仮面ライダーロア   作:瀝青

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初めまして、瀝青と申します。

何処かで見たような展開、何処かで見たような設定ばかりになると思いますがお付き合い頂ければ幸いです。

2022/11/5
描写を少し追加、修正しました。


本編
第0話 Prologue


 春先。雨が人気の無い、木々の生い茂る公園に降り注ぐ。それは一人の若い男を、傷だらけのよろめきながら逃げ惑う肉体を濡らす。

 しかし今、雨は取り立てて問題にすることではない。雨音に混じるもう一人の足音。その気になれば彼の人生(ものがたり)を直ぐに完結させ、バッドエンドに導くことも可能なその存在は、彼の絶望を、恐怖を煽るかのように緩慢に歩を進める。

 一分か一時間か、彼にとっては短くも長くも感じられる時間が過ぎる間にも逃走は続き、ついに彼は地に倒れ伏す。黒い髪に黒い瞳の備わった頭を上げると、彼を追跡していた存在が視界に入る。

 それは二メートルほどの人型だった。

 橙色の触覚が生え、目の有無が確認できない頭部。鯨に似た腕や背中、脚のヒレ。全身に備わる橙色の棘が百足のような尻尾にも及んでいた。蟲を思わせる、黒い甲冑のような有機的な部位。鉛色の光沢を放つ無機的な部位。そして機械の内部機構のようなケーブル。

 それらが結合し、およそ常識では考えられない、正に怪物としか形容のできない姿を形成していた。

 尖った二本の百足の牙の下に備わる、人間のような銀色の歯が開き黒い口内が曝け出され、そして——。口を開けたまま停止した。

 

 安心より先に困惑を示した彼の隣。

 黒いローブを纏い、手袋に覆われた右手にアタッシュケースを吊り下げた、一切肌を露出していない人物が無から発生したかのように現れる。

 驚く気力も残っていない彼に、性別の判断ができない無機質な声がフードによってできた陰の奥から告げる。

「貴方に力を授けよう。ゼネラドを打ち砕き、物語を切り拓く力——仮面ライダーの力を」

 好奇心と期待を瞳にたたえ、彼は立ち上がる。

「ゼネラド……仮面ライダーだと?」

 仮面ライダー。

 この世界においては神話や伝説に語られ、近現代の創作物の題材としても採用される存在。特殊な器具で『変身』し、怪人や悪の仮面ライダーと闘いを繰り広げる架空の戦士たちの名。

 

 ローブの人物がアタッシュケースを開き、その中身を彼に示す。

二つの長方形の装置。

 一つは黒と白で彩色され、両方の側面にCDやDVDを挿入するような細長い穴が空いている。その挿入されるべきものが見えるであろう円型の透明な部分が正面の左右に存在していた。

 もう一つは鮮やかな青と淡い青で彩色されていて、一つ目よりは小型。前者とは異なり中心と中心の側面にしか透明な円型の窓と細長い穴がなかった。

 そして直径6センチほどの光ディスクのようなものが三枚。

 一枚は白色で、羊の角が生えた蛇の頭部の正面図と《Crom Cruach》という文字が銀色で印刷されている。

 二枚目もまた白く、鹿の角が生えた蛇の頭部の正面図と《Cernunnos》の文字が赤色で印刷されている。

 三枚目は青く、翼を広げた烏の正面図と《Beira》の文字が白で印刷されている。

 

「貴方なら、これが何の為の道具なのか分かるだろう」

 実際、彼はその装置とディスクが『変身』のための機構であるという紛れもない事実を理解していた。彼は新たな玩具を得た幼い子供のような、それでいて狂気的な笑みを浮かべる。そして迷わず黒と白の装置を手に取り、裏面を腹部に押し当てる。

《Lore Driver!》

 その装置——ロアドライバーから音声が発せられるとその裏面の両端から黒いベルトが伸び、自動的に装着される。

 フードの人物が無言で二枚の白いディスクを彼に手渡す。

 彼はディスクを受け取ると、彼から見て右側から順にそれらをロアドライバーに装填する。そして音声が追随する。

《Crom Cruach》《Kernunnos》

 ケルトの謎多き神性の名が発せられ、何かを待つように荘厳さと疾走感を併せ持つオーケストラ調の音楽が流れはじめる。

 彼はバックル上部中央の正三角形が描かれた長方形のボタンを押し、不敵に「その言葉」を叫ぶ。

「これこそ俺の望んだ展開だ……変身!」

《Now Loading……》

 前兆も無く百足の怪人の停止が解け、警戒するような仕草を取る。それと同時に、彼の足元から銀色の液体が波のように発生しそのまま彼に覆い被さる。戦士の外装を造る為にそれは形を、色を変えてゆく。

