9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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1人目

 

「《魔眼》のユーザーを……特定……ッ!?」

 

 目を見開いて驚きを見せる九條さん。けれど、少し言葉を詰まらせながらも、急がず俺の言葉を待ってくれていた。

 

「今すぐに……なんて事は言えないけど、俺が一番犯人に近い気がするんだ。手元にある証拠さえ確信に変わればだけどさ」

 

 一番可能性があるとしたら、《司令官》が《白ゴースト》との契約者。もし、あの時に《黒ゴースト》が言っていたように、()()()()が石化のユーザーの手がかりになるのならば…………自分の契約者が《魔眼》所持者ということじゃないだろうか。

 

 もちろんこの考えに固執してしまうのは良くないが…………どうしてもこの可能性が高い。

 

 そしてその《司令官》と接触出来るのが、香坂さんと《白》ゴースト。頼るべきは香坂さんだが…………能力の詳細もよく判明していない人と接触を続けてもいいものだろうか? こっちもこっちで確証がない限りは油断しない方がいい。

 

「なっ、何か私たちにできることはないかな!?」

 

「…………」

 

 協力……か。

 

 してもらっていいのだろうか。もしも俺が伝えたことで九條さんたちに何か危険が迫ってしまったら…………

 

「できることはなんでも手伝うからっ」

 

 いや……下手にここで《白》ゴーストや司令官の事を知られて勝手な行動をする方が危険……か。

 

 少なくとも俺が知っている事実を隠すことで、何かの情報を手に入れた時に九條さん一行は俺に相談してくる可能性が高いだろう。

 

 そうなると危険な人物と会わせることを止めることが出来るかも。

 

 それに九條さんは女の子だ。話を聞く限りだと新海の妹もコミュ力はあるそうだし……上手くいけば俺以上にあの人の情報を引き出せるかも……

 

「…………ある人と仲良くなって欲しいんだ」

 

「ある……人?」

 

「あぁ、香坂 春風って人なんだ。その人が鍵になる」

 

 どんな形でもいい、あの人とさえ仲良くなれば《司令官》については何とかなる。けれど敵だった時が危険だ。《白》ゴーストと司令官と関わりを持つ唯一の人、アイツらの仲間という可能性も捨てちゃあいけない。

 

「香坂……春風さん……。うん、わかった。頑張ってみるね」

 

 その目は力強く、けれどどこか優しく、真っ直ぐに俺を見ている。

 

 俺は……俺は、この人を失いたくない。

 

「けど…………」

 

 話していくうちに、いつの間にか俺たちは上半身を起こしていた。さっきまでの楽しい空気が一変してしまったからだ。

 

 どうしてもこうなってしまう。俺の判断は正しくないのかもしれない。また巻き込んでしまっているのかもしれない。けど………………

 

 

()()を守れるかもしれない。

 

 

 彼女の肩をがっしりと掴んで、こんな事でも危険な事だと察知してもらう為に、真剣な眼差しで俺は語る。

 

「無茶はしないでくれ。絶対に一人で行動しないでくれ。必ず…………」

 

「必ず…………」

 

 なんて言えばいい。何を伝えればいい。

 

 彼女に怯えさせずに、この気持ちをどうやって伝えればいい……! 

 

 …………

 

 …………ッ! 

 

「必ず、またハンバーグを食べさせてくれ…………なっ?」

 

 精一杯の笑顔。

 

 苦手だった、人との関わり。

 

 今この瞬間の俺は、今までの自分自身を否定するかのような事をしている。

 

 また失うかもしれない、また辛くなるかもしれない、また苦しくなるかもしれない。

 

 けど……そうはさせない。絶対……絶対させない。

 

「絶対…………俺が守るから……!」

 

 既にあの子は死んでしまった。あの頃の俺は思えば馬鹿だ。人が死んでしまったのに笑っているんだから。

 

 関係ない人ならいいのか? 違う。死んでもいい人間なんていない。みんな誰かの大切な人なんだ。

 

 俺以外は。

 

 そんな時、俺の手に暖かい手が重ねられる。

 

 小さくて、綺麗で、優しい手。

 

「…………約束」

 

「……え?」

 

 その手はすぐに俺の手から離れて、小指をピンッと立てて俺の方を向いている。

 

「全部が終わったら、またここにご飯を作りにくるね」

 

「……! ……………………あぁ、約束」

 

 これは俺自身との約束でもあった。

 

 この胸に抱いた思いは嘘でもなんでもない。

 

「「ゆーびきーりげーんまん♪ うーそつーいたら────」」

 

 みんなを守る。その為の指切り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数時間後、九條さんに補足できる事を全て話して、家まで見送って俺は自宅に戻っていた。

 

 冷静になって考えてみる。

 

 香坂さんの事はひとまず九條さんチームに任せる形で行くことになった。それは三人チームでありながら、女子が二人というアドバンテージを存分に扱うためだ。

 

 ユーザーであるのは九條さんだけだが…………危険がありそうな時は連絡を貰う約束になっている。それは必ず守ってくれるだろう。

 

 …………《必ず》……か。

 

 

 

 俺は俺のできることを探す。とりあえずは………………

 

 スマホを開いてあるメッセージアプリを起動。そしてある人物と連絡を取るためにメッセージを送る。

 

『色々と伝えることができた。出来れば情報を共有したいんだが…………今大丈夫か? 希亜』

 

 俺にも仲間はいる。頼りになる仲間が。

 

 俺自身の幻体となった《黒》ゴーストの事、司令官の存在。その危険性。香坂 春風さんの存在。そして間接的に協力してくれている彼女らの事。俺たちのこれからの行動。

 

 色々と話したい事はある。

 

 ピロンっと音が鳴る。その理由は一目瞭然、俺が送ったメッセージの返事だ。

 

『手短にならないのであれば通話をしましょう』

 

 よし。

 

『わかった、じゃこっちからかけるよ』

 

新海 翔の恋人は?

  • 九條 都
  • 新海 天
  • 香坂 春風
  • 結城 希亜
  • ぼっち
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