9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
《視点切り替え》
「蓮太、私は貴方に謝らないといけないことがある」
俺と二人で色々と話していく中で、深刻そうな声で希亜がそう言った。
真剣にこれからの動きについても相談したし、くだらないような話もした。けどその時にも何かを気にするような表情をしてた。
さっきからずっと希亜が気にしてること……一体なんだろう。
ちなみにゴーストは「もう俺に用事はないだろ?」と言ってきたので、能力を解除した。
「謝らなくちゃいけない……こと?」
「ええ。そうよ」
一体何の事なんだ────
「蓮太のお兄さんについて」
「──ッ!?」
今……なんて……!?
なんで希亜が
いや待て、その事実を知る人は身近には全く居ない。九條さんと希亜が親しく話しているとは思えないし、勝手にその話をする人だとは考えられない。
となると…………
話したのは《俺自身》か。
「…………アイツ」
「ごめんなさい。きっと、話したくないことだったと思うけど…………一言だけ、謝っておきたかった」
……。
「いいさ、別に」
きっとアイツなりの何か考えがあって喋ったんだろ。アイツも身勝手にこの事を話すような奴じゃないってことはわかってる。
どんな考えなのかはわからないけど、逆に考えりゃそれだけ希亜を信用してたってことだ。
「全部……知ってるのか?」
とりあえず会話を途切れさせない為に繋げた言葉。希亜はそんな言葉にも真剣に答えてくれた。
ゆっくりと首を縦に振って。
「おそらく」
「そっか」
もう、ダメかな。
一緒には居られないかな。
「幻滅したか?」
「そんな事しない。それに…………
助けられなかった。
違う。助ける力が俺にはなかったんだ。助けられるほどの術を知らなかった。もっと、もっと……最善の選択はあったはずだ。
見捨てたのと変わらないさ。見殺しにしたのと変わらないさ。
殺したのと変わらないさ。
「俺は……ルールが嫌いだ」
「…………」
「法律が嫌いだ。決まりが嫌いだ。大義名分を振りかざすことも嫌いだ」
「ええ」
「ルールを
あの場所へと駆けつけることが出来たら助けられたのかもしれない。
なんで…………なんで
責任と判断を迫られた時に、誰しもが我が身を守った。
あの場の全員が保身に走った。
だからこそ嫌いだった。憎かった。怒った。
そんな奴らを頼らなきゃいけなかった自分を。それほどまでに無力だった自身を。
でも誰も近寄りすらしなかった。今でも深く思い出せる。大嫌いだ感染症なんて。
…………
ダメだ、止めなきゃ。
女の子の前で弱いところは見せられない。
わざわざ人がいる時にこんな気持ちになるべきじゃない。
同情を買うな、心を強くもて。頼るべきは人じゃない。自分の強さだ。
あの時と同じさ、自分が辛くなった時、どうしようもなくなった時、人に頼ったからこそ大切なものを失った。
もう二度と同じ過ちを繰り返すものか。
そう、そう…………わかってはいるんだが。
辛いものは辛い。
「嫌っても仕方の無いことなんてのはわかってる。今更悔やんだところで何も変わらないことも、恨むべき対象が間違っていることも」
でも、何かのせいにしないと自分を保てない。
「そう言って、今まで自分を責めてきたのね」
「しょうがないじゃないか。
顔を上に向ける。
やや明るい光がこの部屋中を照らしていて少し眩しい。
「蓮太……貴方は何度、そう言って自分を責めてきたの。貴方は何度、自分に罪を被せてきたの。貴方は何度…………そう言って命を絶とうとしたの」
「…………」
「正直、私にはわからない。似たような
「蓮太の腕、首元、そして足。目に入る度に気になっていたことがあった。触れない方が貴方の為だと思っていたのだけれど……どうやら違っていたみたいね」
そして希亜は脱力しきった俺の手首を持ち、袖を上げる。
何もされていないのに、痛い。
「
「昔の話さ」
「それでも、今、この瞬間まで傷が残ってる。それは蓮太の心が癒えていない証拠。まだ自分に罪を被せている証拠」
ある種の呪いさ。
この呪いは消えない。俺自身が強く恨んでいる以上は…………二度と消えることの無い傷。
古い本で見たことがある。強い怨念を宿らせた一撃は、消してその者を許すことの無い傷となり、蝕み続ける……と。
それが例え自分自身だとしても。
「貴方は優しすぎる」
「じゃあどうしたらいいんだよ。俺は…………何を……」
「私も、大切な人を失った」
……!
「本当に大切だった妹が、
何を……言ってるんだ……。
「妹に非はない。青信号で渡っただけだから。…………相手は飲酒運転の信号無視、おまけにスピード違反」
……そっか。
皮肉なもんだ。それってつまり…………
「ルールを
こんにちは主です。
ただいま行っているアンケートですが、次回投稿時に終了とさせていただきます。
予定では明日の朝に次話を投稿するつもりではあります。ご理解の程よろしくお願い致します。
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