MHT/Apocrypha   作:綴れば名無し

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 とりあえず今後出てくるクラスメイトと出てこないクラスメイトの発表です。
あとはやっぱりというべきか、優花さんがハジメに起きた事を知ってしまいました。
先生に続いてまた優花さんが曇ってる… ※曇らせた張本人


神の使徒、帝国に立つ

 

 ヘルシャー帝国の首都グラディーウスにガハルド皇帝が戻ってきたのは三国会議から2日後。

彼はハイリヒ王国に数名の部下を派遣し、帝国兵を陥落させた関所へ配置した。

皇子バイアスはウルから飛んできた伝書鳥の報せでガーランド軍に動き有と知るや否や将軍としての責務を全うする為、副官と着いて来れる護衛だけを率いて出ていった。

 

 そして、ハジメのクラスメイト…神の使徒達の姿も帝都にあった。

ウルに居た作農師・畑山愛子と園部優花率いる愛子の護衛パーティー全員。

彼らは英雄狩人サー・ミッドガルが護衛して、ライセンの荒野で王都の治癒院を出て雫と同じ決断をした神の使徒達と合流した。

 

 王都に留まったのは小悪党組の生き残り2人と勇者・天之河光輝。そして彼の世話係を自ら申し出た降霊術師・中村恵理も残った。

 

 当初は坂上龍太郎、谷口鈴の2人も龍太郎は光輝が心配だから、鈴はそんな龍太郎の世話をするつもりで残る筈だったが、恵理に「坂上君達が傍に居たら、光輝君が無理しちゃうかもしれないから。距離を置いた方がいいよ」と説得されて雫に付いていく事にした。

 

 

「さて、お前達の住む場所だが…生憎と城に十数人が満足に生活を送れるような空き部屋はない。―――よって暫くは私の屋敷を好きに使うといい。雫よ、鍵はお前に預けておくぞ」

 

「は、はいっ頂戴します!皇女殿下ッ」

 

 町中を走る馬車の中で、トレイシーと向かい合う形で座る雫が背筋をピンと伸ばし、緊張した面持ちで差し出された鍵を震える両手で受け取った。

そんな彼女の様子を見てクスクスと笑い、トレイシーはスッと目を細める。

 

「そんなに緊張せずともよい。言葉遣い・礼儀作法など自分に適した振舞いをすればよいのだ。…まぁ、あの皇子(バカ)のように粗野で品性を疑う振舞いはして欲しくないと思ってはいるがな」

 

「…そのような事は…」

 

「フフッ!追々慣れていけばいいさ。…そら、見えて来たぞ」

 

 トレイシーの指さす馬車の窓へと雫は「失礼します」と言って身を乗り出した。

石造りの立派な城が建つ中央と西側の商業区を抜けて、普通の人は立ち入れない北へ入る。

先頭を走る2人が乗った馬車を追いかけて後ろから3台の馬車が続く。

永山パーティー、勇者パーティーと畑山先生、護衛パーティーで分かれていた。

 

「…あんな立派なお屋敷…!?本当に使って良―――宜しいのですか?」

 

「構わぬ。普段私は城に泊まり込みだからな、屋敷には使用人すら置いていない」

 

「…ありがとう御座います。何から何まで…」

 

「フッ、()()()()()()()お前は兎も角…他の奴らは数日の間だけだ。最後になるかもしれないこの世界での贅沢を満喫するが良いさ…それを伝えるかはお前次第だがな」

 

「…皇女…殿下…」

 

 不意に席を立ったトレイシーが雫との距離を詰めて体を密着させる。

驚き目を見開いた雫だが、嫌そうにはせず寧ろ嬉しそうに顔を赤らめて目を閉じた。

 

「これから私の部下として、良い働きを期待しているぞ雫」

「…はいっ…」

 

 

 雫達と合流した愛子は、生徒2名が死んだことを知って絶望に打ちひしがれた。

自分の怠惰が、無力が、弱さが2人の死を招いたのだと自らを攻めようとする。

しかし生徒達は必死に彼女を説得して「あれは先生のせいじゃない」と言い続けた。

 

 元はと言えば光輝が始めた事であり、生徒達は愛子の制止を無視してそれに便乗した。

結果、檜山大介も中野信治も自分勝手な行いをして命を落としたのだ。

非があるのは生徒達全員と、扇動した光輝である。

その彼も両足を失い、不慮の事故で視力を著しく低下させる報いを受けた。

 

 戦争をさせるつもりだった聖教教会の残党は神山に立て篭もって出て来ない。

王国騎士団長メルド・ロギンスは断罪された亡き王の忘れ形見である王妃ルルアリアと、暫定的に王位を継ぐことになった王子ランデルの補佐に回って神の使徒の面倒が見切れない。

 

 結局愛子は流される形で作農師の力を利用されるために帝国へ来た。

馬車の中で生徒達に励まされる内に徐々に元気を取り戻しつつある愛子だったが、それでもかつてのような明朗快活は失われている。

だが彼女は知らなかった…自分よりも、精神的に取り乱している生徒が居るなんて…

 

(……南雲……)

 

 揺れる馬車の隅で、前向きにこれからの事を話す奈々達から視線を外した投術師・園部優花。

彼女はライセンの荒野で再会した雫達からオルクス大迷宮で起きた話を聞いてしまった。

そしてハジメの伝言が嘘であることを知り、行方知れずと知ってしまったのだ。

 

(どうして、あんな嘘をついたのよ……)

 

 心の中でそう呟いたが答えは既に出ている。

ノイント達、そして優花達に心配されないようにするためだ。

だがその嘘は結果的にバレてしまい、こうして優花は不安に苛まれていた。

 

(ちゃんとまた私の―――いえ、ノイント達の所に帰ってきて…南雲)

 

 きっとこの事を知ったらミュウは号泣するだろう。

ノイントやティオも冷静には聞くけれど、助けに行こうと動くかもしれない。

だから伝書鳥で伝える事も出来たが、優花はそうしなかった。

静かにそっと窓の外に移る青空を見上げ、彼の生還を信じるしかない。

 

(お願いよ南雲…でないと、私――――――)

 

「優花っちどうしたの?」

「なんだか顔色悪そうだけど…」

 

「っ!?へ、平気よ!ちょっと馬車酔いしただけだから」

 

 今、優花に出来ることは奈々達に余計な心配をかけさせないこと。

彼と同じように、自分に出来る精一杯の普段通りを心がけるしかない。

懸命にざわつく心を抑え、自分に向かって言い聞かせる。

 

(大丈夫よ…きっと南雲なら…大丈夫に決まってる…)

 




 次はミッドガル兄貴たちの話になるかもです(ハンター辞める云々)

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