9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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追憶の弐

 

 それからの俺の中学生活は中々に悲惨とも言えるべきモノだった。

 

 流石にいじめ等は起こることは無かったが、誰一人同じ学年で声をかけてくる奴なんかはいなかった。しょうがないさ、ビビってるんだから。

 

 特に記憶にない事まで捏造されてるし、噂とは酷いもんだと思ったりもするが…………その発端は自分で作ってしまってるんだ。しょうがないだろう。

 

 友達等がいなかったからか、思いのほか自分の勉学に時間を割くことができて、成績は徐々に上がっていく。涼ニィの行っている高校は偏差値がかなり高いからもっともっと高みへと向かわないと到底追い越すことはできないだろう。

 

 それに…………学校側も協力はしてくれないだろうしな。

 

 入学式の時からずっとそうなのだが、どうやら俺は危険生徒なるブラックリストに載っているらしい。何をするかわからんと常々警戒をされている。

 

 明らかに俺だけを敵視するような扱いを受け続け、むしろこっちの方がいじめと言っても刺し違えないだろう。

 

 けれど俺はそんな事じゃ折れない。

 

 こんな目に遭っていても涼ニィがいる。それに…………

 

「おっ! 蓮太じゃん!」

 

「…………なんだ、千紗姉か」

 

「なんだとはなんだ! こいつ〜!」

 

 首に腕を回され、そのままアームロック。拳をグリグリと押さえつけられ、一方的な暴力を使われる。

 

 そんな相手、この女性の名前は「里中 千紗」。涼ニィと俺の幼なじみであり近所に住んでいるこれでも立派なお姉さんだ。

 

 ちょっと乱暴だが、俺の境遇を理解してくれていて心を支えてくれている大事な一人。恋心などは抱いてはいないが、友達としては本当に大好きな人。世話焼きの癖に手先が不器用なのがたまにキズだが……まぁ相当な美人さんだ、いつかは必ず結婚出来るだろう。

 

 多分…………その相手は涼ニィだろうけどね。

 

「ちょっ!? 痛っ!? いいのか!? 涼ニィに全部チクるぞ!」

 

「じゃあチクられないように喉を潰しとかないとね〜」

 

「こふっ!? ちょっ…………! マジふざけん──」

 

 

 

 

「痛たたたたたたたたたっ!?!?」

 

 

 

 

 …………

 

 

 ……

 

 

 ……

 

 

 

「お邪魔しま〜す!」

 

 あの格闘の後、結局俺ん家まで来て上がっていくとか言い始めた千紗姉。

 

「ったく……よくあの流れで家に遊びに行くなんて言えたな」

 

「夜ご飯のおすそ分けのついで! 目的はこっちだから!」

 

 とかなんとか言いながら、リビングにあるゲーム機を起動してサバイバルホラーであるゲームをプレイしている。

 

「蓮太〜! マーセやろ! マーセ!」

 

「いや俺はこれから勉強する時間だから……」

 

「いーって! いーって! アンタなら間違いなく私たちの高校に入れるから! 涼ちゃんの弟だしね!」

 

「『大好きな』が抜けてるぞー」

 

「うっさい! しね!」

 

「口悪ぃな!?」

 

 そんなこんなで無理やり千紗姉の隣に座らせられて、結局二人でゲームをすることになった。千紗姉は大統領直属のエージェントを、俺はそのキャラと関わりの深い女スパイを扱って、高得点を目指す。

 

 これが意外と面白くて面白くて、結局涼ニィが帰ってくるまでひたすらゲームをプレイしていた。

 

 そして…………

 

 

 

「うわっ!? やばい負ける!?」

 

「そこそこ! そこに緑の葉っぱ落ちてるから!」

 

「いやハーブだろ……」

 

「あー! あー! あ──ー…………」

 

 画面に映し出されるGAMEOVER。どうやら死んでしまったようだ。

 

 つか──

 

「何結局涼ニィとゲームしてんだよ……」

 

「なんだ〜おうおう、嫉妬か〜? 若い癖に女っ気を気にするようになったかぁ〜!?」

 

「涼ニィ、ウザイから追い出していいかな」

 

「まぁまぁ……」

 

 涼ニィが帰って来たあとも、なんだかんだでゲームに夢中になっており、結局一通り晩飯が用意出来るまでの間は俺に変わって涼ニィと千紗姉が二人でずっとゲームをしていた。

 

「ほら、さっさとゲーム止める! どうせ千紗姉も食ってくんだろ? 三人分用意してるから」

 

「やった〜」

 

「おっ、出来たか!」

 

 トントンと料理をテーブルに運んでいき、みんなで座って食卓を囲む。

 

 そして「いただきます」と三人で言った後に、年上の二人がガツガツと料理にがっついた。

 

「美味っ! こりゃお母さんも顔負けだわ」

 

「だよな! おばさんのこれもかなり美味しいけど、やっぱり蓮太のが一番だよ」

 

「この料理も最初は千紗姉から教わったんだけどな……」

 

 遠い過去、お姉さんに任せなさいっ! と言いながらも自信満々に俺に料理のいろはを教えて、その全てを失敗したという伝説を残した女だからな、千紗姉。

 

 ちなみに当時からまだ俺の料理の方がマシだった。

 

「いや〜やっぱ私の指導が完璧だった証拠だね!」

 

「あぁ、完璧だったな。完璧な反面教師だった」

 

「チッチッチ……あえて失敗を見せることで、成功の為の方法を学ばせる。わざとなんだよ、わ! ざ! と!」

 

「どうだか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 とこんな感じで、俺にも多少は友人に近い人がいた。そのおかげで俺は何とか楽しいと思える生活を送っていたんだ。

 

 ちなみに実はもう一人、涼ニィの大親友である人物がいる。少し小柄の男でもちろん涼ニィと同い年、ぶっちゃけ女の子と勘違いしてしまいそうな程に可愛らしさを持った人。

 

 その人の紹介は……また次回だ。

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