9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
あれからしつこいぐらいの九條さんイジりが続き、なんだかんだで時間が経過する。
その間にやってきた飲み物と追加で頼んだパフェを口に含みながら、和気あいあいとした雰囲気を楽しんだ。
その途中…………
「なるほどねぇ……俺と新海には効果が薄い謎は解けなかったけど、現状で扱える能力の範囲は決まりっぽいな」
天ちゃんの能力、それは相手を問わずに指定したモノの存在感を操作する能力だった。それはつまり自身のみならず、意識した相手の存在感を薄く出来るというもの。しかもそれは人だけに留まらず、物にも影響を受ける。
そしてその範囲は指定型の能力だった。俺のような『自身を中心とした半径2m』なんて制限はなく、ある程度離れた相手にも使える。しかも個人ではなく範囲化も可能。その代わりにデメリットとして対象者を増やせば増やすほど、一人あたりの効果は薄くなるようだ。
「なんでにぃにと先輩には効果薄いんだろうね」
「その辺は考えても仕方ないんじゃないか? ろくな情報がないから、個人差があるのかも……? としか言えないし」
「単にコイツがウザすぎるだけじゃねぇの?」
「やめて! そういうの結構傷つくからっ! あたし割とガラスのハートの持ち主だから!」
なんとも言えないよなぁ……その辺は。
大した問題じゃない! ……と言いたいところだが、肝心な時に似たような事例が起こったら大問題だ。いつかは謎を解かなきゃいけねぇだろうな。
「…………ぁむ」
「そういやパフェに紅茶の組み合わせってパフェクイーンみたいだな、竹内」
「……? 誰だ? それ」
なんだよその面白そうな奴。そんなあだ名が付けられるなんてどんだけパフェ食ってんだよ。
「頻繁にお店に来てくれるお客さんがいてね? その人がよくパフェを頼んでくれるの」
「へぇ〜」
「この間も来てたぞ? 制服的には……多分玖方の生徒だろうな」
「ここのパフェは美味いもんな、気持ちはよくわかるよ」
「竹内くんもよく頼んでくれるよね? ありがとうございますっ」
それにしても、そんな人を俺は見てないけどなぁ。結構な高頻度で俺もここには来てるんだけど、パフェばっかり食べてる客なんて俺ぐらいだと思ってた。
玖方の人ってことは、女の子か。是非一度見てみたいな。
「美味いのは事実だからさ。……にしてもそんなあだ名付けられる程バカ食いしてるのか」
「先輩もあんまり人のこと言えないけどね。昨日なんてリスみたいにシュークリーム食べてたしっ!」
「甘いもんには勝てねぇ」
なんて会話をしながら俺がちょうどパフェを食べきった時、新海が軽くパンっと手を叩いて注目を集めた。
「さて、ここからが本題なんだが…………」
明らかに空気感が変わったことを察して、俺もゆっくり紅茶を一口。
「竹内、お前の言う通りにとりあえずは『香坂 春風』について調べてみた。学年は一つ上の女性、特に秀でた所は掴めなかったが……天があることに気がついたんだ」
…………先輩だったのか、全然そんなこと気にもしてなかった。
「《アガスティアの葉》。竹内は知ってるよな? そこで『エデンの女王』と名乗る人物との共通点が多いことに気がついた。だからこれは仮定で話を進めるが……、もしあのサイトを通じて何かしらのグループに所属していた場合の危険性を考えて、九條に一つ頼み事をしたんだ」
たった一日二日でそこまでプロセスを組んで俺と同じレベルまで結論を出したのか……!?
