9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
人生は選択の連続。
その数だけ枝は増え続ける。
怯えないで、確かに既にこの枝では人は死んでしまった。けれどこの事件から犠牲の文字は離れない。その上にあなたは立たなければいけない。
あなたは……ほんの少しずつ変わっている。それが少しでも良い枝へと迎えるように……
行きましょう。選択したその未来へ。
「はぁ…………」
結局、アテにしていたアンブロシアの霊薬でもどうにもならない。だが、ソフィーティア曰く俺なら奇跡とやらを起こすことができるという。
んな事言われてもよぉ……
でも……悩んでいてもしょうがない。やれることは全てやるんだ。必ず探し出す。
奇跡とやらに賭けるのも悪くないが、準備できる分は全て事前に準備しておく。下手したら……いや、下手をしなくてもオリジナルとは戦いになるだろう。
俺の能力を欲しがっているようでもあったし……
備えるんだ、全てに。ゴーストをもし無事に守ることが出来たとしても、俺が死んでちゃ意味が無い。
俺たちで生きるんだ。
…………
……
……
あれから、そこそこの時間が経って放課後。今からはとうとうあの香坂さんとのご対面だ。
さささっとRINGを使って香坂さんに連絡を入れ、何かと便利のいいナインボールで合流しようという事になった。
本当は同じ白泉生徒だし、構内のどこかでも良かったのだが……喫茶店の方が落ち着きやすいだろうと思い、そっちにした。
だって道端でほんの少し会話をしただけで(会話になっていない)石のように固まってしまう人だ。少しでも心が落ち着けるような場所でないとなんか……見てられなくなりそう。
ちゃんと本人からの承諾も得たし……後はナインボールに向かうだけなんだが……その前にRINGの送信先を九條さんに変えて、『わかった、ありがとう』と返信をする。
その理由は昨日のあの男たちだ。結局のところ、アイツらは九條さんの元へは向かっていないらしく、未だにアーティファクトを自分の元に留めているんだろう。
調べてみたら、同じ学園の一つ下の学年の生徒ってことが分かったが……どうやら今日は登校をしていないらしい。
友人らしき人も昨日の夕方から連絡が取れなくて心配だ。と言っていたから……おそらく俺から逃げるためとか、そんな理由で避けているんだろう。
まぁでもそれも限界が来る。いつかまた登校してきた時に今度こそアーティファクトを回収しておかないとな。
「さて……いくか。まずは前半戦」
香坂 春風……なかなかに手強そうだが、どうにかしないと何も始まらない。まずは相手の問題の解決、それからその報酬としてゴーストの情報を聞き出す。
……協力的な人なら嬉しいんだけどな。
なんて思いながらもテクテクと歩いていく。その行き先はもちろんナインボールだ。
確か相談事ってのは……能力が上手く扱えない、だったよな?
何か解決策を考えるにしても、まずは会わないと何もわかんないし。善は急げってな。
なんてことを考えながら歩くこと約二十分。やっとこさナインボールに到着。とりあえず中へと入ると……
「…………あ、いた」
数ある席の中でも一番地味めなところ。窓際ではあるが入口からは見えにくい場所に、見覚えのある女の人がちょこんと座っていた。
スマホをいじるわけでもなく、本を読むわけでもなく、何かを注文している様子でもなく、ただじっと机の真ん中を不安そうに見ている女の人。
間違いない、あの胸の大きさは香坂さんだ。
……判断基準がひでぇな。
なんて自分にツッコミをしながらも、すでに香坂さんが座っている席へと歩いていく。
途中で店員に接客をされたが……待ち合わせの人がいると説明すると、分かっていたかのようにすんなりと案内された。
そして未だに俯くようにしている香坂さんに、とうとう声をかける。
「おまたせ。香坂さん……だよね?」
間違いないと思ってはいるが、一応確認。もし激似の人物だった……みたいな展開だったらかなり恥ずかしい思いをするから。
確認と言ってもとりあえず席には座ってみる。するどそこでようやく俺に気がついたみたいで、一気に今にも泣き出してしまうんじゃないかと思うほどにオドオドとし始めた。
「あっ、あの、その……、は、はい……」
……マジかよ。「はい」の一言を言うだけでこれかぁ…………。余程人と話すのが苦手と見える。どうにかして心を開いて貰うには……やっぱり雑談から入るしかないか?
「朝も会ったけど、俺は竹内 蓮太。改めてよろしく」
できるだけ柔らかく、フレンドリーな感じをイメージして接してみる。もちろんこの人もユーザーである以上は注意すべき人物なのだと分かってはいるんだが……こんな性格の人が人を殺すなんて思えない。
ましてや自分の能力が上手く扱えない事を正直に人に相談するような人だ、殺人などは間違いなくしていないだろう。
「上手く話せそうにないなら無理はしなくていいから、とりあえず何か頼もう? 香坂さんはここには来たことがある?」
メニューを開き、香坂さんが見やすいように反転させ、テーブルの上に置く。
相変わらずオドオドとしているが……ま、まぁ、まだまだこれからだ。
「わ、わた、私……、私、は……あま、り…………」
「そっか、じゃあこれからはココをオススメするよ。この店の食べ物は安いし美味いからさ。今日はアレだけど……また機会があれば是非来てみて?」
「…………っ」
コクコクっと首を縦に振り、なんとか俺との会話を成立させようとしてくれている香坂さん。
うーん。会話を頑張ってしたいって気持ちは十分に伝わってくるんだが……やっぱりまだ難しいんだろうか。
つかなんでそれなら俺に連絡をしてくたんだ? って、アレか、俺がいきなり会おうなんて言ったのがまずかったのか。本人的にはそんなつもりはなかっただろうし。
「とりあえず俺は……そうだな……。アイスコーヒーでいいか、香坂さんは?」
「………………っ」
プルプルと震えた指を頑張って動かそうとしているが……如何せんなかなかその指先が定まらない。
うん。かなり緊張しているようだ。
「アイスティーで……いいかな?」
一瞬そのの方向へと指さした気がしたから、ほぼ勘で頼みたいものの確認を取る。すると、ブンブンと音が聞こえそうなほどに頭を縦に振るもんだから、若干反応に困る……
なんか……脅してるみたいでやだな……
「あはは……そっか。すみませーん!」
その場しのぎの注文の段階でこれなんだ。これから疲れるぞ…………でも、頑張らないとな。うん。
香坂さんと一緒に神社へと向かうこと、希亜に話す?
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一応伝えた方がいいだろう。
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いや、必要ないな。