恋愛は謎解きのあとで   作:滉大

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小野寺麗は見極めたい

 トイレから機嫌良さそうに出て来る人を目の当たりにすれば、あの人はスッキリしたんだなと、直接聞くまでも無く分かる。

 目出し帽を被った男がコンビニに入店したとしたら、その目的がホットスナックではない事は、火を見るよりも明らか。

 2つの例で登場人物が何をしたのか、あるいは何をしようとしているのかは、説明せずとも頭に浮かぶだろう。

 このように人は、培った経験や見識を元に全てを説明されなくても、物事を判断できる。

 けれど、誤り無く正しく物事を判断するのに必要な経験や知識は、いったいどれくらいの歳月を経れば培われるのだろう? 

 放課後の学校。夕暮れの教室。そして教室の扉を開いて、急ぎ足で飛び出す女子生徒。

 物珍しそうな小野寺麗の視線が、女子生徒とぶつかる。真っ赤に充血した瞳は、涙こそ流していないものの潤んでいた。

 涙ながらに夕暮れの教室を後にする少女。その光景は、少女漫画的な示唆に富んでいた。

 鼻をすすりながら去って行く女子とすれ違った小野寺麗の感想は、実に単純だった。青春してるなー、と。

 

 

 〇

 

 

「やあ、伊井野さん。今日もお勤めご苦労様」

 

 讃岐光谷が通りかかった伊井野ミコに声を掛ける。毅然とした態度で廊下を歩いていた伊井野は、先輩の呼び掛けに対して律儀に足を止めた。

 

「前から思ってましたけど、先輩って部活やってませんでしたよね。何で学校に残ってるんですか?」

「そんなに変かい? 小野寺さんだって残ってるじゃないか」

 

 一緒に立ち話をしていた小野寺に掌を向けた。

 

「私は部活のミーティングあったんで」

 

 さりげなく同類扱いしようとする讃岐。そのような扱いはごめんだとばかりに、小野寺は即座に否定の意を示す。それから小野寺は伊井野に視線を戻すと、

 

「伊井野は風紀委員?」

「う、うん。見回りの途中だから、それじゃ……」

 

 どこかばつが悪そうに、そそくさと立ち去ろうとする伊井野。付き合いは長くない小野寺だが、伊井野の態度が普段の堂々とした彼女と異なっているのは感じ取れた。

 こういう時だけ勘の良い先輩も小野寺と同じ違和感を抱いたらしい。黒い瞳で伊井野をジロジロ観察したのち、鼻をひくひく動かした。

 違和感の原因を探り当てた讃岐が浮かべた笑みは、まるで新しいおもちゃを与えられた子供のよう。全くもって趣味が悪い。

 

「ねぇ、小野寺さん。どこからか、いい香りが漂っていると思わないかい?」

「……そッスね」

 

 これ見よがしな会話は、当然伊井野の耳にも届く。立ち去ろうとした足が止まる。

 

「さっきまではしなかったのに、一体どうしてだろう? はて、さっきと今で、何が変わったのかな?」

「出てますよ、先輩のウザ……悪い所」

 

 後輩を揶揄って遊んでいる先輩に対し、ウザイという本音を隠してオブラートに包み注意を促す。

 ネチネチした口撃(こうげき)に耐えていた伊井野だったが、やがて耐えかねて、やけくそ気味に振り返った。

 

「なんですか! 言いたいことがあるなら、ハッキリ言ってください!!」

「香水付けてる?」

「付けてます!」

「まぁまぁ、落ち着いて。これでも僕は、校則違反には理解がある方だよ」

「これでもって感じはしないですけどね」

 

 風紀委員のブラックリストに載っている人と交際している時点で、讃岐が校則違反に寛容なのは想像に難くない。むしろ想像通り。

 校則違反。風紀委員の伊井野にその単語は重くのしかかった。小型犬のように吠える姿は鳴りを潜め「ぐうっ……」と呻くのが関の山。

 

「さて、冗談はここまでにして、事情を聞こうかな。君の真面目さは僕も重々承知している。進んで校則違反を犯すとは考え難い」

 

 そこまで理解しているのなら、最初からそう聞けばいいのに。そう思わずにはいられなかったが、この先輩に常識を説くのは、馬に念仏を聞かせるくらい無駄であると、これまでの付き合いで理解していた。

 伊井野は複雑な表情を浮かべた。揶揄われたのは腹立たしい、でも風紀委員としての自分を信用されたのはまんざらでもない、といったところか。

 

「これは四宮先輩が……」伊井野は渋々事の経緯を語った。

 

 伊井野によると、30分前香水をつけた四宮かぐやと遭遇。風紀委員である彼女は職責を果たす為、かぐやが持つ香水を没収しようとした。その時かぐやに普段香水は付けないのかと問われ、真面目な伊井野は当然付けないと答えた。すると、この機会に覚えておくのも良いんじゃないかと勧められ、勝手に香水を付けられたのだという。