こいつら……すげぇな。
「頼み事って?」
「九條は『他人の記憶も盗める』んだ、人の所持品だけでなく物体がないものでも奪える、それこそ視力や記憶も」
「それで香坂さんの記憶を見た……?」
「あぁ。そしたらある二人の人物と何やら深い関わりがあるようなんだ」
二人……俺も含んでいるのか? あ、いや、深い関わりとなると俺はまだそこまで絡んではいない。希亜も直接会った訳では無いだろうし、冷静に考えると…………アイツらだろう。
「ただ、大雑把な特徴しか判明してなくてな。それがフードの女と赤髪の男なんだ」
やっぱりか、フードの女っていうのはほぼほぼ間違いなく白のゴーストだろう。もともと何かしらの絡みがあると踏んで、俺はあの日にここで絡んだんだ。
となると……《司令官》ってのは赤髪の男っぽいな。どっかの四皇みたいだ。
「この短期間にそこまで…………すげぇな」
「しかもですよ! ここからが超重要な話で!」
と会話に割り込むように勢いよく天ちゃんが話を続ける。
「どうやら、今日の夜に三人が合流するらしいんですよ」
「……はい? なんでそんなことわかったんだ?」
「能力使ってスマホ覗いた」
やっぱすっげぇ便利いいよな、その能力。隠れて何かをする時に効果を最大限に発揮してる。
それに引き替え俺はなぁ……十分強力な部類だとは思うが……まぁいい。
「お前いつの間にそんなこと……」
「そんときにメッセで『この事を伝えたい人がいるんですけど』って聞いたりしてたから、本当はもう一人いるんだと思う。でも今回はその人を除外して三人で集まるんだって」
「へぇ……」
もしかしたらそれは俺かもしれねぇな。香坂さん、あの時も協力的だったしまた俺にチャンスをくれようとしてたのかも。
結局《白》のゴーストとは合ってるんだろうし、変な誤解をさせてしまったかもな。
「そ・れ・で! あたしちょっと様子を見てきますね〜」
「おう、気をつけて…………って、はぁっ!?」
突然のその発言に目を丸くして驚くお兄ちゃん。まぁ……うん、そりゃそうだ。
この行動力の高さは半端ねぇな。
「お前状況理解してんのか!? 九條が言ってた事から推測するに、『香坂 春風』は《魔眼》のユーザーとの接点があるかもしれないんだぞ!? そうなんだろ? 竹内!」
「うーん……なんというか、現状ではその香坂さんと関わりを持っている《司令官》って奴が怪しいんだ」
「あっ! そう言えばメッセの相手の名前『司令官』だった!」
「ビンゴじゃねぇか」
でも、これで確定的だな。俺が探し求めている相手がソイツってことは間違いなさそうだ。
そして恐らくそのメンバーの仲間という線が固いだろう。
さて…………どうしたものか。
「竹内くん……? どうしたの?」
「いや、ちょっとな……」
ここは新海を信用する方向でいくか……? 個人的にはどちらも怪しいっちゃ怪しいが、言葉や動きには怪しさはないし、本当に普通に良い奴だし。
まずは危険度の高い向こうのチームの対処を考えるべき……か。
「やっぱり危ないよ天ちゃん、そんなことまではしなくてもいいから」
「いーからいーから、せっかくのあたしの活躍所、ここはやるっきゃねーでしょ!」
勢いよくその場を立ち上がり、目を輝かせてやる気満々の天ちゃん。
なんか……楽しんでない? この状況を。
「そ、天ちゃん! 竹内くんの言った通り危ないよ! そんな危険なことしてもらう訳には────」
「だーいじょーぶですって、どうせあたししかこの役目はできないでしょ? いつもよりも能力を全力で使うから安心してくだせぇ」
「確かにそうではあるが…………」
もしもの時を考えたら、やっぱり危ないよな。
時間を確認すると、もう夕方。その待ち合わせの時間が何時かというのはまだ俺は知らないが、もうそう遠くないだろう。
かと言って一人で行動力させるのもな……
「じゃ、行ってくるね〜!」
「あっ、おい! 天っ!」
そう言って天ちゃんは、いつものように元気よく店を飛び出すように出ていってしまった。
まだ夕方だけど。
主です。
過去に書いていた、アンケで選ばれたキャラを含む三人の個別イベントの件ですがすみません。物語の都合上、残っている確定枠のキャラとの絡みは後のタイミングにとばします。申し訳ありません。
以上、報告でした。