9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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HappyBirthday! 都 中編

 

 もう何度目になるだろう……

 

 こうして2人で並んで歩くのは。最初はどこかぎこちなかった俺達も今となっては大ベテランだ。もちろん良い今での慣れ、好きだという気持ちはあの時以上。

 

 あの時に踏みとどまらなくてよかった。今でも不意に思うんだ。

 

 

 

 

 

 

 もし都を助けられなかったらと思うと…………

 

 

 

 

 

 

「……? どうしたの?」

 

 なんてことを考えていると、俺の顔をちらりと覗き見るように首を傾げる都。

 

「ん? いや、流石にそろそろ夜は冷えるなって思ってただけ」

 

「もう11月だもんね。お店の方でもクリスマスの記念商品を考えてたよ」

 

「へぇ……普段からあの人気だから、クリスマスの2日間なんて相当賑わうんだろうな」

 

 特に何も無い平日でも時間帯によればお客でいっぱいになっているんだ。だからあの2日、もしかしたらその前後もかもしれないけど……こりゃ地獄を見そうだ。

 

「うん……だから、ごめんね? いくら人手不足だからって、臨時でアルバイトしてもらうだなんて……」

 

 申し訳なさそうに俺の方に視線を向けながら謝る彼女。そんな彼女の手を握り繋ぎ、やれやれと言葉を紡ぐ。

 

「いいって、そもそも俺からアルバイトをさせてくれって申し出たんだしさ。都のお祖父さんにも許可は貰ってる……っつーか頼られてるのが嬉しいんだ」

 

 正直、プライベートで都と一緒に居られないのは結構残念に思うけど……それは都本人もそうだろう。けれど彼女にとってはそれと同じくらい、いや、それ以上にお店と、家族も大切なんだ。

 

「お爺様、とっても頼れる彼…………氏さんだって褒めてたよ」

 

「なに今更照れてんだよっ、自分で言ってて顔が赤くなってるぞ」

 

「だ……だって……」

 

 付き合いたての頃ほどではないが、湯上りのようにほんのりと顔を赤らめる都は、恥ずかしそうに俺との距離を1歩縮めてくる。

 

「ほん…………との事だもん……」

 

「……ははっ、じゃあ都が胸を張って言えるようにもっともっと頑張らなくちゃな」

 

 そんな可愛く照れている彼女に俺も1歩寄り添い、家までの帰路を辿っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜自宅〜

 

 

「ご馳走さまでしたっ♪」

 

「はいよ、お粗末さん」

 

 やけにルンルンとご機嫌な都と食事を摂り終わる。

 

「ビーフシチューとっても美味しかったですっ」

 

「そりゃよかった、作り甲斐が有るってもんだ」

 

「ちょっと食べすぎちゃったかも……」

 

 確かに珍しかったかも? ほんの少しだけとはいえおかわりまでしてくれるなんて思ってはなかった。

 

 美味しい美味しいと子供のように無邪気にビーフシチューを食べる都は可愛かったなぁ…………って……

 

「……? どうかした?」

 

 とあることに気がついた俺は、つい数秒間の間、都の口元を見つめてしまっていた。

 

「……本当に子供みたいだ」

 

「……?」

 

 目を点にして、わけがわからなそうにしている都のすぐ側に近づき、その口元に手を伸ばそうとする。

 

 その瞬間、ちょっとしたいたずらごころが働き、面白そうなことがピンッと思いついた。

 

 わざとに服を緩めさせ、まるでその気になっているのかのように振る舞いつつ、改めて腕を回して、口元に指を伸ばす。

 

「……えっ? あっ、まっ…………今は…………っ!」

 

 何も言葉を発していないにも関わらず、急に再び顔を赤らめた都は、口では否定しつつも、その身体は嫌がる様子もなく、むしろ都の腕も俺の背中にいこうとしたその時。

 

「スープ付いてる」

 

 とほんの少し都の口元に付いていたビーフシチューを指で拭き取って、ペロリと舐めてしまう。

 

「………………」

 

 すると自分が勘違いをしていたことに羞恥心を覚えたのか、みるみるうちに更に熱を宿していき……

 

「〜〜〜〜〜………………ッ!!」

 

 プルプルと震えながら顔を下に向けてしまった。

 

「(耐えろ……! 笑うな……耐え…………! ダメだ可愛い……!)」

 

「……ど、どうしたんだ? 都。急に顔を赤くして下向いたりなんかして……」

 

 わざとに何も気がついていない雰囲気で何気なく問いかけてみる。

 

「な、ななっ、なんでも……ないでごじゃいます…………!」

 

「言葉が変になってるぞ? なんだよ……熱でもあんのか?」

 

「違っ……! くて……! えっと……その…………!」

 

 あれからそういう行為も沢山してきたが、それでもまだ都はその類の話は恥ずかしいようで、心の底から照れている様子でキョロキョロと視線を泳がせる。

 

 いざ始めると大胆になるのになぁ……

 

「熱じゃないの? それなら…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エッチすると思った……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉を彼女の耳元で囁いた途端に、都はぼふっと恥ずかしさの限界が来たのか、一瞬動きを止める。

 

 そして────

 

 

 

 

「絶対わざとだっ、意地悪だよぉっ!!」

 

 と、その恥ずかしさを振り払うかのように彼女にしては少し大きな声で誤魔化していた。

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