 

「四宮先輩も香水するんだ。意外」

「私も初めて見た。先輩は副会長と同じクラスでしたよね?」

「よく知ってるね。いつも飾り気がなかったから、確かに意外だね」

「でもこの香水、少しオバサン臭くないですか?」

 

 子犬のように鼻をぴくぴくさせながら、伊井野は自分の体を嗅ぐ。

 伊井野の発言を聞いて讃岐は噴き出した。それからも暫くは声を殺して笑っていた。珍しい。

 かぐやが香水を付けていたという情報しか持たない3人では、この会話はそれ以上発展のしようもない。

 四宮かぐやから話題は発展しなかった。けれど小野寺は香水と聞いて、思い当たる出来事があった。

 

「香水といえば、昨日振られた女の子が、教室から出て来るのを見たんですよ」

「出歯亀は良い趣味とはいえないよ」

「たまたま見かけただけですって」

「香水とその女子がどう関係あるの?」

「今日その子、香水付けてたんだよね」

 

 讃岐と伊井野の首が揃って傾いた。それがどうしたの、と表情が物語っている。

 2人の訝しげな反応で、自分の言葉足らずを自覚した小野寺は言葉を続けた。

 

「振られたのを見た時、その子とすれ違ったんですけど、その時は香水の匂いしなかったんですよ」

「失恋した後で色気づくのは、不自然といえば不自然かもね。どんな香りだった?」

「柑橘系でした」

 

 2人の会話に伊井野が異論を挟む。

 

「そうですか? 失恋した人がイメチェンするのは、割とよく聞く話だと思います」

「それにしては地味っていうか……髪を切ったりとかだったら分かるけど」

 

 どちらの意見が正しいか、現時点での判断は難しい。かといって、本人に直接、香水を付けているのは失恋が原因ですか、と野次馬根性丸出して質問など出来るはずもない。

 

「香水以外に変わったところはなかったかい?」

「んー。雰囲気が違った気がしますけど、あんまり憶えてないですね。すれ違っただけですし」

 

 小野寺の話に好奇心を刺激されたのか、はたまた退屈しのぎになると考えたのか讃岐がこんな提案をした。

 

「それじゃあ、小野寺さんが彼女を見た教室に行ってみないかい?」

「そこまでしなくても……」

「そうですね。私も讃岐先輩の意見に賛成です」

「伊井野まで……」

「その人は香水を付けていたんでしょ。風紀委員として、校則違反は見逃せない」

 

 伊井野の意気込みは実に彼女らしいものだった。伊井野の前で香水の話をしたのは、藪蛇だったなと小野寺は名も知らぬ女子生徒に心の中で謝罪した。

 

「そうと決まれば早速出発しよう。もっとも、校則違反を取り締まるのは、後日になるだろうけどね」

 

 讃岐に悪戯っぽい笑みを向けられた伊井野は、ううっ、と呻き声を上げて、香水の付いた首元を手で抑えた。

 

 

 

 

 現場は校舎の1階にあった。教室の扉は閉まっていたが、鍵は掛かっていなかったので、3人はそのまま中に入る。

 窓からは西日が差し込んでおり、室内を淡いオレンジに照らす。壁際には本棚が2つ隣り合っている。棚の中には国内外の古典文学、詩集、昭和に名を馳せた文豪の作品など、小野寺には縁の無いお堅い書物がびっしり詰め込まれていた。

 昔は授業で使われていたらしく、教室の後方には多くの机が敷き詰められて置かれている。その中から取り出したであろう、3台の机が教室の真ん中に等間隔で並んでいる。

 

「何で本があるの?」

「ここ文芸部の部室だから。文化祭でも文集出してたよ」

「今日は部活してないの?」

「どうだろ? 鍵は開いてたから、やってるとは思うけど」

 

 薄々気付いてはいたが、現場に来たからといって、何か新事実が発覚したりはしなかった。現場に行きたいと言い出した当の張本人は、飽きたのか本棚を物色する始末。

 

「おや、カーテンが破れている」

 

 讃岐がいつの間にか、窓際でカーテンを手にしている。

 

「本当ですね。何か引っかかったのでしょうか?」

 

 一筋の切り傷がカーテンについていた。気にはなるが、小野寺達の目的とは関係なさそうだ。

 カーテンから手を離し、中央の机に移動する。3台並んだ机の内、真ん中の机の上に1冊の本が置いてある。本を手に取った讃岐は、表紙を見てニヤリと口角を上げた。

 ガラガラという扉の開く音が聞こえたのは、その直ぐ後だった。

 現れたのは、柔和な雰囲気の男子生徒。ふわりとした癖のある茶髪が揺れる。

 

