MHT/Apocrypha   作:綴れば名無し

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 ミッドガル兄貴とマリアンナ姉貴、ハンターとしての出番が後一回になってしまった…
後半でハジメ同期をチラ見せします。


英雄譚の終わり、新世代の歩み

 

 帝都グラディーウス東側、ハンター達の活動拠点ギルド本部はいつも以上に賑わっていた。

ハンターになって日の浅い者達は噂の英雄サー・ミッドガルの姿を一目見ようと押し寄せて、長年ハンターを続けて英雄譚の傍観者だった者達は突然の幕引きに戸惑いを隠せず事の真偽を確かめよとギルド職員に詰め寄っている。

 

「いやぁ~しっかし急な報せだったのに、面倒な手続き全部やって貰って悪いねえ!」

 

「構いませんサー。貴方に任せたら全てベスタ嬢に押し付けるのが目に見えてますから」

 

「ハッハッハッ!やっぱり俺ぁ信頼されてねえなぁ!どう思うよマリアンナ?」

 

「…貴方の日頃の行いを思い出してみてはどうです?サー」

 

「わははははっ!確かに!書類とか手続きとか数えるくらいしかやった事ねえな!」

 

「「………ハァ」」

 

 騒ぎの中心にいる当の本人サー・ミッドガルは外の喧騒を気にする様子もなく、目の前の机に置かれた茶菓子を暢気にボリボリ貪っている。

それを横目に見て呆れた声を出すマリアンナ・ベスタとギルド職員は顔を見合わせて、お互い苦労が絶えないものだとシンパシーを感じていた。

 

「―――改めてサー・ミッドガル、マリアンナ・ベスタ。貴方達がハンターを辞めるにあたって、これまで収集してきた素材の一部と強力な武器・防具をギルド側で預からせて頂きます。それについて異議申し立てはありませんね?」

 

「あぁ、好きに持っていってくれ」

「私達が再びハンターに戻れるかは分かりませんので…そちらで有効活用してください」

 

「それでは次に、ギルドカードの返還について。こちらは身分証明書としてステータスプレートの代わりに持ち歩いて頂いて構いません。既に皇帝陛下からも許可は下りていますので」

 

「あいよ」

「分かりました」

 

「最後にお二人は後日開かれる闘技場の狩猟祭に参加して頂きます。これは我々ギルドの要望として、貴方達の後を継ぐであろうハンター達に、英雄狩人としての幕引きに相応しい相手をご用意致しますので、お覚悟を」

 

「へいへい、最後くらい真面目にやらせて貰いますよっと…」

 

 話を終えたミッドガルが席を立つと、マリアンナはギルド職員に頭を下げてから後に続く。

彼は扉を開けて外に出ようとして―――扉の前に人の気配を感じて立ち止まる。

 

「…よお其処で出待ち奴、扉開けっから退いて貰えるかねえ」

 

「………」

 

 扉越しに人の気配が後ろに下がったのを確認してからミッドガルは扉を開けた。

外の通路に立っていたのはミッドガルと面識のないハンターだった。

全身を鋭角的なデザインの濃い緑色をした防具で身を包み、太刀を装備している。

 

「おっかねえ雰囲気漂わせてる割には物分かりが良いじゃねえか?」

 

「言ってろ…英雄ミッドガル、アンタの時代は終わりだ。これからは―――」

 

 兜越しに顔を近づけてミッドガルを見上げる形で太刀使いの男は笑う。

 

「―――俺の時代だ。さっさと荷物纏めて後進に道を譲るんだな」

 

「――――――ッ!」

「マリアンナ、気にしなくていい」

 

 あまりに自分勝手な物言いにマリアンナが怒気を露わに詰め寄ろうとしたのを横目にミッドガルは怒る様子もなく飄々とした様子で彼女を手で制して、太刀使いに言い返す。

 

「そりゃ御立派な事で。()()()()()()()()呼ばわりされないよう頑張るんだな新顔(ルーキー)

 

「…ハッ!言われるまでもねえ。過去の人(ロートル)の記録なんざ()()()()()()()()()()()

 

 そう吐き捨てて太刀使いの男は2人に背を向けて通路の奥へ歩き去っていく。

マリアンナがその背中を睨んでいると、ミッドガルが微笑んで彼女の頭に手を置いた。

 

「血気盛んな後輩の熱烈な挨拶なんて今更珍しいものじゃないだろ?俺にもああいう時期はあったから気持ちは分かる。だから…お前はそんな風に怒らなくていいんだぜ、マリアンナ」

 

「―――申し訳ありませんサー。少し…取り乱しました…引退だというのに、私も未熟ですね」

 

「クハハッ!どんだけ歳重ねて成長しても、まだ未熟だと自分を戒めるくらいが丁度いいんだよ。それにな…お前の怒った顔なんてレアなもの見れたのは俺的に一番の収穫だよ」

 

「…揶揄わないで下さい…サー・ミッドガル」

 

 

 ミッドガルとの会話を終えてギルド本部から出た太刀使いの男を仲間の2人が出迎える。

白を基調として袖と裾が赤色と桃色に染まった和風の防具と薙刀のような操虫棍を持つ男。

 

「遅かったなシグ。英雄とは話せたのか?」

 

 ”シグ”と呼ばれた太刀使いは肩越しに振り返り、まだ騒がしい本部を見ながら答えた。

噂の男サー・ミッドガルについて彼が聞いたのは、その実績と釣り合わない人柄についてだ。実績を楯に威張り散らす訳でもなく、言葉や仕草から謙虚とは程遠い…掴みどころのない男である。

 

「あぁ。噂通り見た目だけじゃ判断出来ねえ…気に入らねえ野郎だった」

 

「やっぱり喧嘩売ったの?いい加減その子供っぽい癖やめなさいよ…」

 

 シグの言葉に呆れた様子で首を振るのは北方民族の衣装のような防具を身に着ける小柄な少女。

その小柄な体躯とは釣り合わない巨大なモンスターの鼻を模した剣斧を背負っていた。

剣斧使いの少女の言葉に操虫棍使いの男もウンウンと頷く。対してシグは不満そうに鼻を鳴らすだけで言い返しはせずに歩みを再開する。

 

「もう動くのか?」

 

「終わる奴のことを気にかける時間も惜しい。次のクエスト行くぞ」

 

「はいはい…次はえ~っと…ハルツィナ樹海の深層シメジ集めだね」

 

「…おい…なんでそんなカスみてえなクエスト受けやがったんだ」

 

「しょーがないでしょお!?本部のクエストなんて争奪戦が激しくて、チビのアタシじゃ受付さんに声かけにいくのも一苦労だったんだから!っていうか本来なら今日の受注当番はシグ、アンタなのよ!?代わってあげたアタシに感謝の一つくらいしなさいよ!」

 

「へいへい、よー頑張ったなラウラ(チビ助)次はもっと頑張ろうな~」

 

「むっかー!!ちょっと”グランツ”からもなんか言ってやってよ!」

 

「…お前ら頼むから往来で喧嘩するなよ…ホントすいませんね、市民の皆さん…」

 




 あくまでハンターネームだけなのでフルネームはまだ考え中。
神の使徒っぽく○○パーティみたいな名前つけるならこの3人は「ごり押しトリオ」といったところでしょうか…

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
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