、だったら協力する気になったか?」

 

「貴方の能力は優秀、さっき奥の手が使えるって言ってたわね」

 

「あぁ! 大量の槍をアンタの能力で蹴散らしてくれりゃあ、なんとか相手をひるませることは出来ると思う」

 

「じゃあその作戦で行きましょう。同じ志を持つ同士として協力するわ」

 

「そうこなくっちゃあなぁ! 玖方の子!」

 

 真隣にいる玖方の子と意気投合すると、俺は右足を前に出してすぐさま走ることが出来るように腰を軽く落とす。

 

 そしてわざわざ待ってくれていたフードの女を目掛けて走り出そうとした時、玖方の子から声をかけられる。

 

「希亜」

 

「……は?」

 

「「玖方の子」じゃない。私は「結城 希亜」名前よ」

 

 ……あ、さっきから気にしてたもんな。まぁたしかにこの呼び方は失礼だったか。

 

「そっか、俺は「竹内 蓮太」。数分の間よろしくな、結城さん」

 

「希亜でいい。私も蓮太と呼ぶ」

 

「はいよ……じゃあ行くか、希亜」

 

 少し気を引き締めて、改めてフードの女を睨む。睨んだ先のあの女は戦闘が楽しみなのか、不気味な笑みを軽く浮かべて、俺たちの攻撃を待っていた。

 

「作戦会議は終わったか?」

 

「あぁ……! 負けた時の言い訳でも考えとけよ!」

 

「貴女の罪は……私たち《ヴァルハラ・ソサイエティ》が裁くッ!」

 

 

 

 

 …………ん?

校内火事事件の際、九條 都を助けますか?

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