MHT/Apocrypha   作:綴れば名無し

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 今回のお話、帝国軍vsガーランド軍vs????
登場する帝国軍の装備品や兵器について軽い解説

・重装歩兵が装備しているのはMHWで登場した防衛隊シリーズを模したもの(使っている素材等は同じ。ただハンターが用いる工房とは別の兵器工廠で作られたものなので性能はちょっと違う)※「モンスターハンター・トータス」幕間の物語「湖の町の用心棒・後編」にて中隊長ハリス率いる帝国兵が登場

・軽装歩兵の装備は明記されていないが、雪山の帝国兵に限りポッケシリーズをイメージ(こちらも見た目だけで中身はちょっと違う云々)基本的にはレザーシリーズもどき

・弓兵の使う弓は普通に対人用(現代で云うところの13世紀~16世紀の長弓)威力はそこそこなので結界師の結界くらいでも防ぐことが可。当然モンスターに使用してもアプトノス並みに柔らかい肉質じゃないと矢が通らない+刺さっても大したダメージにならない

・大砲、バリスタ等の兵器はハンター達が使ってるのと同じもの



シュネー雪原の戦い「混沌の戦場」

 

 第一射が狙いの敵基地へ命中したことで一部の兵士達からは歓声が上がる。

だが一人の兵士が、それは敵の罠である可能性を考えたのと同じように、現場指揮の一翼を担っている第二中隊の中隊長バーナードも違和感を覚えていた。

 

 こんなあっさりと砲撃可能地点まで敵の進軍を許すのか?

魔法技術と数で勝る魔人族が、自分達の行動に気づかない筈はない。

 

(もし…もしこれが…()()()()()()()()()()()()()()()()?)

 

 そしてバーナードの嫌な予感は、着弾地点を観測していた兵士の叫び声で現実のものとなる。

 

「着弾を確認!しかしっ……あれは、目標の敵基地ではありません!!」

「―――何だと!?」

 

 歓声が一瞬にして静まり返る。バーナードは背中から這い上がってくる寒気が、雪山の寒さから来るものではないことに気づき始めた。

双眼鏡を除いていた観測手は弾着地点の状況を端的に告げる。

目標と思われていた地点に飛散した残骸の周りに、敵兵士の姿は一人も見当たらず、支配種らしきモンスターの姿も確認出来ない。

 

 いつからだ?いつから帝国軍(こちら)の動き魔人族(むこう)に読まれていた?

兵士達の間に広がる動揺の波に似たような思考が幾つも巡らされる。

そんな悠長な事を考えている時間を、魔人族が与える筈もなく――――――

 

「敵襲――――――っ!」

 

 第二中隊が混乱する最中、第一中隊の見張りが叫ぶ。

シュネー雪原と向き合う雪山に陣取った帝国軍から見て十時の方角。

風属性の魔法による飛翔能力を得た魔人族の部隊が空中から急接近してくる。

 

「弓兵隊、各個に迎撃っ!弓のない兵は盾で弓兵を守れぇっ!」

 

 怒号にも等しいハリスの指示で、動揺からいち早く復帰した第一中隊の兵士達が動く。

重装歩兵が体の殆どを隠せる重厚な盾を真正面に構える。

弓兵が矢筒から矢を取り出し、魔人族の部隊目掛けて放つ。

雲の隙間から顔を覗かせた太陽の光に照らされる中、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 シュネー雪原を真っ直ぐ進むガーランド軍の第一、第二大隊。

隊列の中央、馬上に跨る旅団長デイヴォフは技能”遠視”を片目で発動させて戦況を調べる。

帝国弓兵の攻撃を予想して第三大隊の結界師達が放たれる矢の大半を防いだ。結界を抜けた矢にも対応出来るよう、抜剣した兵士達は盾で直撃を免れている。

それでも矢が刺さり地表へと羽虫のように落ちていく兵士は運が無かったとしか言いようがない。

 

「我が軍の第三大隊が、敵軍第一中隊との交戦に入りました」

「此方からも見えている。……予想より敵軍の立て直しが早いな」

 

 敵の迎撃は想定の範囲内だが、それでも先制攻撃のチャンスをものに出来ると考えていた。

しかしガーランド軍の兵士達は全体的に練度が低く、対する帝国軍は最前線の兵だけあってかなり実戦慣れしている様子が伺えた。

支配種頼みで戦っていることが裏目に出たのか。或いは―――――

 