「君、文芸部だったんだ。ポーの詩集とはセンスがいいね」

 

 讃岐は親しげに声を掛けた。手にした文庫本の天を男子生徒に向けて、ひらひら揺らす。

 

「讃岐が好きなのは、詩人のエドガー・アラン・ポーじゃなくて、小説家のポーだろ」

「そりゃあ、推理小説の父だからね」

 

 男子生徒はひらひらと揺れる本から、何故か自分の部室に入り込んでいる3人に視線を移す。視線が小野寺と伊井野を往復する。

 男子生徒は揶揄うような笑みを浮かべた。

 

「両手に花とは羨ましい」

「まぁ、綺麗ではあるよね。棘は鋭いけど」

「……お前、余計な事言わせたら日本一だな。後輩ちゃん、めっちゃ睨んでるぞ」

 

 棘の如く鋭い視線が両側から突き刺さる。讃岐は4つの棘を平然と受け止める。その様は、まるで歴戦の猛者のよう。

 

「よくある事さ」

「よくあるのかよ。それで、ウチの部室に何しに来たんだ?」

「部活動中お邪魔してすみません」

 

 伊井野が前に歩み出て、礼儀正しく頭をさげた。それに倣って小野寺も軽くお辞儀する。

 

「君は確か生徒会選挙に出てた……」

「伊井野ミコです」

「知ってるよ。君に投票したからね」

「あ、ありがとうございます……」

「負けちゃったけど、あそこから白銀に肉薄したのは、中々にドラマチックだったね。文芸部に用ってのは、生徒会関係? それとも風紀委員?」

「ドラマチックとか好きだよね、君」

 

 元より1年の間では良くも悪くも有名だった伊井野だが、何の関わりも無い上級生が認知している程度には、生徒会選挙を経て知名度は上がっていた。

 男子生徒の質問に答えたのは、尋ねられた伊井野ではなく、讃岐だった。

 

「彼女達が文芸部の活動に興味があるみたいでね」

 

 えっ!? 勝手に文芸部に関心がある事にされた、小野寺と伊井野は驚いた。小野寺は驚くと同時に、一抹の不安を覚える。読んだ本なんて、絵本や漫画本が精々。突っ込んだ質問をされたら、答えられる自信がない。

 

「そりゃ珍しい。文化系の部活って基本的に人気無いしね」

「部員は3人?」

「うん、ご想像の通り。後輩が2人いる」

 

 コンコンコンと手の甲で机を3回叩く。部員は机の数だけという事か。

 

「今日は来てないんですか?」

「いや、さっきまで居たよ。今日は用事があるとかで、もう帰ったけどね」

「2人共?」

「1人だけ。もう1人はそもそも来てない。出席は基本的に自由だからね。気が向いたら行くし、気が向かなかったら行かない」

「緩いですね」

 

 小野寺もラクロス部に所属している。秀知院学園は部活動に力を入れていないが、それでもここまで緩くはない。

 

「3人だけだしね」男子生徒は苦笑した。

 

「活動は毎日?」

「そうだな。とはいえさっきも言った通り、毎日来る奴なんていないけど」

 

 俺も聞きたいんだけど、と前置きして男子生徒は尋ねた。

 

「俺が言うのも何だけど、文芸部のどこに興味があるの?」

 

 当然の質問だった。そして小野寺と伊井野は、問いに対する答えを持ち合わせていない。自然と小野寺と伊井野の視線は、盗み見るような形で、元凶である讃岐に注がれる。

 

「大した理由じゃないよ。文芸部ってどんな活動してるのか、よく分からないだろう? 生徒会の会計監査としては、活動内容を把握しておきたいのさ」

 

 それくらい把握しています! 伊井野が口に出さず抗議する。

 生徒会の活動など知る由もない男子生徒は、あっさり納得した。

 

「へぇ、大変なんだね。じゃあ、そっちの子は……」

「彼女は……」

 

 讃岐は宙に目を彷徨わせて、

 

「本を全然読まないから連れて来た」

 

 理由が雑! 小野寺も無言の抗議を行う。

 

「今時はそうだよねー」

「そこで文化的交流の機会を与えよう、という訳さ」

「ふーん。で?」

 

 男子生徒は顎をしゃくった。顎を向けられた讃岐は首を傾げる。

 

「で?」

「いや、讃岐は何で来たの?」

「僕? 僕は暇だから、付き添ってるだけ」

「暇なら帰れよ」

「そう言わずに。文芸部は普段どんな活動をしてるんだい?」

「基本はダラダラ本読んでるだけ。活動らしい活動といえば、奉心祭で出す文集製作くらい」

「文集ってどんな内容なんですか?」

「短編に詩、俳句を主に掲載してるよ」

 

