9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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心の距離

 

 深い、深い傷。

 

 あんなことがあったのに、今はあの蓮太が《仲間》を作ろうとしている。

 

 蔑まれ続け、誰よりも人を嫌い、誰よりも人を疑い、そして…………誰よりも人を愛したあの蓮太が。

 

「それが……蓮太の過去……」

 

「だからなのかもな、こんな写真をいつまでも大事にしてるのは」

 

 蓮太にとっちゃ、何よりも捨てたいはずだ。大嫌いな人と大好きな人が写るこの写真を。

 

 俺の知らない、()()が写っているこの写真を。

 

「アイツは愛情を知らない。いや……もしかしたら薄々と感じている事はあるかもしれないけど、少なくともその相手はもういない」

 

 運命のしがらみに囚われ、歩んできた道は過酷。

 

 産まれたことにすら強く恨んだりしたオレの創造主サマは、今前を向いている。

 

 誰かと、誰かのおかげで。

 

「…………そう」

 

「だから……なんつーかよ、できればアイツとは…………あー…………その、仲良くしてほしいんだ」

 

「…………」

 

「オレじゃあ、それはいつか出来なくなるから。いつか消えるその時がきたら…………オレは蓮太を支えれない」

 

 能力で創られたオレは、必ず別れなきゃいけねぇから。

 

「これは、オレの気持ちでもあって、アイツの気持ちでもあるんだが…………もう二度と、失いたくないんだ」

 

 オレにとっても、蓮太は色々な初めてを教えてくれた人。

 

 だから、命にかえても守りたい。

 

「失った者は戻らない。過ぎ去った過去には戻れない。だからこそ乗り越えなくちゃいけねぇんだと思う。失った悲しみと今まで貰えた幸せを糧にして、前に進まなきゃいけないんだ」

 

「オレには《経験》がないけど、《心》はわかってるつもりだ。だから…………よかったら、アイツの支えになってほしい」

 

 それからはほんの少しの無言。

 

 たった数秒の間だが、やけに重く長く感じた。

 

 一人だけ、ただの一人だけでいい。蓮太がオレにしてくれたように、()()()()()()()()()がいてくれりゃあそれで……

 

「貴女に言われなくても、私は仲間を見捨てない」

 

 ……。

 

 よかった。

 

「そっか、そりゃ悪かったな」

 

 そう返事を返した時、蓮太が出ていった方のドアががちゃりと開く。

 

「悪い悪い…………ってなんで二人共立ってるんだ?」

 

「希亜が手伝ってくれてた」

 

「ちゃんとお礼言ったのか? お前はじゃじゃ馬娘だからなぁ」

 

「いつからオレはテメェの娘になったんだよ、ぶっ飛ばすぞ」

 

 

 …………

 

 

 ……

 

 

 ……

 

 

 てな流れでアイツが戻ってきた後はまた開かれる作戦会議。

 

 まぁそれは名ばかりで結局は向こうのチームの情報次第でしか動けないという結論にしかならなかった。つまりただのだべりに近い。

 

 それでも十分に価値はある。

 

 蓮太はあの二人と話す時は本当に楽しそうだから。見てるこっちまで…………いや、なんもねぇな。

 

 まぁ困るのはアイツ、オレと話す時もあんな感じなんだよな…………自分自身の幻体って事を忘れてねぇか? 

 

 つか普通自分の分身に「可愛い」とか言うかよ。バカなんじゃねーの。

 

 そういうことは普通、希亜や九條、天や香坂に言うだろ。なんでオレだけなんだよ。

 

 しかもタチが悪いのはあれが冗談でもなんでもないってことだ。余計に腹が立つぜ……

 

 しかもエロいし。散々人には興味ありませーんとか言っといて女相手にはこれだよ。興味ありありじゃねぇか。九條と話してた時も頭の中は胸のことばっかりだったし。ド変態かよ気持ち悪ぃな。

 

 でも…………、うん。人よりも優れた所も多少はある。

 

 バカみたいに根がお人好しだからな、そこは唯一褒められるとこ。

 

 

 

 目の前で色々と会話をしている二人を見ながら改めて思う。

 

 気がついてるか? 蓮太。

 

 アンタ、今……心の《壁》をぶち壊してるんだぜ。

 

 周りの手助けもあったけど、自分からその壁に向かって挑んだんだ。

 

 それでこそ、オレの創造主だ。

 

 今のアンタなら、《鏡の壁》も壊せそうだな。

 

 

 

 

 ほんの、ほんの少しだけ………………希亜が羨ましい。

 

新海 翔の恋人は?

  • 九條 都
  • 新海 天
  • 香坂 春風
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