9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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喫茶店での戦い、後編

 

 飲み物が届いた後も、なんとか会話を転がそうと香坂さんに話しかけ続けるが……相変わらず相手は気まずそう……というか、テンパリが半端ない。

 

 会話のスタイルは最初と全く変わらず、上手く弾まない言葉のキャッチボールに戸惑いすらも覚えていた。

 

 つかキャッチボールじゃなくて完全にドッヂボールだな。

 

 でも、ありがたいのは、こんなにも人見知りな人なのにも関わらず、逃げたりせずにちゃんとここに来てくれたこと。それに未だに頑張って会話をしようとする意思が感じられること。

 

 その証拠にまだ会話が噛み合ってはいないが、最初よりは随分か聞き取りやすくはなってきていた。

 

 そんな中、唐突に香坂さんから変な質問をされた。

 

「な、な、何故……、そ、その……、ゴー、ストさん……を……」

 

「何故って……」

 

 それはもちろん……もちろん…………もち………………? 

 

 いや、そんなのは決まってる。今更悩むことは無い。

 

「似てたんだ、昔の俺に……そっくりなんだ。周りは誰も信じちゃくれない。自分の存在意義もわからない。でも、誰かを守らなきゃいけない。そんなとこがそっくりだったんだよ」

 

 俺はそれが出来ずに、兄貴を死なせてしまったけれど……あんな悲しみは、あんな苦しみはもう誰にも知ってほしくない。

 

 今まではもう二度とあんなことは起こさせないと、自分の為に生きていたのが、どっかの社長令嬢のせいで心を動かされた。でも、どこか兄貴も応援してくれているような気がして……今の俺は正しいんだって思うようになった。

 

「俺は……兄貴がいてくれたから自分を保てた。兄貴が俺を必要としてくれてるのならって思うと、どんなことでも頑張れたんだ。アイツにはそんな奴が必要なんだよ、自分を信じてくれて、自分を肯定してくれる。そんな存在が」

 

 そうだろ……。

 

「幻体だろうが、んなもん関係ねぇ。そこに心がある限りは生きているんだ……」

 

 そんな奴が消えようとしている。また……俺の近くで誰かが死のうとしている。もう嫌なんだよ、たくさんだ。

 

 大切な人がいなくなるのは苦しいんだ。だからこそ俺は大切な人を作らなかった。友人も恋人も、誰一人。

 

 そんなやつをこれ以上現れなくするために、アイツがそんな目に遭わなくてもいいように、戦うんだ。俺は。

 

「だから居場所を知りたいんだ。奇しくもそれが石化の能力者に繋がるらしいしな」

 

「…………っ」

 

 そこ瞬間に違和感。

 

 息を飲むような声が聞こえてきて、俺たちの空気感が一気に変わる。

 

 そしていつの間にか目を閉じていた香坂さんが、ゆっくりと瞼を上げると…………

 

「素敵ですわ、互いを思いやる心……感服致しました」

 

「……へ?」

 

 ごめん、訂正。空気感が一気に変わるんじゃなくて、香坂さんの雰囲気がガラリと変化した! 

 

 さっきまでの自信の無いオロオロとした雰囲気は一切感じられなくなり、どこか品のある、そう、女王様のような感じになった!? 

 

「素敵な《愛》ですわね。私も応援致します」

 

「え……あ、いえ……違います」

 

「あらあら、照れていらして?」

 

 えぇ……、なんなんだよこの人……。つかいきなりこんな性格が変わるなんて有り得るのか? 元々こんな性格だった……? いやいや、それは無いだろ。

 

 二重人格の線が固そうだな。でもここまで反転するなんて……実例あるのか? 

 

 ……目の前にあるんだけど、まぁいいか。

 

「愛には様々な形があるもの、蓮様の思いやりの心も立派な愛ですわ」

 

「れ、蓮……様……?」

 

 なになになになに!?!? この人怖い!? 

 

 様って何!? サマって何!? 

 

「私に声を掛けて頂いた際も、蓮様の優しさの愛によるもの。貴方は私に言い寄ってくるだけの方々とは違う……本物の愛を持って、私を心配なさってくれた。…………これはもう運命、ですわね」

 

「は、はぁ…………」

 

「今夜21時、神社にてとある方とお会いする予定なのですが……私と共に、向かいませんか? もしかしたらゴーストさんについて、何か知ることがあるやも知れませんが」

 

「21時?」

 

 わざわざそんな夜中に……か。しかもそこへと向かうとゴーストについて何か知ることがあるかもしれない……と。

 

 そいつもゴーストを知る人物だということか。

 

「はい。そうですわね…………私の力を偶然発見し、『仲間になりたい』と思うことにした……というのはどうでしょう?」

 

「仲間? どういう事だ?」

 

「AFユーザーの為のAFユーザーによる集団。というものを司令官さんはお作りになられる様で、詳しい事は来てのお楽しみ。ですわね」

 

「司令……」

 

 よく分からねぇが、とりあえずそこに行けばゴーストに近づけるんだな? それなら……

 

「行くよ。連れてってくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 と、成り行きで何か情報が掴めそうな人物と出会うことになったんだが……。今俺は悩んでいる。

 

 チームには入っていないとはいえ、希亜は俺に協力的だ。ゴーストについても探っていてくれている事だろう。とすると、やっぱりここは希亜にこの件を伝えるべきだろうか? 

 

 あの疑い深いアイツの事だ、警戒をして守る為〜とか言って付いてきそうな気もするが…………

 

 どうしよう?





こんにちは主です。今回も皆様に選択してもらうためにアンケートを実施したいと思います。

今回のアンケートは……お話の流れのとある人物と出会う事を、結城 希亜に《伝える》か《伝えない》かです。たったこれだけですが、この先の物語を大きく動かします。最終的に統合されない枝の分岐ですね。

投票期間は今日からの三日間を予定しています。投票終了時刻は、6月18日(土)の23時59分です。

上記のことを踏まえた上で、ご理解の程よろしくお願いします。
















下手をすると………………取り返しのつかない結果になるかも知れません。

香坂さんと一緒に神社へと向かうこと、希亜に話す?

  • 一応伝えた方がいいだろう。
  • いや、必要ないな。
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