9-nine- ここのつはるそらゆきのみち。 作:紅葉555
上級生二人とのRINGでのやり取りを終え、一息つくようにスマホを閉じる。
「んで、どうだったんだ? 大将」
「香坂さんはがんばって来てくれるってさ。高峰は私用で参加はできないって」
「まぁいきなりの話だからな、無理もねぇだろ」
むしろあの人見知りが激しい香坂さんが来てくれる方が意外だった。極力みんなで集まる系は避けると思ったんだが……わかんないもんだな。
「新海くんと結城さんも大丈夫って言ってたよ」
「そっか、ならよかった」
「…………」
ゴーストのやつ、どうしたんだろう。なんか深刻そうな顔してるけど……。
トイレでも我慢してんのか?
「なぁ九條。アンタ、ちゃんと2人に連絡したのか?」
と、ここで意味のわからない質問をするゴースト。そりゃそうだろう、だって2人に連絡するって言ってたじゃないか。
「うん、そうだよ? 新海くんと結城さんの2人に。新海くんも「俺も勉強しなきゃやばい〜!」って言ってたっ」
RINGでのやり取りを面白可笑しそうに語る九條さん。そのにこやかな笑顔が眩しい。
太陽みたいだ。
「そうかい」
まったく……コイツは何考えてるのかわっかんねぇな。それに比べて俺の考えはその気を出したら筒抜けみたいなもんなのはズルくない?
これさ、俺が例えば息子の処理してた時ってどんな感覚なんだろ? 本人の記憶としては俺目線でってことに────
「余計な事は考えるな、ド変態野郎が」
と頭の中を予想通りに読まれてその辺にある適当なものでぶっ叩かれる。
「痛って……」
そんな俺たちを見て、九條さんはどこか楽しそうに笑っている。
「ふふっ、2人とも仲がいいね」
そしてそれなりの時間が経過したあと、そろそろ帰宅しなければマズいと言うことで、九條さんは帰って行った。
せめて近くまで送ろうかと提案したが、自転車あいてに歩かせるのは申し訳ないとやんわりと断られた。まぁ、あの人に限って変な悪意はないだろうけど。
ぼふっとベッドにダイブして、ボケーッと天井を見上げる。
もちろんそれはやること無くて暇を潰しているんじゃなくて、これからを考えているところだ。
そしてある程度の考えがまとまると…………
「なぁゴースト」
「ん? どした?」
「お前さ、明日時間あるか?」
「ねぇわけねぇだろ」
……いやそう言えばそうなんだけどね。特に用事は何もないですよね貴女は。
「それに言わなくても分かるぜ、とりあえず…………《白》を探せばいいんだろ?」
「あぁ。アイツも間違いなくあの戦いの犠牲者だ。容態も気になるし…………色々と謝っとかなきゃいけないこともある」
「オレとしても色々思うところはあるけどよ、その……なんだ、アイツも悪ぃ奴じゃねぇんだよ。オレと同じで……振り回されてるだけなんだ」
「わかってる。だから敵視なんてしていない。それはお前が1番わかってんだろ?」
あの時に《魔眼》を使わなかったのが1番のポイントだ。自分が死にかけてる絶体絶命のピンチにあの強力な能力を使わないなんて選択肢はほぼないだろう。
後先のことを考えて今死んじまったら全てが無意味だ。
だからあの時に《魔眼》を使わなかったアイツは俺の中ではまだ信頼出来る。
アイツが俺たちを信頼できるかは別の話だけど。
「あぁ。オレもちょっと話したいことがあったしな、ま、あいつのことはオレに任せとけよ」
「頼んだ」
もし、無事に《白》ゴーストが見つかったら、聞きたいことが幾つかある。それと…………アイツにとっても、俺にとっても重要なことが一つ。
もしこれが成立したのなら……いや、そういうことは考えまい。
「そういやよ……気づいたか? 大将」
唐突な質問。
その言葉にあまりにも内容が足りていなかったことで、俺は全く質問の意味を理解できなかった。
「……何が?」
「今日一日の中で、何も違和感を感じなかったか?」
今日……? もしかしてあの意味の分からない儀式についてのことか? 反動があるとか? 実際あったけど。
「そうじゃねぇよ」
きっと頭の中を読んだんだろう、言葉にする前に返事が返ってきた。オイオイ……見聞色極めすぎだろ。
「大将……アンタマジで気がついてないのか?」
「だから何がだよ、別に変なことなんてなかっただろ。強いて言うならお前が料理してたぐらいだ」
「……」
何がだ? なんか変なこともあるのか?
今日したことと言えば……寝るだろ? 学園サボるだろ? 飯食うだろ? あと…………俺が明日の勉強会に香坂さんと高峰を誘って、九條さんが新海兄妹と希亜を誘ったくらいだろ?
「なんだよ、もったいぶらずに言えよ」
「…………いや、とりあえずアンタは大丈夫そうだからギリギリまで待ってみるわ。まだ確定したわけじゃねぇしな」
「はぁ?」
マジで何が言いたいのか全くわかんねぇ。コイツたまにこういうことあるんだよな……
「大将、オレはアンタを信じてるぜ? だから…………失敗しないでくれよ?」
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