突然だが、車に轢かれたことはあるだろうか?
ある?ない?
まぁそれは人それぞれ経験があるだろうが、車にはねられ、錐揉み回転の後に知らない場所にいて、別人になっていたという経験があるのはきっと俺だけだろう
時は2日前の明け方、俺はふと生命線である炭酸水がなくなっていることに気づき、コンビニへと足を運んでいた
家からコンビニまでの畑道を超え炭酸水は無事に買えたがその後が問題だった
帰宅中信号に捕まり、車道からきちんと離れお利口に待っていると、突如車がものすごい勢いでこちらへ突っ込んで来た
避けようとしても避けられない、なんせこちらは停止、向こうは時速60km/sだ
思いっきりバンパーにぶつかり、俺は漫画のように射出され、吹き飛んでいく
そのときグシャグシャになりながら中身が吹き出すウィルキンソン君たちを見て、ひどく悲しくなったのを今でもよく覚えている
そうして尋常であれば確実に即死していたであろう衝撃のあと、気付いたら、往来で倒れていた
周りには大量の血痕と野次馬、俺が轢かれたのが東京のど真ん中とかだったらこの光景を見て、「え?生きてる?」と思うかもしれんが、残念ながら俺が轢かれたのはコンビニに行くのにも10分ほどかかるクソ田舎である
俺は困惑した、クソ田舎の朝4時頃にどうしてこんなに人が集まるのだろうか…
それに野次馬たちの話していることもいまいちわからなかった
やれヴィランだ、ヒーローだとか、まるで漫画の中の野次馬のような反応をしている
最初はただの悪趣味な走馬灯かと思ったがそうではないと気づいたのはカラダが動くままに帰った家で一晩過ごし、朝ごはんを食べ始めたあたりだった
さて、ここまでが俺の今までの来歴…っていうか近況を語るために必要な前提知識だ
重要なのはこれからだろう
俺は突如来てしまったここをどこかしらの創作物のような世界だと仮定する
ヴィラン、Villain…というものは敵、悪党などを示す英単語で間違いないだろう
ただ野次馬共の会話の中で使われたヴィランという単語は、まるで代名詞のような使い方をされていたのだ
故に、ここはいわゆるヒーロー物というジャンルに属する世界なのだろうと思うのだ、納得はしてないしできないが
しかしながら、俺はあまり漫画やアニメを見ないのだ、なのであまりここがどんなところかを把握しきれない
ただ、ここがヴィランという犯罪者をヒーローという民間兵士のようなものが捉えまくるという世界観なのが、この体の部屋にあった雑誌から読み取ることができた
…????何でヒーローが職業になってんだ?
まぁいいか、問題はその職業にこの体が無茶苦茶憧れていたっていうことが部屋っていうか家全体から感じられる
きっと、オタクだったのだろうな、タペストリーとかフィギュアとかいっぱいあるし
そしてカバンの中にあった生徒手帳から、こいつが中3であることがわかった
まぁあんまり年齢は離れていなかったので良かったと言えるか…
机の上にあったもう肌寒いというのに全く開かれていない新品のような教科書とボロボロになった筆記用具類を見ると、こいつは学校には行ってなかったのかもしれないな
でも情報収集のために、とりあえず明日学校に行ってみようと思う
中3なら受験とかもあると思うしね、まじで謎な自体だとはいえ体を使わしてもらっているんだからせめて戻ったときにでもいい思いはさせておいてやろう
ん?あれ、これ高校のパンフか?
偏差値、79?倍率300倍…?
な、へぇ!?馬鹿か!?こいつゥ!!
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