9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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不明、それと忘却

 

 あの時の不思議な体験。それは俺が何故か九條さんの能力に介入出来たこと。人の能力をサポートできる……というか能力の共有なんて、アーティファクトからの説明じゃ無かった。

 

 それにアニメでもそんな描写もなかったし、そもそも俺がそうするつもりで力を使った訳では無い。

 

「わかんねぇよな……普通に考えるなら、元々アーティファクトにそんなことが出来る力があったか、どちらかの能力の応用か……だよな」

 

「そうだよね、一番可能性が高そうなのは……竹内くんの能力の応用、かな?」

 

「まぁそうだよな。あの時の紋章も九條さんとは左右対称になってたし」

 

 そう、俺自身の紋章が一時的に消えて、その代わりに九條さんの左手の甲に浮かび上がった紋章が、鏡合わせのように俺の右手の甲に現れた。

 

 多分……俺の能力だよな。

 

「一応確認したいんだけど、竹内くんはあんな能力があるって知ってたの?」

 

「いや、知らね。そもそもアーティファクトから教えてもらってない」

 

「そっか、それじゃあ……ああなっちゃったのは偶然なのかな」

 

「うーん……。多分?」

 

 俺自身よく分かってないからな……ハッキリとした返事後できないんだよ。

 

 でも、あれがもし故意に扱うことの出来る力になれば、相当強力な能力だよな。誰か他人の能力を真似できる模写能力。弱いわけが無い。

 

「とりあえず試してみるか。あの力がいつでも引き出すことが出来るモノなら間違いなく使えるし」

 

「え? でも、そんな簡単に出来るものなの?」

 

「さぁ? 物は試しって言うだろ? とりあえずやってみようぜ」

 

「う、うん……」

 

 

 …………

 

 ……

 

 ……

 

 

 それから俺たちは二人で能力の実験をしまくった。あの時と似たような状況を作り上げて再現してみたり、「ハンドパワー!」と言いながらアーティファクトに念を送ってみたり、鏡の性質を調べているうちにいつの間にかネットサーフィンしていたりしていた。

 

 そんなこんなで時間は過ぎていき……気がつけばもう五時頃になってしまっている。

 

「やばい……こんなことしてる暇なんてないのに……」

 

「結局、ネットを使ってお洋服見てたりしてたね」

 

 そう、ネットサーフィンの流れで安くて着やすそうな物をポチってしまったのだ。そのことに対しての後悔はないが、結局肝心なことが何も分かっていない。

 

「ご、ごめんね? 私が鏡について調べてみようなんて言ったから……」

 

「いや、九條さんのせいじゃない。俺の意思の弱さの表れだ」

 

 自分で言うのもアレだが、集中力の無さは誰よりも自信があるからな。

 

「結局何もわからなかったけど……いつかはわかるだろ。特にココ最近は変な事件にやたらと巻き込まれるんだ。否が応でも能力使っちまってるからそのうちなんとかなるさ」

 

「なんて言うか……竹内くんって考え方が楽観的だよね」

 

 あはは……とハッキリとしない笑顔をする九條さん。

 

 うん……そうなんですよ。わりと適当な人間なんスよ、俺。だってそうじゃん? 確かに詳細が判明すれば間違いなく大きな力になるけど、ノーヒントじゃ無理があるわ。

 

「真剣に考えすぎるのも面倒だろ? 一つのことに固執すると周りが見えなくなるもんなんだよ、だから真面目になりすぎない。これが俺のモットーだ」

 

「ふふっ、素敵な信念だね」

 

「おう、是非真似してくれ」

 

 

 

 

 なんてことを話しながら再び談笑をしていると、外はもう六時を過ぎていた。流石にこれ以上は家に返さなきゃまずいと思い、家から出てアパート前まで送り届ける。

 

「本当に一人で大丈夫なのか? あれなら別に送ってくぞ?」

 

「大丈ー夫、竹内くんは休んでて? ただでさえ倒れちゃうくらいに疲れてるんだから」

 

「そうか……? まぁ一応気をつけて帰れよ? なんかあっても連絡してくれたら直ぐに駆けつけるから」

 

「まるでヒーローみたいだねっ。でも、本当に大丈夫です。まだまだ夕方でたくさんの人が外にいるから」

 

 確かに、時刻はまだ六時過ぎ。わざわざこんな人の多い時間を狙ってユーザーを襲うようなバカはいないと思うが……心配しすぎなのだろうか? 

 

「わーったよ。んじゃな、また明日」

 

「うん、また明日」

 

 去り際に手を振って自転車に跨り、慣れた動きで素早く帰っていく九條さんの背中を見送って、家に戻る。

 

 そして、ベッドにぼふんっとダイブして横になる。

 

 ボケーッと天井を見ながら今日一日を振り返るが……昨日に続いて今日も偉い長く感じた一日だった。

 

 朝からゴーストに襲われて……微妙に仲良くなって……買い物して……火事に巻き込まれて……気絶して……九條さんと雑談して……あれ……? なんか忘れてる? 

 

 俺……なんかしておかなきゃいけないことがあったような……? 

 

 まてまて、落ち着いて一日を振り返れ。えぇっと…………

 

 

 

 

 

 

 

「私のRINGのID。ヴァルハラの仲間として伝えておく」

 

「え、あ……うん。後で連絡しとく。ヴァルハラじゃないけど」

 

「今度こそ、また会いましょう」

 

 

 

 

 

 

 …………あっ!!!

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