9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。   作:紅葉555

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俺たちは、ヴァルハラ・ソサイエティ

 

「そう、そんなことがあったのね」

 

 希亜を後ろに乗せて約束の場所である白陀九十九神社へとむかっている途中、今まであった全てを話す。

 

 つってもそのほとんどを希亜は知っているから大した説明量ではないんだけど。

 

「あぁ、だから今は1分1秒を争うんだ!」

 

 法定速度のギリギリまでスピードを出して出来るだけ早く向かう。急ぐ気持ちもかなりあるが、それが原因で事故でもして最悪死んでしまったりした方が危険だ。

 

 それに運がいいことに今日は車の通りも少ない、予定よりも早くたどり着くことが出来そうだ。

 

「最悪の場合、能力を使った戦いになってしまいそうね」

 

「本当はそんなもん俺も希亜もお断りなんだがな……! 相手の出方次第だ、無事ならいいが、相手が無抵抗の女の子を傷つけるようなやつだった場合は俺は覚悟してるッ!」

 

「…………とにかく急ぎましょう」

 

 

 

 …………

 

 

 ……

 

 

 ……

 

 

 

 

「なんだ……ッ!? どういう事だ!?」

 

 やっとの思いで神社にたどり着いた俺たちだが……一定の距離を近づくと何かに弾かれるようにぶつかり、中へとはいることが出来ない。

 

 まるで何かを守るバリアのように。

 

「これは……電気?」

 

 希亜もその辺の石ころを拾い上げ、軽く投げてそれを確認する。するとそのバリアは小さくて細かな火花のような物をバチバチと破裂させ、飛んできた小石をはじき飛ばした。

 

高電離気体(プラズマ)……」

 

高電離気体(プラズマ)だと……ッ!?」

 

「おそらく空気中の原子から電子を無理やり剥ぎ取って作っている、そんなことが出来るのは…………蓮太の言っていたあの電撃使いの可能性が高い」

 

 それでこんな大きなドーム見てぇなバリアが出来てるのか!? 

 

「それにもう一つ付け加えると、これはあの子が言っていた《幻影系》能力。だから実際の高電離気体(プラズマ)よりかは威力は劣っている」

 

 確か実態を傷つけない、精神を傷つけるモノ……だったな。

 

 となればこれもアーティファクトを使ったいわゆる偽物、それなら……

 

「希亜、俺が《鏡》で入口を作る、その隙に何とか入り込んでくれ」

 

「能力で?」

 

「あぁ、相手も能力なら反射できるだろうし、最悪、反射出来なくても鏡の材料はガラスだ、つまり…………」

 

 手のひらに紋章を浮かばせて、電磁バリアの中に輪を作るように能力で鏡を出現させる。

 

 穴が空くようなイメージで。

 

「電気を通さない絶縁体だッ!」

 

 すると俺のイメージした通りにバリアを貫通する鏡の空洞ができ、それの周辺だけがバチバチと電気が暴れ回る音を撒き散らかす。

 

 その輪の中には一切電気は入ってきていない。

 

「銀や銅に到達する前に遮断…………流石ね」

 

 サラッとその一言を発すると、俺が作った鏡の輪の中をタンっと軽くジャンプして通り抜ける。

 

 今日はゴスロリチックな服を着ているからスカートの中身がちょっと見えそうになった。

 

 ちくしょう。

 

 なんて雑念と戦いつつも、俺も続いて中へと飛び入る。

 

「さて……とりあえずは侵入成功だな」

 

「急ぎましょう、手遅れになる前に」

 

「あぁ……!」

 

 

 

 

 休む暇なく神社の中へと駆け抜ける。すると対して時間も掛からずに、本殿前の広い場所で何かをしている複数人の人影が見えた。

 

 しかしそれは俺も全く想像できていなかった光景。

 

 上半身に何も身につけていない半裸の男たった一人に、香坂さんを()()()メンバーが悔しそうにその場に倒れている。

 

 そこには新海、九條さん、そして《白》ゴーストに…………何故か高峰。

 

 天ちゃんはあの変な男の後ろで泣きながら自由を奪われている。手足でも縛られているのだろう。

 

「なんだよ……あれ……!」

 

 色々と気になるところはある。何故高峰がいるのか、あのクソ強いゴーストが何故やられているのか、何故天ちゃんが更に攫われているのか、何故香坂さんだけが無事なのか。

 

 何故……あの男の頭上に《雷》の槍のようなものがあるのか。

 

 今にもその《雷》を放ち出しそうだ。

 

「希亜ッ!」

 

「もうやっている!」

 

 危険を感じた俺が声をかけるまでもなく、希亜は能力を使ってあれを止めてくれようとしていた。

 

 しかもそこそこ前から能力発動に必要なタメをしていたらしく、もう左目の輝きは十分に強かった。

 

 あの時もそうだったな、あの日の夕方も。

 

「パニッシュメントッ!」

 

 その声と同時に俺の背後から青い輝きを放つ光が、その槍を襲う。

 

 異能力同士が衝突すると、激しい閃光を放ち、たちまち視界を白く焼いた。

 

 が、走る足を止めない。

 

 咄嗟に腕で影を作り、なんとかみんなが倒れている前に移動し、あの男に向かうように立ち塞がる。

 

 激しい閃光が収まる頃には、あの雷の槍は消え失せていた。

 

「竹内…………お前……!」

 

「待たせたな。新海」

 

 決して振り返らず、あの男から視線を外さないようにじっと睨みつける。

 

 油断するな、今、この瞬間だけは1秒も気を抜くな。

 

 てめぇの大切な人を守りたいなら、目を離すな。

 

 どんな攻撃がきても対処出来るようにあの男を睨んでいると、遅れて到着した希亜が俺の横に立ち止まる。

 

「来たか……。《リグ・ヴェーダ》? の残りの仲間が」

 

 その男は言う。何かよく分からないグループ名を。

 

「《リグ・ヴェーダ》? 貴方は少し勘違いをしている」

 

「コイツら二人の仲間だってことは否定しないけどな」

 

「ん? 貴様らは後ろで倒れている奴ら全員の仲間ではないのか?」

 

 コイツ……余裕かましやがって。圧倒的な力を持ってる奴のよくある特徴だなぁオイ。

 

「「俺たち(私たち)は《ヴァルハラ・ソサイエティ》()」」

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