 段々元の目的から、外れていっているような気がする。質問をしながら小野寺は思った。

 目的は香水を付けた女子生徒はだった筈。それが今や、文芸部について根掘り葉掘り尋ねている。

 

「1人は来ていないと言っていたけれど、病欠だったりするのかな?」

「えっ、いや普通に来てないだけ。もう1人の後輩に聞いたけど、学校には来てたって言ってたし」

「それならいいんだ。最近風邪が流行っているから、ちょっと気になったんだ。寒いとはいえ、換気はしっかりしないと駄目だよ」

「珍しく真面だな。言われるまでもなく、定期的に換気はしてるよ」

「いいね、素晴らしい心がけだ!」

 

 答えを聞いた讃岐は、満足気に何度も頷いていた。

 結局、香水の女子生徒については分からず仕舞い。何の収穫もないまま、文芸部の部室を出た。仕事の途中だった伊井野は「何か分かったら、連絡して下さい」と取り締まる気満々の一言を残して、校内の見回りへ戻った。

 夕日に照らされた廊下に既視感を憶える。窓から夕焼けを眺めていた小野寺の耳に、讃岐の声が届く。

 

「香水を付けてた女子生徒だけど、眼鏡をかけてたんじゃないかな」

 

 唐突過ぎて何の事か、一瞬分からなかった。

 

「雰囲気が違ってた気がすると言ってただろう」

「眼鏡……言われてみれば、かけてたような」

 

 小野寺は眉根を寄せて、記憶を掘り起こそうと試みる。ただ、掘っても掘っても、女子生徒の姿は朧気で確信には至らない。

 ふと、シトラスの香りが風に乗って、鼻腔をくすぐる。甘い柑橘系の香りは、記憶の中から香ったものではなかった。

 キュッキュッとリノリウムの床を歩く音。足音の主とすれ違った小野寺は、目を見開いた。黒いフレームの眼鏡に、柑橘系の香水の香り。

 それは正に小野寺が見た女子生徒だった。

 女子生徒は小野寺達とすれ違い、そのまま直前まで小野寺達が居た文芸部の教室に入っていった。

 女子生徒は文芸部の一員だったのだ。

 

「明日にでも確認しようと思ってたけど、手間が省けたね」

 

 驚いた様子も無く、さも当たり前であるかのように、讃岐はこの事実を受け止めている。

 

「彼女が文芸部なの知ってたんですか?」

「まさか。可能性は高いと思っていたけどね。難しい推論とかではないよ。単純な話、文芸部の部室から出て来たのなら、文芸部員であると考えるは自然な帰結だ」

「でも眼鏡かけてるのも知ってましたよね」

「ああ、それは──」

 

 言葉は最後まで続かなかった。讃岐が途中で口を閉ざしたからだ。

 讃岐は立ち止まり、思案するように顎に握った人差し指と親指を添えた。

 

「うーん、どうしようかなぁ。どうしたものかなぁ」

「……何をどうするんですか?」

「まぁ、色々あるんだよね、僕にも。うーん」

 

 散々唸った後、黒い双眸が小野寺へ向けられた。

 

「質問に答えるのはやぶさかではないんだけど、その前に一つ聞いてもいいかな?」

「何ですか?」

「君が好奇心が強い子なのは知ってる。その上で聞くけど、件の女子生徒とは面識が無いんだろう? 彼女が誰に振られようが、どんな理由で香水をつけたり、イメチェンをしようと、君には全く関わりの無い事だ。この一件の真実は、君の好奇心を満足させるかもしれない。逆に言えば、それ以外何の得にもならない」

 

「そうですね」讃岐の言葉はいちいち尤もだった。反論もないので小野寺は短く返す。

 

「それでも知りたい?」

 

 少し悩んでから、見上げる位置にある黒い瞳に視線を合わせる。

 

「知りたいです」

「理由を聞いても?」

 

 真実を求める理由。改めて聞かれると言葉に詰まる。

 それは小野寺麗にとって、今までにない変化だった。石上優や伊井野ミコ、そして目の前の変な先輩。彼等との交流は、小野寺に影響を与えていた。

 とはいえ、何が変わったのかを、明確に言葉にするまでには至っていない。悩んだ末、とりあえず口を開いた。話している内に考えが纏まるかもしれない。

 

「私、噂話とか結構真に受けるんですよね。それで人の事誤解したり、悪く言ったりするんですよ」

「仕方ないさ。他人への判断は、自分が持っている情報の中でしか下せない」

「先輩そういうとこ意外と優しい……っていうか、甘いですよね」

「人を批評できるほど、自分の人格に自信がないだけさ」

 

 小野寺は先輩の珍しい気遣いを受け止める。自分の知り得る情報で判断するしかない、という言は確かだ。

 まぁ、でも、情報の真偽を確かめようともしなかったのも、また確かな事実である。

 

