9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
天真爛漫、対面
…………結局、どう行動するのが正解なんだろう。
さっきから何度も何度も同じ事を悩み続けている。大切だと認識したからこそ、みんなを危険な目に遭わせたくはない。けど、みんながいないと犯人を特定できない。
それに…………
ゴーストの解放というのは、《白》の事だ。あの耳かき天国の後、《黒》が深刻そうに言っていた。
《白》は本当は助けて欲しいんじゃないか? と。《黒》が俺の元へとやって来てからは、いつもは半分程度の活動時間だったのが、そんな制限が無くなった。
だからこそ強く感じているのではないか? ってことらしい。
その根拠は、元々は一人だったこと。どういう理屈かはわからないが、《黒》が前の契約者の所にいた時は、悲しさや苦しさ、負の感情から出来た《反発》の心が宿っていたらしい。
つまりは自分の契約者でありながら、その元を離れたいと願っていたのだ。
しかしあくまで《白》と《黒》は別でありながら同一存在。人格が別れてはしまっているが、同じゴースト。
だからこそ、あの時に感じていた心を《白》も持っているんじゃないか? と。
でも、アイツはオリジナルに都合のいいように作られた存在。そもそもそんな考えになっているのだろうか?
だからこそ反発心を抱いているのか? 一人で考えても仕方がないのは十分にわかっちゃいるが……どうも落ち着けない。
…………気がつけばもう夜は明けていた。
「ガッコー、行かなきゃな」
…………
……
……
今日はいつもよりもかなり早めに家を出た。理由はもちろん夜に眠れなくて時間を持て余していた事。
考え事を長くしていたせいか、どうも疲れていて上手く頭が回らない。いや……多分こっちの理由は睡眠不足が原因だろう。
ボーッとしていて朝食を食べることすらも忘れてしまった。というわけで俺は今、駅から近いコンビニの店内にいる。
本当はあのパン屋にもう一度向かおうと思っていたのだが、なんか途中で面倒になってコンビニで妥協したのだ。
適当なおにぎりとシュークリームとたいやきを手に取ってレジで並んでいると、誰が客が入り込んだのだろう。店の扉が自動で開く。
特に最初は気にしてなんかはいなかったが、入ってきた人が何かにぶつかったのか、結構な大きい声で「あ痛っ!?」と叫んでいた。
そんなちょっとマヌケな声が聞こえてきたらチラッと見たくなる。
するとそこには────
「なんだよぅ! なんでこんな所にカゴの山があるのっ!?」
なんて言いながらコンビニに置かれているカゴに向かって怒りをぶつけている女の子の姿があった。
銀色に靡く髪、なかなか派手な髪型のあの子は、1度見たら忘れない。あれは……新海の妹、新海 天だ。
…………何やってんだ、あの子。
しかし不思議に思ったのは、あれだけ派手にガシャガシャと音を立てたにも関わらず、
「次のお客様どうぞー」
とりあえずは元気そうだし……先に買い物を済ませてから声をかけてみるか。知り合いなんだから挨拶くらいは……な。
なんて思いながら持っている商品を置いてレジ打ちが終わるのを待つ。その間はPaiPaiのアプリを起動して、スマホの画面を見せつけるようにして会計を済ませようとする。
そして横目でちらりと妹さんの方を見てみると…………なんかそろりそろりと怪しい泥棒のようにレジに…………いや、俺の方へと歩んでいる気がする。
ハッキリと見えたわけじゃないが、多分……間違ってはいないと思う。
そしてとうとう妹さんは俺の真横にまで迫って来ており、チラッと顔色を伺ってきたり、こっちに向かってピースしたり、目配せをしたりと、何やら訳の分からないことをしていた。
いや、無視してる俺も俺だけど周りの人はこの行動を見て何も思わないの? 後ろに並んでいる人も何か言ったりしないの? 目の前の店員もなんで何食わぬ顔でレジ打ちしてんの?
ピッとスマホをスキャンされ、独特のアプリ音が鳴り響いたあと、その不可解な奇行に耐えきれず、妹さんに声をかけた。
「あの…………何やってんの?」
袋に物を詰めてもらっている間に、とりあえずこの恥ずかしいことを止めさせなければと思ってしまった。
「え……? 何やってるとは……?」
「いや、だから、さっきから横で何してんの?」
妹さんは一度自分の真反対を振り向いて後ろを確認したあと、再び俺の方を向いて何かに驚いていた。
「え? あ、……え? その…………、あたしの事、見えてます?」
「うん、バッチリ」
え、何言ってんのこの子。そんなに学園で虐められてたの?
「えっ、あ、え!? なんで!? 先輩もっ!?」
「……? どゆこと?」
「ちゃんと能力使ってるのに……!? なんで!? にぃににも直ぐにバレたし……なんで!?」
……はっ!? 今
「ちょっ、ちょっと待って! 今能力って────」
と、まず第一に疑問に思った事を素直に聞き出そうとしたら、タイミング悪くレジ打ちの店員から止められる。
「お買上げありがとうございましたー」
「あ、どうも」
その袋を受け取って、とりあえず妹さんと一緒に列から離れてみる。
おいおいマジかよ……まさかのユーザーがもう一人いたったのか!? しかもまたなんか厄介そうな能力っぽいし………………はぁ……。
とりあえず……わざわざあんなことをしながらでも俺の元へと来たんだ、何か用事があるのかも。
「それで……何か用が? 確か…………新海────って言ったら紛らわしいか。えぇっと…………天ちゃん」
新海 翔の恋人は?
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九條 都
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新海 天
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香坂 春風
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結城 希亜
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ぼっち