つゔぁいごっどねす!ふぉっくすふぁいあ!!!〜現代に生きる神様達は信仰が欲しいようです〜 作:囚人番号虚数番
「順調に信仰は集まっているようだな」
「ええ、浸水防止の排水システムと酸素供給に換気ダクトを再起動して飲料水に地下水も用意しました。ひと先ずの命の保証があり余裕が出来なければ人も神を信じる気力は沸きません」
「必要物を的確に見極める目も十分だな。もう我が教えられる技術も無い」
「おかげで信仰の得方、奇跡の起こし方、そして鳴葉に仇なす者の殺め方、今なら存分に扱えそうです」
我は少し茶化すように笑いながら話すが彼は真剣な眼差しである。もちろん知った上でしている。これから先を考えると我も精神的に逃げたくもあるのだ。
「初めからこれが目的だったんですね。自らこの地を侵し、そこで自らが出向いて人を救い信仰させる。今分かりましたよ。何故あなたがこの地で生まれ、なのに私が生まれた理由」
「じゃあそれは何だ」
「望んだのでしょう。生まれた頃は私は知りえません。ですがあなたの能力は奇跡と逆の禍、普通は望まれず忘れ去られるのが普通です。あなたは望まれず、人が私にある福の部のみを望まれた」
「ご名答。流石だな鳴葉の神」
「だから……」
彼はゆっくりと弓を構える。矢じりの先を的確に向け確実に殺すつもりだ。ならば我も答えねばな……少しの釈明をする暇があればいいな。
「私は人の為なら神殺しすら厭わない」
そう言って燐火は光の弓を引き……
ヒュンッ
ー--
私はあなたと初めて会った時、同じ神として初めて仲間ができた気がした。狐で、そして同じ鳴葉の地を治めてきた神、親近感を感じるのも無理なかった。だから勝手に期待してでもこの地で永く共にするであろうあなたと一緒になりたかったのだ。
事実彼女との1か月は今までになく楽しく有意義だった。遠くに忘れてしまった神としての技能を実践を通して教え、また実際に力を使って救い、逆に人について何も知らない彼女に人を教えるのは予想もしない行動を起こしたりして奇妙で面白かった。きっとこれが巫女のような何も知らない異邦の人間でも同じような楽しさは感じられるかもしれない。だが彼女は違う。彼女は生まれて初めてで唯一「鳴葉の神同士の友」と呼べる存在を心から感じたのだ。
でも間違いだった。所詮は禍と福は相容れない存在。どこまでもあなたは神で、無慈悲だった。私が浅はかなのもある、なにせいままで神でなくただの少女であったから残酷に信仰を集めて生きてきた彼女の思想が理解、いや受け入れられないのだ。彼女の法としてのあるべき姿は神としての一つの正解を示している。幾度の破壊を計り幾多の人を殺し、信仰のみを食らって生きる。神としては十分な要素だ。
今の私はそれを受け入れられない、受け入れる訳にいかないのだ。人に害をなすのが神ならば、人に寄り添い神として神を殺す神も居ていいのではないか。
「私は人の為なら神殺しすら厭わない」
だから私はあなたを殺します。あなたがどうしようと今の鳴葉に厄災は必要とされていません。破壊はもうただ破壊にしかならないんです。
「だから……死ね、鳴葉」
ヒュンッ
最大限引いた矢を放し心臓を射る。だが鳴葉さんは特に躱すようなこともなく甘んじて受け入れた。
「うぐっ……痛ぅ、平気とはいえかなり痛むな」
口は痛がっているが体を貫通した矢を引き抜き同時に傷も塞がる。ダメージもなさそうだ。だがそこからまた私が弓矢を構えてなおそこに立ち続けているのは予想外だ。
「避けないのですか?」
「殺し合いがしたいのか? お主も見かけによらず血なまぐさい奴だ。我は荒事の前に最後の話がしたい。神としてでなく鳴葉之命一人としてハッキリしておきたいのだ」
「……本気で言ってます?」
街一つ壊して人も殺しておいて弁解をするなど余りにも都合がいい。人殺しとは許される行為ではない。しかも今までも繰り返してきたのなら猶更許す訳にもいかない。
