9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
「さて……と」
時刻は19時46分。予定の時間よりもまだまだ早すぎる。
気になる事は結構あるが……まずは────
「とりあえずは間に合ってよかったな、ゴースト」
アイツが能力で出していた赤い槍は肉体を傷つけるものじゃない。つまり魂とかの概念的な物を攻撃できる手段だ。俺には効果は大分薄いが……コイツの場合はそれが命取りになるのかもしれない。それの実験も兼ねてわざわざ攻撃してたのかもしれないが。
「あ、あぁ……」
なんだかゴーストの様子がおかしい。もしかして、この異常事態でもある事が起きてしまったことで何か問題が出たんだろうか?
「どうした? なんか元気なさそうだけど」
「あぁ……いや、なんでもねぇよ」
「……? まぁなんかあったらすぐ言えよ? 出来ることはそんなにねぇけど……もしかしたら力になれるかもしれねぇし」
ソフィ曰くなんかあるみたいだからな、俺は。
実際、本当にここに来ただけでとりあえず何とかなってたし……なんなんだろうなコレ。
…………そう言えばソフィのやつ、あの時既に人格が別れる……的なことを言ってたような?
「じゃあ……………………んっ」
「ぅん?」
それなら──と言わんばかりに、ゴーストは手に握られた容器を俺に向ける。
「いや「ぅん?」じゃねぇよ」
「ぁん?」
「そういう問題でもねぇっつーの」
グイッとゴーストは一歩俺に歩み寄ってきて、突き出すようにして手を伸ばす。
「受け取れよ、コレ」
「受け取れったって…………俺と契約するってのか?」
「アンタなら他の奴よりマシだからな。ほら」
一応それを手に取り、渡されたものをマジマジと見る。
不思議な色だ。
「俺でいいのか? せっかく自由になれたのに」
理由は不明ではあるが、『誰かの力』じゃなくなったんだ。しかもしっかりと意思もある。それをコイツは手放そうってか?
「わかんねぇことが多いんだ、もしかしたらこのまま《それ》と一緒に消えちまうかもしれねぇし……そんならアンタに契約しておいて欲しいんだよ」
……その可能性もないとは断言できないが……まぁ確かにそうか。ただでさえ前例のない事が連続で起こっているんだ、このままだと消滅するかもしれないって気持ちで過ごすよりは、誰かに契約してもらった方が気持ち的にも楽だろう。
しゃあない。
「後悔すんなよ?」
「あぁ」
その返事を聞いた後に、手渡された容器の蓋を開け、口の中に飲み込む。
特に味はしない。それに不思議な力が湧いてくるようなお約束もない。
なんだろ……? ただの水を飲んだ感じだ。でも不思議と能力の扱い方は頭に入り込んでくる。
ふとゴーストがいた方向を見ると、アイツは姿を消していた。どこに行ったのかは…………探さなくてもわかる。
えぇーっと……? 身体の内側から魂を出させるイメージで…………
「おぅ」
「おぅわっ!?!?」
いつの間にか出てきていたゴーストが、視界外からひょこっと顔を覗かせてきた。
「び、ビックリした……んだよ、出てきたんなら出てきたって言えよ!」
「テメェが自分で出したんだろうがよ……」
「にしても…………すげぇな、こんな感じなのか」
結構簡単に出せるんだな、へぇ〜こりゃちょっとしたお使いにはちょうどいいかも?
「オレをパシリに使おうたぁ……いい趣味してんじゃねぇかよ大将」
……思考が読まれてる。
「これってさ、あくまで俺の想像でゴーストの見た目が決まるんだよな?」
「無視かよ。…………まぁそうなるな、今はアンタが
なるほどね……確かに俺は今、《黒》のゴーストをイメージした。本人の意思的な物は変えれないだろうし変えようとも思わないけど……髪色程度なら変えられるのか?
…………ッ! それならさ! 俺が想像から服をとっぱらえば、ゴーストは裸に────
「したらぶっ殺す」
「はい、ごめんなさい」