「物事を判断するなら、真実は明らかにするべきだ、って言ってましたよね」

「言ったね」

「多分そういう事なんですよ。噂話や他人の意見を鵜呑みにするんじゃなくて、自分がどうするかは自分で決めたいっていうか……」

 

 その為に真実が必要なのだと、小野寺は結論付けた。

 

「香水付けてるのだって、何か理由があるのかもしれない。何もないなら、それはそれでいいんですけど……」

 

 小野寺の話を聞いた讃岐は、悩ましげだった顔に笑みを浮かべた。普段の能天気な微笑みとは違って、どこか大人びてる気がした。

 

「君の気持ちは分かったよ。それじゃあ今度は、先輩として僕が一肌脱ぐ番だね!」

「今更ですけど、先輩に何か出来るんですか?」

「出来るよ」

 

 ただ、と付け加えて、讃岐は人差し指を口元に当てる。

 

「ここからの話は他言無用。約束できるかい?」

 

 常でない凄みを感じた。自信に満ちた表情や態度が、醸し出している雰囲気の原因だろう。気圧されるようにして、小野寺は無言で頷いた。

 よろしい、と讃岐は教師のような一言。

 

「僕は今回の出来事について、一通りの説明が付く推論を持っている。だけど僕が解答を示すだけでは、人の意見を鵜呑みにするのと変わらない」

「じゃあ、どうするんですか?」

「別に人の意見に賛同するのは、悪い事じゃない。重要なのは自分が納得できるかどうかだ」

 

 という訳で、讃岐は口元に当てた時と同じ人差し指を立てて、1と示した。

 

「女子生徒は何故振られた翌日に、眼鏡と香水をして来たのか、一から考えてみよう」

 

 一からと言われても、何から考えていいのか分からない。小野寺の困惑は想定内だったようで、讃岐は道筋を用意する。

 

「まずは問題を精査しよう。振られた翌日に眼鏡と香水をした。女子生徒が眼鏡をかけ、香水を付けていたのは事実だ。では、振られたというのはどうだろう?」

「私の想像です」

「そうだね。じゃあ今はどう思う?」

 

 文芸部の部室に入っていく女子生徒の姿を思い出す。

 

「勘違いですね。告白の場所に部室を選ぶとは思えません」

「僕も同じ考えだ。部活が無い日なら、誰も来ないのが分かっているし、告白に使ったとしても不思議ではないけどね。また、告白の相手が同じ文芸部員だった場合も部室で告白しうるケースだけど、部員が3人である以上、残る1人が現れる可能性があるのだからこの線も消していい」

 

 文芸部は毎日活動している。出席は自由。讃岐の推理に呼応して、文芸部の男子生徒の言葉が自然と浮かび上がる。そこまで深く考えていなかった小野寺は素直に感心した。

 女子生徒が告白した事実は無い。勿論、振られた事実も。だからといって、真実に近づいたとは到底思えない。

 

「振られたのが誤解なのだとしたら、君が目撃した彼女は何だったんだろう?」

 

 讃岐の質問について小野寺は考える。振られたという解釈は間違っていた。だが、女子生徒が目を赤くして、鼻を啜っていた事実は間違いではない。

 振られた以外の理由が存在する。手掛かりは小野寺の記憶の中にある。赤く充血した瞳に、鼻を啜る音。

 

「鼻炎……? いや、でも目が赤かったし……」

 

 頭を悩ませている間、讃岐は何も言わず、黙って小野寺の様子を見守っていた。

 そしてようやく、1つの結論を頭の中から掬い出した。

 

「花粉……」

 

 花粉症なら目が充血するだろうし、鼻水も出る。風邪対策として、定期的に窓を開けて換気を行っていたのなら、花粉が室内に入り込むだろう。

 

「女子生徒は花粉症だったんじゃないですか?」

「というと?」

「目が赤かったり鼻を啜っていたのは、泣いていたんじゃなくて、花粉症の症状です」

「なるほど」

「彼女は普段コンタクトを使っていたんだと思います。花粉が付着したコンタクトを着けると症状が悪化するから、眼鏡に変えた」

「良い着眼点だね!」

「正解ですか?」

「いや、違う」

「…………」

 

 違うなら思わせぶりな反応はやめて欲しい。抗議の意味を込めて讃岐に半眼を向ける。

 

「全くの的外れなら、僕だって大袈裟に反応しないさ。いいとこまではいってた。ただ花粉だと香水を付けた理由が説明できない」

「そういえば……」

 

 昨日の女子生徒の様子ばかり考えていて、香水の方は頭から抜けていた。物事を客観的な視点で考える難しさを体感した。難しい事を軽々とやってのける隣の先輩は、変人ではあるけれど、只者ではないのだろうと認識を新たにした。

 