「戦闘は必要ならばする。5分、いや気が済まなければいつでも殺して構わない。だから少し弁解させてくれないか。図々しい願いだとは承知だ。だが頼む」
「…………」
「やはり我を許せぬか?」
「はい。ですが私もなにも知らずに殺めるのも気が引けます。手短になら許しましょう」
矢を外し鳴葉さんの話を待つ。彼女はしばらく考えた後深呼吸を一度し話始める。
ー--
思えば何もかも違ったのだ。生まれは鳴葉、姿形は似て、互い信仰に飢えている。だから我ら二人で信仰を分かち合おうという誘いはこれ以上ない条件で、無事に成功させたのだ。
だが、それからは違う。生まれながら壊す事しかできぬ我と燐火とでは神として見える世界が違っていた。早い話お主は「善い人」なのだ。誰よりも民の平穏を尊び守る。それが今の鳴葉に求められる神の理想像なのだ。
そして皮肉にも新たな神を必要とさせたのは我のせいだ。古代の民は災いを望み、それに応えるだけで信仰され街も発展した。だがそれはあの時が特別なだけで毒の抜かれたこの地にはとっくの昔から必要ない神なのだ。それでも生に執着しこの街を汚してまで。
それが許せぬと申すのだろう、燐火。ならばこの鳴葉、この身をもって謝ろう。
「我もタダでとは言わぬが……お主が望むのならば首を差し出すのも構わない」
そこまで言って我は言葉を止めお辞儀をし
「この度の災を引き起こし数多の者を殺し、本当に、本当にすまなかった」
今までのことを謝罪する。
しばらく無言が続く。顔は見えないがきっと彼女は我をどうするか決めているのだろう。緊張の中、燐火が顔を上げて下さいと言い我は彼の顔を見る。
彼は……涙目で今までになく真剣な顔だった。
「本当は私だって誰か殺すだなんてしたくないです。関係ない人にも手を掛けるのはいい気持ちがしませんし大切な友であれば尚更です……あなたがどうかは存じ上げませんが少なくとも私は今後二度と会えないかもしれない、そのくらいあなたを信用していました」
「っそんなの我の友に決まっておるだろう!」
彼は我の言葉を聞きそっと目を閉じる。そして微笑をしながら静かに涙を流した。立場や役割は違えど、心だけは確実に通じていた。だから、彼女の返答は一つしかない。
「良かった。これでもう心残りはありません」
「なら良かった。我も言いたいことは済んだ」
……さて、また神の力を使い醜い獣へと変身する。彼がそのつもりであるのなら全力で応えねばならぬからな。
「で、我を殺めるか、それとも見逃すか?」
「殺めるだなんて、こんな問答の後で友に出来るはずない……そう言いたいのですか? ならば身をもって教えて差し上げましょう」
彼は特大の光の矢を作り出し、ゆっくりと、だが今までにないほどに力を込めた最高出力の矢を放った。加えて追尾するように天高く矢を撃ち上げ退路を塞ぐ。
「私はただ優しいだけじゃない、鳴葉の神としてあなたを許す訳にいかない!」
叫ぶように宣言し、直後上に撃ち放った数千の光の矢が流星郡みたく降り注ぐ。
「やはりな! だがいいぞ、その無慈悲さこそ神が神たる所以だ!これで我も遠慮なくぶち殺せる!さあ来い若造、古の神が嬲り殺してやるぞ!」
我らは神、人の心身、あるいは異形に成り果てても己の生まれた理由を遂行すべきなのだ。詰まるところ、幾ら心の友であろうとそれはそれとして殺しあうことが最善ならば無慈悲に殺すのが神である。
だから我も神の力を開放し本気で殺しにかかる。実は此奴が奇跡を使える時点でいつかこいつをどう殺すか考えていた。此奴の性格を考慮すると我のやり方は当然受け付けず絶対に否定される。最悪排除しかかると思っていた。
だからむしろ彼の責任感と憤怒に駆られ、勇者気取りで我に抗う貴様にはこれ以上となく嬉しいのだ。正当な理由で貴様と殺し合えたのなら友を殺す悲しさを紛らわせんのだからな!