《Transform!》

 音楽を伴った音声と共にスーツの形成が完了する。ローブの人物はその様子をただ見つめている。

《KAMEN RIDER LORE》

《Cromnunnos Form》

《To the opening.》

 無機質でありながらも英雄然として、しかし禍々しくもある仮面の戦士。

 屈強な印象を与える、白一色の装甲とアンダースーツ。

 蛇の牙を思わせる、銀色に煌めく口部分(クラッシャー)

 凶悪さすら感じさせる、釣り上がった赤く大きな一対の複眼。それが一瞬、光を放った。

 複眼の間から額にかけて、黄金の星を象った一本の角が存在する。その金色の中、額には赤い「第三の目(Oシグナル)」。

 複眼に繋がる、頭部の左右の側面に備わり後方に向かって伸びた赤い一対の羊の角。

 同じく複眼に繋がり、頭部の上側から生じる赤い一対の鹿の角。

 交差した状態で背中に装備された、羊の角にも似た曲線を描く赤い双剣。

 正面から見て左側のベルトには、変身に使用したディスクが複数収められる銀色の箱。

 右側のベルトには、同じくディスクが一枚収まる銀色の薄い箱。

 右手首に搭載された、ディスクを挿入できるであろう銀色の機具。

 

 襲撃を再開した怪人——ゼネラドと向き合い、大勢の人々に宣言するように彼は言い放つ。そしてローブの人物が拍手する。

 

「仮面ライダーロア、開幕の時間だ!」

 

 雨は止み、新たな仮面ライダーの誕生を祝福するように空は晴れ渡っていた。




今回、初めて登場した人物
芥 遼也(あくた りょうや)/仮面ライダーロア
種族:人間
性別:男性
年齢:18歳
容姿:『仮面ライダーの主人公』なので当然容姿は整っている。細身で、髪と瞳の色は黒。目付きが鋭く、どこか酷薄そうな顔立ち。
職業・身分など:醒蕾院(せいらいいん)大学の一年生
家族など:父、母、妹
身長:175cm
体重:57kg
誕生日:9月6日
好きなもの:面白いモノ
嫌いなもの:つまらないモノ

本作の主人公。

自分が面白いと思ったモノ、特に物語に対しては幼い子供のような好奇心を剥き出しにして執着するが、その反面つまらないと思うモノに対しての反応は異様な程に冷淡。興味の無い人間にゼネラドの被害が出ても無関心。

スコロペンドラ・ゼネラドに襲われていた所に現れたローブの人物からロアドライバーとテイルディスクを手渡され、「自分の物語(じんせい)を面白くする」という目的のため仮面ライダーロアとして戦う。また、仮面ライダーの力もゼネラドも自分の人生を面白くするための舞台装置としか思っていない。

生身での運動能力は低いが、神話・伝承に関する豊富な知識を活用し戦闘を有利に進める。


ローブの人物
種族:不明
性別:不明
年齢:不明
容姿:不明
職業・身分など:不明
家族など:不明
身長:不明
体重:不明
誕生日:不明
好きなもの:不明
嫌いなもの:不明

遼也にロアドライバーとフーアドライバー、そしてテイルディスクを与えた人物。

彼、あるいは彼女に関する全てが謎。そもそも人間であるかどうかも不明。


今回の怪人
スコロペンドラ・ゼネラド
対応するテイルディスク:スコロペンドラディスク
身長:205cm
体重:117kg
特色/力:伸縮可能な体中の棘に含まれる毒、鰭による斬撃、水中の環境への適応

芥遼也/仮面ライダーロアが最初に対峙したゼネラド。
アイリアノスの『動物の性質について』、貝原益軒の『大和本草』などの書物で言及される多脚の海の怪物・スコロペンドラ(ムカデクジラ)に由来するゼネラド。


次回もよろしくお願いします!
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