9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
暗い世界を月明かりが照らす。
オレが見つめる先には石になった人間が四体置かれていた。
そしてそれを見ながら、オレは買ってきたバニラシェイクを飲み続ける。
「……甘ぇ」
やっぱりコレは苦手だ。ただ甘いだけの飲み物じゃねぇか。
「こっちはまだマシだけどな」
すっかりと元に戻った右手に持っているコレ。名前は……確かテリヤキバーガー。
さっき一口だけ食べてみたんだけど、こっちはまだ食いもんとしては美味かった。
「つか全然この二つ合わねぇじゃん。アイツ馬鹿なんじゃねぇの?」
まず間違いなくこの飲み物が歯車をぶち壊してるんだよ、アイツの味覚はわかんねぇなぁ……
オレもなんでこんなにファーストフードをもりもり食ってんだか。
ま、食っても太んねぇけど。
「ぁむ…………」
飯を食うってこんな感じだったんだなぁ。でも、なんか足りないんだよ。
別に食ってるものに文句がある訳じゃない。飲むものにはあるけど。
オレが知ってる《食事》ってのは……もっとこう……なんだろ、賑やかだったと思うんだ。もちろんそれは騒がしいって意味じゃなくて……
心……? って言うのか? 身体の芯から明るくなるような……そんな感じだ。
「楽しくねぇ」
アイツはなんか楽しそうに食ってたよな。すっげぇ幸せそうにコレを飲んでたっけ?
ダメだダメだ、やっぱオレには合わねぇや。やっぱりオレの退屈を掻き消せるのは殺し合いだけだな。
そうと決まれば対策だ! アイツの鏡の能力を…………て……。
「もういねぇのか」
アイツはもう死んだんだ。今更考えることでもねぇし、もう楽しむことも出来ない。
「チッ…………」
イライラする。オレは何にイラついてるんだよ……。くっそ……。
つか何回アイツの事を思い出すんだオレは……馬鹿かよ。死んだ人間なんてもうどうでもいいだろ。今までもそうやって切り捨ててきただろ。
「俺になにかできることは無いのか? お前を助けたい」
「…………ッ!?」
なんでアイツの言葉が急に……、クソ……《黒》と記憶が混合したか?
助けたいって……
だァァクソっ! 忘れろッ!
「可愛いじゃん」
「……ッ!?」
クソっ! やめろっ! オレの記憶から出ていけッ!
お前はもう死んだんだ! 死んでまでオレを攻撃してくんじゃねぇよ!
クソっ! クソっ! クソっ! ふざけんな! ざけんなっ!!
近くの壁に向かって何度も何度も頭を叩きつける。痛みを感じることでその苦しみから逃げるように、ひたすらに思いっきり叩く。
少しでも早く抜け出したくて、少しでも早く忘れたくて。
けど何度叩いても消えない。何度叩いても忘れない。むしろ叩けば叩くほどあいつの事を思い出す。
「それは…………お前の意思なのか?」
電流でも流れてきたかのように、脳が震える。
あの時の言葉が唐突に脳裏をよぎる。
「違う……! 違う違うッ!」
心が苦しい。心臓を手で包まれているかのようだ。
オレはオレだアイツはアイツだ! 《黒》は《黒》なんだ! 《白》は《白》なんだッ!
ある時唐突に作られたオレという二つ目の人格。創造主サマの都合のいいように、便利良く使われる為に作り出されたオレ。
それでも、しっかりとオレという存在はそこにあった。
それが二分割にされたとしても、どちらのオレにも《自分》があった。だからこそオレは《オレの意思》であの石像を壊さなかったんだ。
ただ、《黒》は自分を強く持っていた。だからこそ創造主サマのコントロール領域から逃げ出せたんだ。
それに引き換えオレは…………
度々身体の芯から湧いてくる殺意に飲まれ、自分を失った。だからこそ、
無理やり作られた存在だとしても、《白》も《黒》もなかったんだ。どっちもオレなんだ。
だからこんなにも苦しいんだ。辛いんだ。
これからも……こんな気持ちのままかよ…………!
殺意に飲まれて、人を殺し続けるのかよ…………ッ!
「助けてくれよ…………蓮太…………ッ!」
次回、4月21日の《喫茶店での戦い、後編》の続きを始めます。
もちろんあの時とは逆の道を進みます。是非、物語の続きをお楽しみ下さい。
そして次回投稿で現在のアンケートを終了させて頂こうかと思います。明日中に投稿予定ですが……申し訳ありません。時間は未定です。ご理解の方よろしくお願いします。
協力相手は?(2度目)
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ヴァルハラ・ソサイエティ
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リグ・ヴェーダ
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********(意味無し)
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ソフィーティア
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イーリス