9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
その日の休み時間、昨日から毎度の如く隙あらば俺のいる場所へとやってくる高峰をあしらっていると、新海から話があると言われ、屋上まで連れてこられていた。
昨日の今日だ、恐らくはあの件だろう。
俺だって逆の立場なら色々と質問するだろうしな。それでも、話せることと話せないことがあるのは事実だ。
それに、そろそろハッキリさせないと……とは思っていたしな。
「それで、わざわざこんな所まで連れてきて何の用だ?」
今朝買ってあったおにぎりをパクッと食べながら、俺たち以外に人のいない屋上の見通しのいいところに座る。
というかそもそもとしてこの学園は屋上への侵入は禁止だ。それもわかった上で連れてきたんだろうが。
「竹内ならわかってるだろ? お前の依頼、『香坂 春風』さんについてだ」
「だろうな」
ここはまず予想通り、だって向こうのチームには何も詳細は話してはなかったからな。
「なぜその人を調べる必要があるんだ? それは《魔眼》のユーザーを突き止める為に重要なのか?」
「…………」
そうだな……俺の2つ目の能力のことについてはあまり言いたくない。複数の能力を所持していることで、人殺しを疑われるかもしれないからだ。
現在知る限りでは、《アンブロシア》はソフィ経由かイーリス経由でしか入手は不可、新海たちがイーリスの存在を知っているか否かは関わらずに、危険な霊薬を使用したというレッテルが貼られてしまう。そうなりゃ話は面倒だ。
となると、素直に《司令官》絡みの話をせざるを得ないが……こっちもこっちで面倒になりそうだ。結局は俺が手に入れた情報の全ては『ゴースト』の存在が大きい。彼女についての説明無しでは、まともに納得させることの出来る説得は不可能だろう。
つまりは嘘をつかなければいけないが……それがバレた時は俺への信頼はガタンと落ちる。下手に敵を作りたくないし、なにより俺なんかを信じてくれている九條さんを裏切りたくはない。
となると嘘である『真実』を伝えなきゃな。
うーん…………
「《アガスティアの葉》って知ってるか? 例のメビウスのなりきり掲示板、つまりはファンサイトなんだが……」
「あぁ、それなら知ってる。俺たちもそのサイトを使って一応調べてはいるんだ」
だよな、確かあの時に九條さんがそんなことを言ってたから。
「だったら話は早い。そこの書き込みの中で怪しそうなやつがいなかったか? ほら、能力の使い方について相談しているかのような書き込みをしている人が」
「いた、間違いなくいた。確か名前は………………『エデンの女王』だったよな?」
「そ。そして最近噂になってる事を知らないか? 一人の女の子が軍隊のように男を引き連れて歩いてる噂」
「あー……、今朝も天と歩いてる時に見かけた。って、もしかして二人が繋がってるって言いたいのか?」
「そういう可能性が高いってだけ。口調も似てるし、たまに性格が変わったようになるし……充分怪しいだろ?」
実際俺は目にしてるからな、明らかな豹変っぷりを。
「いや、そりゃ確かに怪しいと言われれば怪しいけど…………。それだけで特定って言い張ったのか?」
「今度時間がある時に掲示板の書き込みをよく見てみろよ、ほとんどがガチのなりきり野郎ばかりだろうけど、時々マジっぽい言葉が残されてる。そんでもってソイツらは理想郷がどうのこうのって騒いでいるんだ」
「…………なるほど、もしかしたら既にグループを作っていて、本物のユーザーが紛れ込んでいる。もしくは本物のみで構成された集団の可能性もあるわけだ」
「あぁ。下手に手出しは出来ないが、事前情報があることないのでは天地の差だ。これからの動きが大きく変わる」
もしも仲間を作られていた時が面倒なんだよな。
うーん……やっぱりゴーストの意見が真っ当かな。
「いずれにしろ警戒は必要な相手だ、十分気をつけてくれ」
……にしても眠い。やっぱり朝のアレは結構響くな……。睡眠って大事だ。
本当は今すぐにでも寝てしまいたいが、今寝たら恐らくはこれ以上授業を受けれなくなるだろう。寝すぎて。
しかも放課後は希亜と会わなきゃいけねぇし…………今日はハードだな。
なんて考えていると、新海が隣に座ってくる。
「そういえば妹が世話になったみたいだな」
「世話になったっつーか、朝コンビニで会っただけだ。てか天ちゃんもユーザーだったんだな」
「あぁ、この間それが発覚してさ、なんか流れで協力してくれる事にはなったんだ」
「存在感操作、中々便利良さそうだ」
余計に捜索というか……調査が得意そうな能力だ。隠密行動には不可欠な能力だろうし、奇襲、強襲にも扱えそう。それに逃走時や下手をすれば戦闘中にも使える能力だ。
まぁ今のところ俺が知ってるアーティファクトの能力は全て弱点が存在している。おそらく何かしらの弱点があるだろうが……それ次第か。
と、その時────
キーン──コーン──
とチャイムが学園中に鳴り響く。休憩時間がもうすぐ終わるようだ。
「とまぁ、とにかく香坂さんの事は任せる。俺の方でも色々と調べては見るけど……ぶっちゃけ新海たちが持ってきてくれる結果に縋ってるような状態だ、女の子同士の方が相手も油断するだろうし…………なんとかサポートしてやってくれ」
「サポートって言ってもなぁ」
俺たちはその場から立ち上がり、教室に向かって歩き出す。
「やれることはやるよ。上手く色々と聞いてみる」
「頼んだ。あ、あと、天ちゃんにもよろしくな」
新海 翔の恋人は?
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九條 都
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新海 天
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香坂 春風
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結城 希亜
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ぼっち