「君が推理したように、花粉症の対策としてコンタクトから眼鏡に変えたのだとしたら、同時期に付けるようになった香水も、同じような理由だと考えられる。では、香水を付けるとどんな変化があるだろう?」

「良い匂いがする」

「そうだね。でも良い匂いとは限らない。伊井野さんは、四宮さんに付けられた香水を何と言っていた?」

 

 少しオバサン臭くないですか? と臭いを気にしていた伊井野の姿を思い出す。

 

「オバサン臭い。私は良い匂いだと思いましたけど」

「香水は時間経過で香りが変わるからね。最初はオバサン臭かったのかも。フフッ」

 

 口元に手を当てて、漏れ出た笑みを隠す。伊井野がオバサン臭いと言ったのが、余程ツボに嵌ったらしい。

 

「嫌な臭いもするって言いたいんですか? でも女子生徒は良い匂いでしたよ」

「そうだろうね。僕が嗅いでも良い匂いと感じるだろう。ただ、誰が嗅いでも良い匂い、とはならない。むしろそれが、女子生徒の狙いだったんだ」

 

 讃岐の言いようだと、女子生徒は何かを避ける為に、香水を付けていたと聞こえる。

 シトラスの爽やかな香りが鼻腔に蘇る。万人受けする癖のないタイプの香水だった。その臭いを避けるなら、よっぽどの変わり者なのだろうか。

 眼鏡の存在も忘れてはならない。讃岐の言葉を信じるなら、眼鏡は花粉対策のような使われ方をしていた。

 答えは唐突に、天啓の如く舞い降りた。頭のてっぺんからつま先まで電流が走ったらこんな感じなのだろうと、小野寺は興奮した頭で思った。

 素早くスマホを操作して、お目当ての記事を探し出す。頭の中で朧げに見えていたものが実像を結ぶ。

 

「動物! 彼女が避けたかったのは、動物です」

「動物……正確には?」

「猫です。猫アレルギーの対策に香水を付けて、眼鏡をかけた」

「それが、どういう対策になるんだい?」

「調べたんですけど、花粉や動物の毛が付着したコンタクトを使い続けると、アレルギー性結膜炎の原因になるそうです。だから女子生徒は、コンタクトから眼鏡に変えた。猫はハーブや柑橘系の臭いを嫌います。彼女が付けていた香水は柑橘系の香りでした」

 

 讃岐は静かに頷いた。その反応に確かな手応えを感じて続ける。

 

「昨日の放課後、換気で開けていた窓から、文芸部の部室に猫が入り込んだ」

「文芸部の部室は1階にあるし、可能性は充分にあるだろうね」

「カーテンが破れていたのも、猫が遊んで引っ掻いたからだと思います。入って来た猫と遊んでいた女子生徒に異変が起きた。目が痒くなって、鼻水も出るようになりました」

「アレルギー症状が発症したんだね」

 

 昔は平気でも、大人になってからアレルギーが発症するケースは多い。女子生徒も自分が猫アレルギーだと知らず、猫と戯れていたのだ。

 女子生徒の変化は全て猫アレルギー対策。これが今回の一件に対する小野寺の推論だった。

 

「僕の結論も君と同じだ。真実に至った訳だけど、感想は?」

「疲れました」

 

 慣れない頭脳労働は、体を動かすより強い疲労感を小野寺にもたらした。

 それと同じくらい、達成感もあった。

 

「伊井野には、言わない方が良かったですね……」

「気に病まなくていいと思うよ。初めて自分が猫アレルギーと知って、過剰になっているだけ。その内、香水までする必要はないと理解するさ」

「だといいですけど。先輩にこんな特技があるとは思いませんでした」

「見直したかい?」

「まぁ、ほんの少しだけ……。選挙の時も、文化祭の時も謎解きしたの先輩ですよね。何で隠してるのか知らないですけど」

「先輩にもなると色々事情があるんだよ」

 

 案の定、讃岐は煙に巻いた発言で答えを濁した。まともな答えが返ってくるとは期待していなかったので、気にはなるが、追求したりはしなかった。

 

「何はともあれ、謎は解決された。ミステリー的には大団円だね。Q.E.D(クォド・エトラ・デーモンストランドム)ってね」

「何ですかそれ?」

「クイーンを知らないのかい?」

「ミュージシャン?」

「やはり君は、本を読んだ方がいいね」

 

 讃岐はわざとらしく大袈裟にため息を吐いた。

 

 

 ◯

 

 

「お楽しみのようで何よりです」

 

 背後から投げかけられた声にも関わらず、讃岐は驚いた様子も無く、当然のように返答した。

 

「心配しなくても、ワトソンの席は君に空けてあるよ」

「心配しているように聞こえましたか? 失礼しました。私の言い方が悪かったです」

「……少しは心配になってもいいんだよ?」

 