「指揮系統に恐らく有能な者が居るのでしょう。…旅団長殿には遠く及びませんが」

「世辞は不要だ。奴らを下等と侮ったところで、戦いに勝てねば全てが無意味になる」

 

 出撃前にフリードから念押しされたことを思い出し、デイヴォフは部下達の気を引き締めた。

大局を見極める者として、2500人の旅団兵士の命を預かる旅団長として、彼は常に冷静でいる。

それこそが他の旅団長にない、彼の持つ強みなのだから。

 

「はっ!………もうじき第四大隊が到着する筈です」

「あぁ。まだ作戦遂行に支障はない……後詰のアレも準備させろ」

「了解しました!」

 

 離れていく部下を横目に遠視を解除したデイヴォフは目を閉じ盤面を思い浮かべる。

白と黒で構成された盤面の上で、様々な役割を持った駒が時間の流れに沿って動く。

一手先、二手先を良い結果と悪い結果の両方で考え、その中で相手の駒がどう動くか予想し、自分にとって成立させ易い過程に駒を進める。

敵の駒を操る者が予想を超えた動きをしなければ、勝敗は決まったようなもの。

もし彼が頭の中に描いた数千通りの想定式(パターン)を乱すものがあるとすれば―――

 

「報告!三時の方角より雪兎獣出現!第二大隊の哨戒部隊が交戦中とのこと!」

「慌てるな。第一大隊の右翼、炎術師の分隊と支配種の鳥竜種を数体回せ」

 

 自然の中に生きる、モンスター達の予測不可能な活動がデイヴォフの脳裏を過ぎる。

両陣営が思い切った行動を出来ない理由の一つに、これらの存在があった。

不用意に大軍を動かせばモンスターに襲われ、戦う目に致命的な損失を負うことになる。

だから両軍とも戦う時は必ず第三勢力(モンスター)の対策を立てているのだ。

そして、ガーランド軍がシュネー雪原というモンスター達の縄張りに入るのと同じで……

 

(あちら側も似たような状況になっているか。…運が悪いのはお互い様ということだな)

 

 

「ハリス中隊長っ!六時の方向よりモンスター接近!ドドブランゴです!!」

「くっ…こんな時に…!!第二中隊に砲撃支援要請!すぐに追い払え!!」

 

―――グルオオオォォォッ!!

 

 帝国軍第一中隊の総勢200名とガーランド軍第三大隊の総勢500名の衝突。

圧倒的に数で勝る第三大隊に押されつつあった戦況を変えるものが現れた。

突如両軍の間に降ってきた雪の塊。

直後に降り立った雪獅子が雄叫びと共に子分のブランゴを連れて暴れ出す。

 

「ヒィッ!?た、助k――――――グェ―――!」

 

 手始めにドドブランゴは近くにいた弓兵の一人をむんずと掴み、ぐしゃと握り潰した。

直後、槍を構えた重装歩兵の集団目がけて弓兵の死体を投げつける。

盾で受け止めた彼らは、さっきまで生きていた肉塊の血飛沫を鎧に浴びた。

 

「く、そおおぉぉっ!!こいつッ――――――」

「落ち着け!陣形を崩さず、奴を砲撃可能地点にまで誘導するんだ!」

 

 憤る部下を抑えながら、重装歩兵の隊長格が叫んでバックステップを促す。

一糸乱れぬ重装歩兵隊のバックステップを見た雪獅子は、当然それに釣られて迫る。

この隙に空中で制止していたガーランド軍側の第三大隊兵士が叫ぶ。

 

「今だ!モンスターに怯んでる隙を逃さず畳み込めば――――――!」

「馬鹿者!!増援が到着するまで現状維持を忘れたか!?おい戻れ!!」

 

 上官の制止を振り切って、血気盛んな若い兵士が数名高度を下げて突撃を仕掛けようとする。

だが彼らの突撃は、手近の木に登って飛び掛かってきたブランゴによって阻まれた。

雪の地面に叩きつけられた彼らは抵抗も虚しく、鋭い爪や牙で切り裂かれて悲鳴を上げる。

 

