9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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白と黒、事件の直前

 

 この間から何とかしなきゃと考えてた用事を済ませ、店を出たあとも適当にゴーストと色んなところをぶらついた。

 

 彼女はこんな都会に住んでいるにも関わらず、基本的には外で遊んだりしないとの事で、考えつく所を片っ端から二人で移動した。

 

 といっても昼休憩の時間までの約一時間程度では行けるところは限られており、大したところは行けていない。近場で適当にウインドウショッピングをしてみたり、人気のないゲーセンに行ってみたり、本当に適当。

 

 しかも俺自身もそんなに外出をするタイプでは無いため、街中の知識が豊富な訳でもない。彼女の行きたい場所も無さそうだし、どこに行こうかと悩んでたのも事実。けど考えるのが面倒になってたのも事実。結局の所は面倒になってブラブラと歩いただけ。

 

「アンタ色んなとこ知ってんだな」

 

「俺がっつーか、お前が知らなすぎるだけなんじゃね? どっか色んなとこ行ったりはしねぇの?」

 

「行かねぇ。アイツはちょこちょこ色んなとこ行ってるみてぇだけど」

 

「……? 友達でもいんのか?」

 

「友達……じゃねぇけど、まぁ知り合いだよ」

 

 さっき言ってた希亜と似たような奴って事か? ってまぁ……別に気にするところじゃねぇな。

 

「てか思ったんだけどさ、お前っていっつもそのパーカー着てんの? 昨日もそんな感じの服装だったよな?」

 

「んだよ悪ぃかよ、あぁー……この服しか持ってねぇんだ」

 

「……え? 一着を使いまわしてんの?」

 

「めんどくせぇ事聞くなよ……ちゃんと清潔にはしてる、人の服装にちゃちゃ入れんな」

 

 いやまぁ……確かに黒色のパーカーは似合ってるけど……なんかこう……なんつーんだろ。もっとこう……明るい色の服買えばいいのに。

 

 それこそ白色とか……って、そう言えば昨日は白いパーカーだったような……? 

 

「……!」

 

 と考え事をしていると、ゴーストは何かに驚くようにその場でピクリと動きを止める。

 

「おい、どした?」

 

「……! なんでもねぇ」

 

 ……? 変な奴だな。トイレにでも行きたくなったか? 

 

「オレの事よりも、時間は大丈夫なのか? 随分と長いことウロウロしてっけど」

 

「んぁ? 時間時間…………あー……そうだな、そろそろ行かなきゃまずいかもな」

 

 指摘されて改めて確認してみると、もう十二時を過ぎていた。つー事は今は午前の最後の授業中だろうから……今から向かえばいいタイミングで着きそうだな。

 

「じゃ俺はそろそろ白泉に行くわ、付き合ってもらって悪かったな。結構楽しかったぜ」

 

「ああ……!」

 

「もう悪ぃことすんなよ〜」

 

 と大分長い事一緒にいた割には軽めの適当な挨拶で別れを告げて、学園の方へと歩いていく。いちいちゴーストの方へと振り向きはしなかったが、後ろの方から「うるせぇ」と言われたので、手を軽く振ってその場を後にした。

 

 コツコツと歩きながら真剣に考えないといけない事がある為、頭をそっちの方へと切り替える。

 

「……遅刻の言い訳、どうしよ」

 

 友達と遊んでました! 

 

 ……これは怒られるな。つか当たり前だべや、そもそも電話も無視してるんだから。

 

 お年寄りが道端で倒れてて……

 

 ベタすぎんだろ、しかもそれだけの理由で昼間まで遅刻しねぇだろうし、まず電話に出ろよって話だよな。

 

 寝坊しました! 

 

 殺されるわ、下手したら反省文だろそれは。

 

 うーん…………面倒くせ、適当に成瀬センセに伝えてそれっぽく誤魔化してもらおーっと。あの人も一応立場的に怒るだろうけど、一番話が早く終わりそうだ。

 

 

 

 

 

 この時はまだ知らなかった。

 

 学園で二度目のアーティファクトに関する事件が起こることを。

 

 

 ──────────────―

 

「行ったか……!」

 

 危なかった……! 流石にアイツにこの事実をバラしたくなかったからな。

 

 蓮太(あのバカ)の姿が見えなくなると、胸の奥から湧き出てくる叩くような痛みを解放し、オレの意識が薄くなる。

 

「……ッ!」

 

 ドクンッと心臓が跳ねるような衝撃を身体全身が走り、今度はオレが胸の内に入ったような感覚に陥る。

 

「……ったく、さっさと変わりやがれ。テメェのせいでみすみす逃がしちまったじゃねぇかよ」

 

 せっかくとっていたフードを深く被り直し、アイツが歩いていった方とは反対方向へと勝手に歩みを進める身体。

 

 こうなるとオレの意思はもう必要ない。

 

「つかちゃんと殺しとけよな。気に入った奴だからこそぶっ殺して力を奪えよ」

 

 後は眠るように意識が無くなるのを待つだけ……

 

「聞いてねぇなコイツ。まぁいい、今はオレのターンだ。好き勝手やらせてもらうぜ」

 

 どんどんオレの身体は街の中を歩いて移動していく。薄れいく意識の中、店の窓に不意に映ったその姿は、自分でも呆れるほどに不気味な笑みを浮かべた、「白いパーカーを着たオレ」だった。

 





こんにちは、主です。
ただいま行っているアンケートですが、次回の投稿で終了させて頂きたいと思っています。
チラリと結果を見ていたんですが……圧倒的でしたね、笑
ギリギリまで〜と記載していましたが、多分……ひっくり返らないかな…?なんて思ったりしちゃってます、笑

と、そんなお知らせでした。では。

追記…予定では本日の夜(時間未定)か、明日の午前10時頃になると思います。

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