9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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知り得る秘密、その為に

 

 登校が完了し、自分の席にたどり着くと、カバンを置いてスマホを取り出す。目的はもちろんさっき貰ったIDにRINGで文を送るためだ。

 

 わざわざ止めてまで教えてきたということは、なにか俺に用件があるのだろう。

 

 そう思ってとりあえず登録した相手に適当に挨拶をする。

 

『さっきIDを受け取った者です。竹内 蓮太と言います』

 

 特に変哲もない文をポンっと送る。そんでスマホを閉じて休み時間にでもなったら返信が来てるかな? なんて思っていたら、十秒くらいで返信が返ってきた。

 

「早……」

 

『突然申し訳ございませんでした。私、誰かとお話するのはとても緊張してしまうんです。こんな形で返事をしてしまってごめんなさい。私は香坂 春風と申します』

 

 いや長ぇな、あの短時間でここまでの文をタップ出来んのかよ。ヤバすぎだろ。

 

『気にしてないんで大丈夫。なにか要件があるんスか?』

 

 あ、ちゃんと説明を加えて置かないとわかりづら──

 

『ゴーストさんってご存知ですよね?』

 

 ……ッ! 

 

 思わず身体が一瞬止まってしまった。

 

 あんなに悩んでいたのはなんだったのかと思ってしまうほどに、すんなりとゴーストの情報が聞き出せそうなことに正直驚きを隠せない。

 

 …………ここは絶対に友好的な態度でいかなければ……! 

 

『知ってる。彼女について何かを?』

 

 つかそもそもなんでこの人がゴーストの事を知ってるんだ? アイツは友達とかは作らない性格のはず…………って、そう言えば希亜と初めて共闘した時になんか言ってたな……。似たような奴がいるとか何とか。

 

『竹内さんのことはゴーストさんから聞いていたんです。何かあったら頼れと言われていまして……』

 

 アイツ……俺の知らねぇとこで何勝手なこと言ってんだよ。

 

 っと……本当はすぐにゴーストのことについて聞いておきたいが……流石にここはその話をするべきタイミングじゃあないだろう。アイツが勝手に言ったこととはいえ、そう言われて尚、俺に連絡をしたということは頼りたいことがあるって事だ。

 

『まぁ……アイツがそう言ったのなら。俺なんかじゃ大した力になれないと思うけど、困ってることがあるなら相談くらい乗るッスよ』

 

『ゴーストさんもそうですけど、お二人とも、とても信頼し合っているんですね』

 

『そんな事ない。むしろ今のところは振り回されっぱなしッスよ』

 

『素敵です』

 

 信頼し合ってるねぇ…………そんな事ねぇだろ。アイツは結局最後まで俺を突き放しっぱなしだったし。

 

 それにそもそもとして、俺とゴーストは出会ってまだ二日目だっての。

 

『それで、頼りたいことって?』

 

『竹内さんもユーザーなんですよね? 私も不思議な能力を手にしてしまったんですけど……上手く能力が扱えなくて……』

 

 きっと俺のことを知ってるのはゴーストが軽く喋ったんだろう。どう言った経緯で二人が知り合ったのかも少し気になるところだが、まぁ今はそれはいい。

 

 能力が上手く扱えない……ねぇ。そんな事言われてもな、ハッキリ言って練習して練度をあげるしか……

 

『俺だって特別上手い方ではないと思うからなぁ……がむしゃらに練習してただけだし』

 

『他の方にも似たようなことを言われました。やっぱり沢山練習をしなくちゃいけないんですね』

 

 ……? 他の方? もしかして香坂さん、色んなユーザーと知り合いになっているのか? 

 

『他の方? 誰かにこのことを相談したんですか?』

 

『私、元々《アガスティアの葉》っていう掲示板で書き込みをしていたんです。そこで偶然知り合っていた方が能力について知っていたみたいで……でも、その方にも練度が不足していると言われちゃいました』

 

 アガスティアの葉っていやぁ……確かあのアニメのファンサイトじゃなかったっけ? あの……ファルシのルシがパージでコクーンみたいなやつ。

 

 なりきりの人ばっかりだと思ってたけど、案外本物も紛れ込んでいたりしていたんだな。こりゃ意外だ。

 

『それじゃあ、まずはもう一度会ってみないっスか? 俺としても、聞きたいことが少しあるから……そろそろHRも始まるし詳しい話はその時って事でどうです?』

 

 なんにせよこの文面上だけではどうにもこうにもいかない。ひとまずは会ってからちゃんと話をしてからだ。

 

 まぁ……あんなにテンパってた人が普通に話せるかは置いておいて。

 

『わかりました。頑張ってみます』

 

 さっきまでは爆速で返事が返ってきていたが、この一文だけはそこそこの時間を有した返答だった。

 

 それだけ迷っていたんだろう。しかし、極度の人見知りだと言うことは自分自身が一番知っているはず。それでも会ってくれると言うんだ。その勇気にはしっかりと答えなければいかないだろう。

 

『ありがとう。また放課後に連絡を入れるよ』

 

 と返事をしてから、やっとこさスマホを直す。

 

 思いのほか早くに来た絶好のチャンス。この好機を逃す訳には行かない。それに香坂さんもユーザーなんだ。なんの能力かはわからないが、もしかしたら俺にとって力になるものかもしれないし、知り合っておいて損は無いだろう。

 

 正直蜘蛛の糸を掴むような思いだ。これしか今はゴーストに関しての情報が得られそうにないから。

 

 兎にも角にも、まずは放課後だ。お互いに利用するような関係になってしまったが、別にそこには悪意はない。本心で香坂さんをどうにか助けたいとも思っているし、情報が知りたいとも思っている。

 

 だからこそ……なんとか良い関係にならないとな。

 

 それにしても…………俺の会話のぎこちなさがやばい。我ながら言葉遣いがおかしい、陰キャ丸出しだ。

 

なんとか直していかないとなぁ……




皆さんこんにちは主です。
では前回お話した通り、今回の投稿でアンケートを終了させて頂きたいと思います。
次回アンケートはまた開始する直前に事前報告した上で開始しますので、その時も是非投票してくれたら嬉しいです。



そして……やっぱみゃーこ先輩の人気凄いですね、笑
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