腐敗液をばら撒き飛んでくる矢を相殺、衝突した液が霧状に霧散させ見通しを悪くし燐火を回り込んで後ろから爪で切り裂く。彼は我に気づかず、だが首元まで来て頭を下げ間一髪回避する。
「(早いっ! それに動きにも迷いがない!)鳴葉ぁ!最初から殺すつもりで動いていましたね!」
「っあーっ! やっぱりこう来なくっちゃあ面白くない。そうだ、お主が殺しに来ぬようなら我がぶち殺そうか考えておった! 互い邪魔なら殺すべきだよなぁ!(おお焦りよる焦りよる)」
「(それでいて0距離は不味い、ここは一度建て直さないと)」
燐火は素早く数本の矢を放射状に放つ。流石に攻撃後のスキを狙われたか。ならば我は燐火に突っ込むように飛んで避け追撃を狙う。
しかし燐火は機転を利かせ逆にその下に滑り込み腹に数発の矢を撃ち込み体を貫通させた。
「……っど!」
「や、やった……きゃっ!」
腹を射り穴が開いたせいで腐敗液が吹き出燐火の体に少し降り掛かった。顔にはかからなかったが肩から腕にかけての表面が腐り肉が見える。当然痛み体を蝕む、だから重症化する前に燐火は腐食箇所を躊躇せずに矢切で削ぎ落とした。
「ははは! お主そこまでやるか!」
まさかそこまで決意を決めていたとは予想以上だ。接近戦では分が悪いからか燐火が我から距離を取り弓の間合いへと持っていこうとしている。だがそうはさせぬぞ、紫炎を広範囲にばらまき逃げ道を潰す。そしてそこを詰め接近で爪を振る。
「それそれそれ!」
接近の攻撃手段が乏しい燐火は攻撃を受けることはできない。だから必死にステップで逃げながら避け続ける。しかし接近で数回の回避程度距離では不十分だ。
「まだ止まらないの…っつ! 壁が!?」
彼の回避先を誘導し壁際まで燐火を追い詰めた。これでこれ以上逃げることはできない。僅かに動揺した隙を見逃さず腕を振り上げ全力で振り下ろす。
「うぐっ! ああ‘‘ああっ!」
爪は体を袈裟切りした。傷を焼きながら切り、出血は無いが毛皮に燃え移って体を燃やす。体中に激痛が走り避ける足を止めた。
「これで……どうだ!」
そしてすかさずバク転で尾の剣を叩きつける。溶解した液化した岩石が飛散し大きく抉れ、ゆっくりと上げた尾の下には黒焦げた跡があった。きっとこれは彼の体だろうが今一手応えがない。それに後の大きさも人一人に明らかに満たない。
ビュンッ
「ぬおっ!? (背中を射られた! やはり逃げておったが一体どうやって……)」
「はぁ……はぁ……間一髪!」
後ろを見ると獣皮の黒焦げた燐火が満身創痍でいた。よく見ると尾が切除され、妙に小さい跡にも納得だ。傷は流石の信仰だ、我よりも遅いながら徐々に回復して焼け焦げた肌が治っている。
燐火は更に弓を引き追撃する。今度は一本の大矢と数本の通常矢を同時に装填し放つ。これもただ腐敗液で消すだけだ。また腹の液を飛ばして矢を相殺する。それに我が見逃すとでも思ってるのか?腐敗液を読んで追加で放たれた矢を爪で弾いた。
だが、これも彼の計算だった。
複数放った矢の一つは上方より放物線を描く軌道である。そこに腐敗液を飛ばしたことにより液の殆どは天井にかかる。そこに弾いた矢が加わる事で天井の強度が低下、一部の崩落を起こした。
「おい待てそれは駄目だろ!? 上にはまだ人が……」
言い切る前に瓦礫が落下し巨大な塊が頭に当たる。続けて次々に瓦礫は堆積して自身も周りを埋め尽くした。瓦礫の隙間から外を見るとそこには瓦礫は落ちていないらしくどうやら自身の周りにのみ、丁度地震の周りでだけ崩落が起きたらしい。