 早坂愛は讃岐の軽口を一笑に付した。

 讃岐が小野寺と別れた後、早坂は讃岐の前に──正確には背後に──姿を現した。

 

「随分親切なんですね」

「確かに、今回はサービスし過ぎたかな?」

 

 私に聞かれても、早坂は肩を竦める。早坂も讃岐が持ち前の推理力を隠している理由を知らなかった。

 ばつが悪そうな表情を浮かべている事から、讃岐としても今回の行動が軽率だったと自覚はあるようだ。

 

「後悔はしていないんだけどね」

「彼女が光谷君と同類だからですか?」

 

 讃岐はゆるゆると首を振った。

 

「小野寺さんは僕と違って良い子だよ。彼女は真実を求めている」

「同じじゃないですか」

「僕が求めているのは、謎だよ。結果的に真実を暴くけれど、やっぱり僕の関心は謎にしかない」

「無責任ですね」

 

 嫌悪するでも、非難するでもなく短く淡々と早坂は言った。讃岐の人格から考えれば何ら不思議ではなかったし、良くも悪くも責任や倫理観に縛られない彼だからこそ成せる事もある。甘めに評価している感が否めないが、早坂にとって讃岐はそういう人物だった。

 

「真実を明らかにするのには、相応の責任が伴う。理解はしているつもりなんだけど、どうしても謎を解き明かした先まで興味を持てない。それは真実に対して不誠実ってことだ。我ながら無責任だと思うよ。昔は悩んだ時期もあったけど、今はもう割り切ってる」

 

 思っている以上に、讃岐はこの事を気にしているようだった。

 自分の内心をペラペラ喋る讃岐も珍しい。もしかしたら、誰かに聞いて貰いたかったのかもしれない。少しだけ、讃岐の人間らしい部分を垣間見た気がした。

 

「だから誠実な人に真実を託しているのですか? かぐや様や白銀会長に」

「過大評価だよ。善良な人ばかりに、真実を語ってきた訳じゃない。だけど、後輩の想いくらいには誠実でありたいと思うよ」

 

 後輩とは誰を思い浮かべているのだろう。先程の彼女か、あるいはかつて親交があった剣道部の彼か。その両方か。

 

「つまらない話をしたね。そろそろ、お嬢様の様子を──」

 

 ポケットから振動を感じ、早坂はスマホを取り出した。ディスプレイを見る。主人である四宮かぐやからの着信だった。

 

「どうかなさいましたか、かぐや様。はい…………えっ?」

 

 早坂は言葉を失った。

 ただ事ではない雰囲気を感じた讃岐も、真剣な表情で通話が終わるのを待つ。

 

「分かりました。すぐに向かいます」短く返事をして通話を終える。

 

 問を口にする時間も惜しいと、讃岐の黒い瞳が問いかける。

 

「白銀会長が、倒れたそうです」

 

 讃岐は僅かに瞼を広げた。

 

 

 ◯

 

 

 恋の病。

 恋煩いによる睡眠不足。キスを迫られて失神。白銀が陥った状況を名前にして表すなら、そうなるらしい。

 

「一先ず白銀君が大事無いようで何よりでございます」

 

 白銀の容態を見届け、屋敷に戻った早坂、かぐや、讃岐は、現在はかぐやの部屋に集まっていた。

 

「問題が解決しない限り、また無理をして倒れるのは、目に見えていますけど」

 

 問題とは白銀の社交性仮面にある。素の自分は受け入れて貰えない。虚勢を張って、完璧な生徒会長でいなければ、四宮かぐやには愛されない。好きになってもらう為に、自分とは違う自分を作り上げる。それが白銀御行の仮面の正体。何故ここまで詳しいかといえば、病室での医者と白銀の会話を、聴診器で壁越しに盗み聞きしたからだ。

 早坂には白銀の気持ちが理解できた。演じなければ愛されない。隣の同僚のように、他者の愛情を必要とせず、唯我独尊を貫ける方が稀なのだ。

 

「どうすれば、会長は無理をしなくなるのかしら」

 

 かぐやは伏し目がちに、ベッドの端に腰掛けていた。途方に暮れたような呟きが漏れる。

 

「会長はあれで頑固だから、やめてと言っても無理をするでしょう」

「こればかりは、本人と直接話すしかないでしょう」

「でも、顔を合わせると、いつも上手く話せなくなるの」

「そんないつまでも乙女みたいな事を……」

 

 呆れを含んだ早坂の発言は、スマホの軽やかな電子音によって遮られた。

 メッセージアプリの通知だった。相手は渦中の白銀御行。

 

『四宮の調子はどう? あいつには心配をかけてしまった』

「…………!」

 

 白銀からのメッセージを目にした早坂は、とある閃きを得た。部屋の隅で準備を済ませて、喉の調子を確かめる。

 

