9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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登校前のお買い物

 

「つかさ」

 

 あの廃ビルから移動して、今は街中。何を食おうかと考えながらブラブラと歩いていると、隣にいるゴーストから話しかけられた。

 

「なに?」

 

「さっきも言ったけど、よくオレみたいな奴を信用できるな」

 

「あー……」

 

 確かに……昨日までの俺だったらこんなことにはならなかったかも? そもそもとしてあの廃ビルまで追っかけて行かなかっただろうしな。

 

「普通はもっと距離をとると思うぜ? どうかしてるよアンタ」

 

「お互い様だろ。…………お、モックでいいか?」

 

「どこでもいい」

 

「よしきた」

 

 適当に見かけたモックの店内に入り、俺はテリヤキバーガーのセットを注文する。……そういやゴーストは金持ってねぇとか言ってたっけか? 

 

「なんかいるか? ちょっとくらいなら買ってやっていいけど」

 

「いらねぇ」

 

「飲み物は?」

 

「いらねぇつってんだろ、聞こえてねぇのか」

 

「すみません。今のセットにバニラシェイク追加で」

 

「チッ……」

 

 感じの悪い舌打ちが聞こえてくる。なんだよ、俺の優しさだろ素直に受け取れよ。

 

 少し待ってやってきた食べ物を持って、適当な二人用の席に座ってシェイクを渡す。

 

 ちなみに俺は烏龍茶。

 

「はい、これお前の」

 

「だから、いらねぇつっただろ」

 

「買ってやったんだからちゃんと飲めよ、それ俺のオススメの飲み物だから」

 

「知らねぇよテメェが勝手に買ったんだろ」

 

「え? なに? ダイエット?」

 

「ちげぇよ死ね」

 

 なんて適当にセットのポテトをつまみながら改めて時間を確認する。うーん……昼まで三時間ないくらいか。どこ行こうかな。

 

「だったら飲んでくれよ、流石に手ぶらの女の子放置して自分だけメシ食えねぇよ」

 

「……ったく」

 

 ゴーストはふてぶてしい態度で、買ってやったシェイクのストローを咥えてちゅ〜っと中身を飲む。すると──

 

「んだよこれ甘すぎだろ」

 

「美味いだろ?」

 

「ガキの飲み物だろこんなん……」

 

 俺も自分の烏龍茶のストローに口をつけ、その中身を飲む。

 

「バカにすんなよ! 俺の大好物を教えてやったんだぞ!」

 

「お前は何飲んでんだ?」

 

「烏龍茶」

 

「ふざけんな! そっちよこせ!」

 

 甘い飲み物がお気に召さなかったのか、買ってやったシェイクと俺の烏龍茶をバッと取り替えて、ゴーストはお茶の方を飲む。

 

「ばっ! テメッ! そのお茶俺のだぞ!」

 

「甘いの好物なんだろ! そっちお前が飲めよ!」

 

「人の厚意をなんだと思ってんだ!」

 

 ふざけやがって……ったく……

 

 取り返してやろうと思ったが、ゴーストは有無を言わさず横取りした烏龍茶をちびちびと飲んでいる。しかもなかなか机に飲み物を置こうとしない。

 

 コイツ俺が取り返さないようにずっと持ってやがるな……! 

 

「もういいわ」

 

 もう取り返すのを諦めて、頼んだバーガーの包みを外しパクリと一口。するとそれを見たゴーストはそのタイミングで飲み物を机に置く。

 

 うっぜ! コイツうっっっぜ!! 

 

 んだよイライラすんな……! 

 

 なんて思いながらシェイクの入った飲み物を一口…………

 

「美味っ! やっぱ好きだわこのシェイク!」

 

 イライラが一瞬で飛んで行ったわ! 

 

「……もうお前わかんねぇ」

 

 

 …………

 

 ……

 

 ……

 

 

 二度目の朝食を済ませ、店を出た後に再び適当にブラブラと歩く。まずは……アレだよな。

 

「どこ行くんだ?」

 

「眼鏡買いに行く」

 

 そう眼鏡。伊達だけど俺なりのオシャレというか変装というか、なんかそんな感じのやつ。基本的には外出する時には必ず俺は掛けてくんだけど……

 

「眼鏡……? ああ、そういや最初はそんなもん持ってたな」

 

「だろ? お前にせいでなくなったから買い直しに行くんだよ」

 

「よかったじゃねぇか、これを機に買い直せて」

 

「おう、ありがとう。余計な出費を出してくれて大変感謝してる」

 

「ドウイタシマシテー」

 

 こいつホントなんなの!? ココ最近の俺の疲労の原因の殆どは君のせいなんですけど!? 

 

 そんな雑談をしながら俺たちが訪れたのは、適当な商店街の中にある洋服屋。ここはオシャレ用の伊達眼鏡を取り扱っているところで、珍しく品揃えもかなり豊富。俺のお気に入りの店だ。

 

 ズラーっと壁一面に掛けられている大量の眼鏡を見て、どれにしようかを悩むが……

 

「どれにするかなーっと……」

 

「なんでもいいだろ別に。視力悪い訳じゃねぇんだろ?」

 

「ばーか、ちょっとでもいい感じになるようにここは慎重に選ぶべきだ! お前もオシャレくらいするだろ?」

 

「しねぇよバカ。……そこ座ってっからさっさと決めてくれよ」

 

 なんてその場から離れようとするゴースト。

 

 ……じゃあなんで俺についてきたの? 

 

「せっかくだからお前も考えてくれよ」

 

「はぁ?」

 

「一緒に考えた方が早く終わると思うぞー」

 

 と俺に呼び止められたゴーストは、明らかに適当に手に取った黒の眼鏡を持って、俺の耳に掛ける。

 

「うぉっ……びっくりした……」

 

「……ん」

 

 ……? 

 

「んってなんだよ」

 

「それでいいだろ。黒いし」

 

「黒いって理由だけかよ」

 

「るっせぇな、黒が好きなんだよ」

 

 一応選んでくれた眼鏡を手に取って、改めて見てみると……

 

 これってアレじゃねぇか? 前回俺が買ってた奴の色違いじゃ……? 前回のやつは暗めの青色のこれと同じタイプだった……

 

「覚えてたのか?」

 

「…………偶然だっつの」

 

 へぇ……適当に選んだのかはわからないが、一応真面目に選んでくれたみたいだな。

 

「早く終わらせたくて適当選んだのかと思ってた」

 

「チッ……! 適当だ」

 

 だったら舌打ちすんなよな。

 

「そっかそっか。じゃこれ買うわ、ありがとな」

 

「やっぱうぜぇよテメェ」

 

校内火事事件の際、九條 都を助けますか?

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