9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
(視点切り替え)
『こんにちは、ユーザーさん。突然で悪いのだけれどあなたにはある人を誘拐して欲しいの』
突然そんなメールが送られてきた。宛先不明の犯罪メール。
最初はもちろん無視をした。何かの犯罪に巻き込まれるかもしれないと危惧したし、そんなことは絶対に協力したくはなかったから。
けれど
『どうするか選ぶのは自由、あなたの行動と態度次第じゃあ…………一人、また一人と次々に誰かが眠ることになるわ』
「────ッ!」
この一文だけで十分だった。たったこれだけで自分はもう動けなくなってしまう事を見透かされていたのだろう。だからこそ、こんな形で連絡がやってきた。
『眠る』これが単に本当に眠るだけじゃない事は理解出来た。これは……人を殺してしまうという脅迫。
それを考えるだけで震えが止まらない。怖くて怖くて、怖くて怖くて怖くて、何も出来ない。
そして鳴り続けるスマホ。
『もちろん、周りだけでもなくあなた自身も一緒に眠りたくないのなら……黙って指示を聞きなさい』
きっと嘘だ、冗談やイタズラだ。逃げるように何度もそう思う。いや……そう『願う』。
そんな事ないのに。だって友達と言える人は誰一人いないから。そもそもとしてこんなイタズラをしてくれる相手がいない。
そして人体石化事件、既に目にして、実感もできているこの異能力。確かに……この能力を使えば簡単にこの指示通りのシナリオに出来ると思う。
けれどそれは…………犯罪の肩を担う事になる。
でも、やらなきゃ誰かが殺される。自分も殺される。
石にされちゃうのかな……。
お父さんもお母さんも、私も……
それだけじゃなくて、直接関係の無い人も……
そんなの…………
そんなの………………
私は……どうしたら…………ッ!
(視点切り替え)
「くわぁ〜…………」
全ての授業が終わり、大きな欠伸を漏らしながら廊下を歩く。
さっさと帰って眠りたいところではあるが……今日はそんなことするわけにはいかない。さっさとあの公園に行って打ち合わせをしておこう。
適当にトイレなどの校内でできる用事を済ませ、てくてくと歩いていると、窓の外、その先の中庭で複数の人影が見えた。
あれは……?
「おぉ……、仕事の早いこってぇ」
女の子三人が何かを話している。もちろんこんな長距離で言葉が聞こえるほど耳は良くないから何言ってるかは聞こえてはこないが、雰囲気でなんとなく察するものもある。
こういう行動力の高さはマジで信頼出来るな。
「俺は俺の出来ることをするか」
と思って何気なしに再び廊下を歩き出そうとした瞬間、ある違和感を感じた。
中庭から視線を戻そうとする時、普通ならありえないようなシルエットが見えたような……?
その違和感を確認するために再び窓の外に顔を向けると────
誰かがもう一つの校舎の屋上で何かを見下ろしている。
危なっかしいフェンスの上に堂々と仁王立ちで突っ立っており、ずっと誰かを見てる。
そしてその視線は徐々に上へと上がっていき…………
俺と目が合った。
「────なっ!」
うっすらと見える紋章、どんな形かまでは理解できないが、青く光っている身体だけは認識できた。
そして俺とソイツが視線を交わした直後…………
かなり遠い距離の俺の耳にも届くぐらいの大音量でバチッバチッと電気でも漏電しているかのような音が鳴り響いた。
周りの生徒達もその『音』に関して疑問を抱いているようだが…………あの存在には気がついていないようだ。
間違いない、アレは…………
「ユーザー…………」
なんだか嫌な予感がする。
……とにかく希亜との合流を急ごう。
ほんの少しの早歩きで廊下を歩く。なんとも言えないこの胸の焦りを少しでも和らげたくて、例えようのないこの危機感を消したくて、外へと繋がる扉の取手を掴むと…………
「──ッ!?」
弱い静電気が俺の右手を軽く弾いた。
…………
……
……
そして公園のベンチに腰をかけ、希亜がやって来るのを待つ。
なんだろう……さっきから胸のざわめきが止まらない。あの音、あの感覚、そしてあの速度。
もし俺の予想通りで、アイツが敵だとしたら…………ヤバい。下手をすれば全員為す術なく殺される可能性がある。
ただ、今は大丈夫なはず。まだ石化事件から日数がそんなに経っていない事から、連続して殺人を行うことはしないだろう。殺せば殺すほど自分の首を絞めていくんだ、余程の馬鹿でない限りは簡単にはそんなことしないはず。
けれど、そう言ってられるのも時間の問題だ。やっぱりここはどれだけ早くアイツらが情報を引き出せるかによって変わる。
焦り。
苛立ち。
恐怖。
様々な感情が俺の心を渦巻く中、あることに気がついた。
考え事に夢中で今の今まで気が付かなかったが、何故か俺の周りには猫たちが沢山いた。
少し大きめの猫からくりくりした瞳の子猫まで。
野良だろうか? にしても警戒心が無さすぎないか? 普通はこんなに擦り寄ってきたりはしないと思うんだが…………
「にゃー」
足元やベンチの横などにおよそ7匹ほど群がってくるその子猫達は、「僕で癒されてね」と言わんばかりにスリスリと頬や身体を擦り合わせてくる。
そして偶然目が合った子猫を抱き上げて、顔を真正面から見ていると…………
「にゃー」
と鳴きながら思いっきり俺の顔に子猫がダイブしてきた。
特になんの抵抗もせずに、群がる猫たちに自由を与える。身体が動かすのが面倒ということもあるが、実際戸惑って何も動けなかったのだ。
そしてそんな子猫を顔から引っ張りとると…………そのタイミングて近くから何かが落ちる音が聞こえてきた。
「──────ッ!?」
誰かが驚いている?
まぁこんなとこを目撃したら誰でも驚きはするだろうけど。
なんてことを思いながら音が聞こえてきた方を見てみると──────
「ね、ね…………! ねこ…………ちゃん……ッ!」
鞄を落としてしまうほどに絶句? してた希亜がそこにいた。
新海 翔の恋人は?
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九條 都
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新海 天
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香坂 春風
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結城 希亜
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ぼっち