「四宮、調子はどうだ? 心配かけてごめん」

「……」

「……なんの遊び?」

 

 白銀の顔がプリントされたお面を付け、白銀の声色を真似する早坂。讃岐は言葉を失い、かぐやは訝しげな視線を向けた。

 そんな反応をしていられるのも今の内だと、早坂は思う。

 

「練習ですよ。会長と顔を合わせると上手く話せないというなら、会長になりきった私で、練習してみましょう。言いたい事を遠慮なく言ってください。ITの力で会長の発言を、極めて正確にシミュレーションするので」

「早坂さん、疲れているのなら、早めに休んで構いませんよ」

「光谷君は黙っていてください」

 

 讃岐が失礼な反応をしたが無視する。くだらないわね、と言いつつかぐやは質問する。

 

「じゃあ会長、私の事好き?」

『かぐや様の事が好きなんですか?』

 

 すかさず早坂は白銀にメッセージを送る。返信はすぐに来た。

 

「まぁ、異性として見ているのは間違いない」

「……とんだ茶番ね」

 

 ハァ、とため息を吐くかぐや。

 

「でも、まぁいいわ、続けましょう。素直に好きと言わないあたり、とてもそれっぽいわ。でも、もう少し圧をかけた話し方だと忠実だと思うの。あと男物の服着た方がいいんじゃない? うちに学ラン……少し大きいけれど、讃岐のがあるわね」

「茶番とか言う割に、注文が多いですね」

 

「用意して参ります」一言言い残し部屋を出た讃岐は、忠実にかぐやの指示を実行し、自分の学ランを持って来た。

 

「では早坂さん、どうぞ」

 

 差し出される讃岐の学ラン。

 

「えっ、私が着るんですか?」

「? それ以外に誰が?」

 

 早坂以外に着る者などいない。白銀になりきる精度を上げる為の学ラン。考えるまでも無く当たり前の事実。

 

「では、私は席を外しますので、終わったらご連絡ください」

 

 学ランは上から着れるが、メイド服はスカートなのでズボンは着替える必要がある。讃岐は学ランを早坂に渡して、部屋から退出した。

 

「どうしたの?」

 

 固まっていた早坂にかぐやが尋ねる。いえ、と返事をして近くの椅子に学ランを置く。そして上着を手に取り、恐る恐る袖を通す。讃岐が着ていた時から時間が経っていないせいか、学ランは僅かに体温が残っていた。

 

 いや、何この状況。

 

 同級生の制服──それも少し前まで着ていた──を着用するのは、もしかして、とても気恥ずかしい行為なのではないだろうか。

 学ランを着たのとは別の理由で、自身の体温が上がるのを自覚した。

 

「やっぱり袖が余るわね……早坂?」

 

 そもそもあの男も、何故あっさり貸すのだろうか。異性に制服を貸すなんて、抵抗感があって然るべきだ。

 讃岐が貸すのを渋っていれば、こんな思いをせずに済んだものを。早坂は理不尽な怒りを覚えた。

 

「さっきから変よ。どうしたの?」

「何でもありません。かぐや様、申し訳ありませんが、続きは少々お待ちください」

 

 着ていた学ランを脱いで、ズボンを持って部屋から出る。

 部屋の外で待っていた讃岐は当然ながら、貸したはずの学ランを早坂が着ていない事に首を傾げる。

 

「やはり、サイズが合いませんでしたか」

「ええ、まぁ、そんなところです」

「それは失礼しました。私のではなくとも、屋敷内を探せば学ランくらいあるでしょう」

 

 用済みになった学ランを受け取ろうと伸ばした讃岐の手は、するりと空を切った。再び伸ばすが、讃岐が掴んだのは虚しくも空気だけ。

 

「ええと、私の制服を返して頂けると、嬉しいのですが」

「……洗って返します」

「お気遣いは有り難いのですが、そこまでしなくても」

「いえ、汚れたかもしれないので」

「あの短期間で? お嬢様のお部屋は毎日掃除していますし、問題ないかと」

「いつ汚れたか分かりませんが、汚れていました」

「それだと、そもそも私の制服が汚いという話になりますが……」

 

 このまま押し問答を続けても埒が明かないと判断した早坂は、強引にこの話題を終わらせる。

 

「とにかく! 制服は私が洗ってお返しします」

「……そこまで言うのであれば、お願いします」

 

 ほっと胸を撫で下ろし、学ランを抱えたまま讃岐の横を通り過ぎる。

 自分が着た学ランをそのまま返すのも、それはそれで気恥ずかしかった。仕事中で、汗とかかいてるかもしれないのだし。

 

 

 

 

「何だったの?」

「さぁ? 私にも分かりかねます」

 

 廊下を歩く早坂の後姿を眺めながら、扉から顔を覗かせた主人と、その従者は揃って首を傾げた。

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