「上の方々は平気です。今の矢は攻撃性能の無い奇跡を起こす矢、それであなたを間接的に攻撃しました」
だからこんな腕と足と急所にだけ的確に鉄骨がぶっ刺さってるんか!周りも見えないしその上コツコツとこちらに近づく足音もする。早く出ないと一方的に死ぬだろう。
「(さすがの我も長年生きて土葬経験は無いぞ! 急いで出ねば死ぬ)!」
見えない外側では燐火は矢は奇跡と大矢を番えとどめを刺すつもりでいる。矢から出る光が凄まじく瓦礫の隙間から凄まじく眩しい光が見え、これは不味いと全力でのしかかる瓦礫の山に抗う。瓦礫を巻き込んで中途半端に再生した骨と肉を無理やり動かし痛みに耐えて藻掻く。すると奇跡的に瓦礫の山が崩れ出られそうな隙間が前に開いた。
「よし! あとは手足を……」
「逃がさないですよ」
だが逃れる前に瓦礫の山に光の矢が放たれた。矢の輝きに偽りなくその威力で瓦礫を破壊し貫くだろう。
「(不味い不味い不味い不味い……どうする……?)」
考える暇は当然無く危機を前に加速した思考でどうにか回避する術がないか探す。2本腕と足に刺さったのがどうにかなれば急所もどうにかなるのだ。紫炎で燃やし尽くす手ももう間に合わない……?
「逆だ紫炎でなきゃ間に合う!」
変身を解除して少女の体に戻る。若年の体格での僅かな隙間も子供の体なら十分だ。
これで、穴の隙間から、出ろ!
腕と足、急所が裂けるのも構わず無理やり瓦礫の山の外へ目指す。痛む足と腕は僅かに動かしても激しく痛む。だから歯を食いしばって足を曲げ、勢いをつけて体をずりどうにか這い出た。無理やり出たせいで手足はもげてしまったが生きれるだけマシだ。
「ぬぅ! 間に合った!」
その次の瞬間後ろで光の柱が山を貫いた。矢であろうがあまりの太さに柱としか見えず、また壁と床を貫通しさらなる地下へ続く大穴を開けた。これがもし間に合わなかったら……ともかく危機を脱したなら立て直しをして攻撃だ。まずは手足と急所の再生、手足が使えない今は立てすらしないし出血も不味い。
だがしかし、ここで致命的な計算外が起きた。
「避けられた! 鳴葉はどこに……ってあれ、鳴葉さんどうしました?」
燐火は我の逃げ先を探し、そして見つけた。しかしそこで見つけた我に困惑を覚え思わず我に問いかけた。クソ、わざわざ間合いに近づいてくるあたり相当に舐められている。まあ、それも無理はない。
我は燐火の大矢を逃れ手足の再生をするために時間を稼ごうと逃げようと体を捩りじりじりと進んでいた。手足一本でも再生最時間は数秒、今も十秒位だろう。だがその予想に反して逃げられず彼に見つかった上で同情されたのだ。
「見るな!ぐっ、腕さえ治れば今すぐ殺せるのだぞ!だからそんな憐れんだ目で見るんじゃない!」
「それにしては止血すら……」
そこで燐火は発言を止める。心臓を矢が貫いても再生し平気そうだったのに今はそれどころか止血すら出来ていない。ダメージがいか程にしても手足がなく機動力の削がれた状態は望ましくない。しかもかなり焦っているとみると……一度考えた後燐火がこう聞いてきた。
「もしかして『再生が出来ない』のですか?」
「ああそうだともこんくそがあああああああ!」
sekir○で今天守閣にて弦○郎に挑戦中。家のPS○の葦○にはまだまだ内府は遠そう。
追記 先に仙法寺に向かいます。
追記 フラグ関係で幻廊には行けませんでした。
小説の適切な話数
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