「あ、いぎゃあぁぁぁっ!?や、め―――げえぇっ!?」

「ひぃいっ!は、離せぇ!!離せええええ!!」

「いだいぃ!?お、俺の指ぃ、俺の指がぁぁぁっ!?」

 

「………馬鹿共がっ」

 

 戦場は混沌を極めようとしている。

雪獅子とその子分による攻撃は、両軍を手当たり次第に襲っていた。

雪山の白化粧を、真っ赤な血の化粧が死体と共に彩を加えていく。

そして遂に――――――

 

「第一中隊を援護する!砲兵隊、()ぇぇぇ――――――!」

 

 バーナード中隊長の号令に合わせて、動揺が収まった第二中隊が戦線に復帰した。

大砲の向きを変え、第一中隊が交戦中の雪獅子目掛けて数十発の砲弾が放たれる。

味方への誤射の危険性もあるが、モンスターを放置するのはそれ以上のリスクを伴う。

多少の犠牲を払ってでも、雪獅子を仕留めるか追い払う必要があった。

 

 熱風を伴う衝撃波で辺り一面の粉雪が舞い上がり、空中の第三大隊は咄嗟に距離を取る。

すぐに晴れた視界の先。雪獅子と交戦中だった重装歩兵隊は煤だらけになりながらも、奇跡的に至近弾の一発も喰らわずに済んで、隊列を乱さず立ち続けていた。

雪獅子はというと、砲弾をまともに食らって地面に転倒して藻掻いていた。

しかも前足の後ろ脚の一部がそれぞれ損壊し血が噴き出し、辺りに肉片が転がっている。

 

「バリスタは空中の敵を各個撃破しつつ、第一中隊の後退を援護するんだ!」

「了解っ!」

 

 第二中隊の攻撃を防ぐ為に結界師達が慌てて結界を張り直すが、弓兵の矢と大型弩砲では威力が違い過ぎると彼らが気づいたのは、仲間の数人が極太の鏃で貫かれるのを横目で見た瞬間だった。

形勢はやや帝国軍が勢いを取り戻したかに思われた。だが――――――

 

「―――二時の方向ッ、敵増援です!!」

 

 絶望に満ちた声で真っ先にそれを報せたのは、第二中隊の第三小隊第五分隊に所属するゲブルト村出身の伝令役だった。

木々の間を縫うように、山の斜面を滑るようにガーランド軍第四大隊が現れる。

 

「第三大隊の負傷者に構うな。範囲魔法で敵の総数を減らすぞ」

 

「「「焼き尽くせ……”蒼天”!!」」」

 

 第四大隊の大隊長が下した残酷な指令に対し、部下達は了解の言葉も省いて淡々と両掌を前に翳し、火属性最高位の魔法”蒼天”を躊躇いなく帝国軍第二中隊のいる場所へ撃つ。

 

「ぎ、ぐああぁぁぁっ!」

「熱い、アツイィィィッ!!」

 

―――グオォォッ……

 

「な、なんで俺達を……っ!?」

「仲間じゃ、ないのかよぉっ!!」

 

 重装歩兵が逃げ遅れて炎に焼かれる中、ブランゴに襲われていた第三大隊の兵士達も巻き添えを食らう。瀕死の重傷を負っていたとはいえ、助けようとすれば助けられた筈だ。

 

(仲間も簡単に……見捨てた……っ!)

 

 愕然とした表情を浮かべ、目の前で行われる戦闘に伝令役の青年はへたり込んでしまう。

再び状況は一転して帝国軍は第一中隊が壊滅状態となりガーランド軍が優勢に立った。

更に追い打ちをかけるように、第二中隊長バーナードの下に報告が寄せられる。

 

「雪山の麓に動きあり!あ、あれはっ、また敵軍の増援です!数……1000以上っ!?」

 

「なん……だと……?」

 

 ヘルシャー帝国軍第一第二中隊動員総数400、ガーランド軍第二旅団動員総数2500。

戦いは始まる前から、圧倒的にガーランド軍が数で勝っていたのだ。

 




 普通に考えたらラオシャンロンも怯む大型弩砲で人狙うとか当たり所悪けりゃ上半身と下半身で真っ二つに分かれてもおかしくないなとか思ったり…
ドドブランゴは犠牲になったのだ…(縄張りでドンパチされたら普通キレる)

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