9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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4人目

 

「なるほどね……」

 

 名前も知らない妹さん、何一つルールを守っていない身勝手な大人に殺されてしまった妹さん。

 

 …………同情する。

 

「災難だったな、お互いに」

 

 カチコチと時計の針が鳴り響く。その音はやけに重く感じた。

 

 時計の音だけじゃない、この瞬間に感じる全てが鉛のようにのしかかっている気がした。それだけ精神的に参っているんだろう。

 

「なんで、その事を俺に教えてくれたんだ……?」

 

 本人からしたら、俺が抱えているモノと同じレベルで苦しいことだろう。何故それをわざわざ伝えてくれたのか。

 

 正義感や責任感の強いやつだ、ほんの少しの予想はできてるけど…………

 

「…………一つは『蓮太』を知ったから。貴方とは対等な立場でいたいから」

 

「二つ目は?」

 

「私から貴方に対する最大限の信頼の証と捉えてもらっていい。理由があって《能力》については話せないから」

 

 話せない理由……か。

 

 ……これまでの希亜の言動や自信、実績を考えて、まず間違いなく攻撃的な能力であること、そしてそれが強大な一撃をたたき込めることはわかっちゃいる。

 

 発動条件や制限があるかどうかとかを聞ければとも思ったが……まぁこう言ってるんだ、深くは聞くまい。

 

「わざわざそんな事のために…………」

 

「お互い様でしょ」

 

 ……! 

 

 ばーか……ったく。

 

「それでも、いつかは話したいと思ってる」

 

「別に急がなくてもいいさ。ゆっくりでいい」

 

 何事も自分のペースで、ってやつだ。こういう問題は急かせばいいってもんじゃない。

 

「……ありがとう。話してくれて、聞いてくれて」

 

 そばに居てくれて。

 

 根本的な解決なんて何もしていないけど、何故か少しだけ心が軽くなった気がする。

 

 それはきっと…………同じだから。

 

 何も出来なかった自分の無力さ。俺と同じように希亜も自分を責めてたんだ。自分があの時こうしていれば、ああしていればって。

 

 それが今現在まで続いているのかはわからない。でも、少なからず希亜なりの答えを出して今を生きている。

 

 それが、《裁く》という決意。

 

 あんな思いを二度としたくないと願う誓い。

 

 似てるんだ。俺たち《仲間》は。

 

 

 

 

 

 

「腹減ったな、なんか食うか?」

 

 そう言えば戻ってきてから何も食べていない。時間も時間だし……一応聞いた方がいいだろ。

 

「…………食べる」

 

 その場から立ち上がり、ぐぅーっと背伸びをするように背筋を伸ばす。

 

 ちょっと長く座りすぎた。

 

「どっかに行くか、生憎この家じゃろくな準備をしてない」

 

「蓮太は料理が得意なの?」

 

「え? なんで?」

 

「キッチンを見れば何となく」

 

 あぁ……そうか。ある程度の料理を作れるように大概の物を揃えているからな。調味料も全て。

 

 なんなら料理専用のワインまで買ってある。

 

 明らかに一般家庭に置いている道具や材料の数を超えているしな。

 

「まぁ好きなんだ。また今度でよけりゃ作るぞ?」

 

「そうね、その時を楽しみにしてる」

 

 軽口を叩きながら鞄を持つ希亜に続くように、部屋の電気を消しつつ鍵と財布をポケットに入れる。

 

 戸締りおっけー、照明おっけー、水道おっけー。ガスは…………まぁ大丈夫だろ。前回使った時に止めてるはず。

 

「じゃどこ行こーか」

 

 家を出てからも施錠の確認をして、適当に歩きながら行き先を相談する。

 

「そうね、ここから歩いて行くなら…………」

 

「? 別に歩きじゃなくてもいいぞ?」

 

「歩きじゃなくてもって…………自転車?」

 

「バイク。後ろに乗れば別にある程度のとこなら行けるぞ?」

 

 そう言って駐車場に止めてある黒色のバイクに向かって指を指す。

 

「これ……蓮太の?」

 

「あぁ、昔から仮面ライダーマンが好きでさ、バイクに憧れてて……前に買ったんだ」

 

「Wみたい」

 

「……大分値が貼ったらしいからな、その辺はマジで父親様々だわ」

 

 でも、電話をした時は落ち込む素振りを全く見せないで、むしろ何かに喜ぶようにしてたな。

 

 ……まぁ基本的に俺から連絡することがないからその反動だろうけど。

 

 そりゃあもう10年位の付き合いだもんな。ちょっと素っ気なさすぎたのかもしれない。

 

「そんで、どうする? 俺は別にどこでもいいけど」

 

「……お好み焼き食べたい」

 

 あ…………はい。

 

 でもこの辺でお好み焼きか……そんなもんあったっけ? 基本的にはナインボールばかりだからなぁ。

 

 移動手段持ってるくせに全然使わないからな……俺。

 

「じゃちょっと調べてみる。ついでにメットとか取ってくるわ」

 

「場所は知ってる。私の家が近いから」

 

「そかそか、とりあえず準備するわ」

 

 

 

 …………

 

 

 ……

 

 

 ……

 

 

 

「よし」

 

 全ての準備を済ませ、左足を地面につける。久しぶりに動かしたからか、ほんの少しだけウキウキしてる。これも男の性かね? 

 

 ていうかウキウキしてるのは俺だけじゃない気もするけど……まぁあえてそこは触れないでおこう。

 

「それで……こ、これってどこを掴めばいいの!?」

 

 ……ちょっとだけ希亜の雰囲気が崩れてる。怖いのかな。

 

「グリップみたいな掴む所があるだろ? とりあえずそれをしっかり掴んでりゃ問題ないさ」

 

「ど、どこ!? 掴む所って何っ!?」

 

 キャラぶっ壊れかけてない? なんか声が高くなってるし。

 

「後ろの方に取っ手があるだろ? それを掴めばいいんだって」

 

「ど、どれがガンダムッ!?」

 

「そんなモンついてねぇよっ!? つかそれを言うならタンデムだろ!」

 

 つかガンダムってなんだよ。めっちゃごついロボットを想像しちまったわ。しかもタンデムは二人乗りの名称だし。

 

「わ、わかった! もうこれ掴むッ!」

 

 その瞬間に感じる感覚。

 

 後ろから手を回されてそこそこの力で俺の身体を締め付けてくる。でも柔らかい感覚はない。

 

 え、ちょっと待って。

 

 痛くない? いや結構痛いよ? この子のどこにこんな力があるの? 

 

 まぁ……いいか、バイク使ったらそこそこ近いし、強く掴んでくれてたらその分落っこちることは無いだろうし。

 

「じゃ動くぞー」

 

 と格好つけてブルンッ! っと威嚇でもするかのようにエンジンを蒸かすと…………

 

「○+€%>々☆:$÷#=*!?」

 

 と普段の姿からは考えられないほどにキャラがぶっ壊れた女の子の声が響き渡った。

 

「……止めとく?」

 

「やめないぃぃぃぃっ!!」





こんにちは主でございます。

今回の投稿におきまして、前回告知していた通りアンケートを終了させていただきます。

数々の能力使用、ありがとうございました!
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