クソニブ神父とメスガキ敬語シスター 作:悲しいなぁ@silvie
親コロネキの過去編アンドイチャイチャです!!
汝祓う者、救う者に非ず
昔から、俺に近寄るヤツは誰も居なかった。
雨の強い日に孤児院の前に段ボールに詰められて死んでた赤子が俺だそうだ。
別に、構やしねぇ。
どんな偉いヤツだろうがいつか死ぬんだ…それが早いかどうかなだけだ。
俺は他の奴らよりちょいとばかり早くに死んだ。
ただそんだけの話だ。
…だから、転生だのなんだのを言われた時には少し…ほんの少し驚いた。
「可哀想な君に新しい人生をプレゼントしてあげる!」
可哀想?俺の生をなんでそんな言われ方されなけりゃいけない。
死ねば不幸か?長生きは幸福か?
くだらねぇ…
「いらん、生き死にで誰かに好きにされたくねぇもんでな。」
「わぉ!そんなにちっちゃいのに喋れるのかい?
魂の世界とはいえ、肉体から離れたばかりの君はそちらに引っ張られる筈なのに…変わってるね!」
気に入らない、それがこのバカ神への第一印象だ。
ちなみに、この印象はこの先変わることは無い。
「変わってるって何に比べてだよ、俺は俺だ。」
「うーん…でも断られるのは予想外!
皆この話をすると喜ぶのになぁ…」
俺の話を聞かずに考え込む…本当に人の事を何とも思ってねぇんだろう。
気に入らない。
「そうだ!君に加護をあげよう!
分かりやすく言うとチートってヤツだよ!君達人間は好きなんだろ?」
「いらねぇよ、いいからとっとと失せろ。
可哀想だのあげるだの…俺はテメェに見下される方がよっぽど不愉快だ!」
「うーん、ガンコだなぁ…そうだ!なら、君に一つ教えてあげようか…神様らしく神託ってヤツさ。
君を送る予定の世界なんだけどさ…其処はこれから14年後にとある魔王が産まれるのさ。
とても強く残忍な魔王だよ。彼による死者は推定でも5桁に昇るだろうね。」
まるで踊るように俺の周りをクルクルと回りながらそういう。
「……だから何だよ。」
「君を…ヒーローにしてあげよう!」
にっこりと笑う神は…この時の俺にはとても恐ろしい、得体の知れないナニカに見えた。
そんな、厭らしい笑みだった。
「そこまで!勝者ナナシ!」
手にした剣を放り捨て訓練場を出ていく。
あれから10年。
俺は国どころか大陸一と呼ばれる剣士として成長していた。
神のヤツのサービスとかで、身体だけは今年で16になる。
前世を足したってよくて11になるかってとこの俺だが、別にそんなもん関係ない。
強さに歳は関係ないし、チートやらも必要ない。
別に何かを殺すのに電撃やら炎やらなんて御大層なモンは要らない。手頃な大きさの石ころでだって人なら殴り殺せるし、刃物があれば魔物だって殺せる。
そこら中に死は溢れている、大多数がそれに目を向けないだけで。
「よぉナナシ!さっきの凄かったじゃねぇかよ!」
後ろから強引に肩を組んでくる阿呆。
この俺にそんな事をしてくるヤツなんて一人しか居ない。
「チッ、うざってぇな…離れろよイオリ。」
イオリ、この街サン・テレサで俺と同じく傭兵をしている男。
なんでも、
「相変わらず素っ気ねぇな!んなシワ寄せてっと折角のキレーな面が台無しだぜ?」
「余計なお世話だ!テメェこそこないだデケェ仕事が来たってはしゃいでたろうが…ポシャったか?」
この男とはなんだかんだ腐れ縁だ。
俺がこの世界に転生して世話になった孤児院、コイツはその孤児院の同期ってヤツだ。
「あーそれな…実は……まぁ、立ち話もなんだ!ちっとそこで飯でもどうだ?」
イオリが指差すのはこの街じゃ珍しいちょいと小綺麗な料理屋だった。
…別に嫌じゃねぇが一人なら入らねぇな。
こういう店は高ぇ癖に妙に量が少ねぇのが気に入らねぇ。
味だってんな変わんねぇのに気取った感じが肩凝るっつーか…まぁ構わねぇけどよ…
「……テメェの奢りなら良いぜ。」
「にっひっひ!なら決まりだな…ほら!」
そう言ってイオリは俺に手を差し出す。
「……ガキじゃねぇんだ、こんな距離で逸れるかよ。」
「あー、逸れるとかじゃなくて…ナナシと繋ぎてぇんだ……ダメか?」
「…………ん。」
「!へへ…なら行こうぜ!!」
昔から、俺に近寄るヤツは誰も居なかった。
今は……一人だけ居る。
「魔王討伐ぅ?んでそんな面倒クセェ仕事請けてんだよ…」
「いやぁ…その、支払いが良くってさぁ…」
イオリが言ってたデケェ仕事ってのはこのことらしかった。
というか、魔王が出たなんて聞いた事もねぇ…実際は体のいい魔物狩りの戦力集めって事だろう。
「はぁ…そんで?俺に何の話があんだよ。」
「いや、その……ナナシ!お前も、俺と来ないか?」
イオリは意を決したように俺に迫る。
暑苦しいんだよ…鬱陶しい。
「んで俺が行かなきゃならねぇんだよ。」
「いや、その…ほら!この仕事が上手くいきゃ国から戸籍が貰えんだってよ!」
戸籍って…んなモンの為に面倒クセェ……
確かに、転生者である俺は勿論の事だがコイツにも戸籍がない。
別に無戸籍なんざ孤児院育ちのヤツならザラだ…特に珍しい訳じゃねぇしそれで困る事もそこまで多くない。
精々職探しに困るぐらいだが、俺達みたいな傭兵稼業ならそれも問題ねぇ。
「戸籍って…なんでんなモン要んだよ?テメェも傭兵続けんじゃねぇの?」
「あー、傭兵は暫く辞めねぇんだけど…そう!買いてぇもんが有ってさ!」
買いてぇもん?あー…城内の一部の店は戸籍がねぇと入れねぇんだっけか?
つったって、そういう店は大体が宝石商や奴隷商だのだった筈だが…
「買いてぇもんって…奴隷でも買う気かよ?」
俺のセリフにイオリは飲んでたレモネードを噴き出してむせ込む。
汚ねぇな…てか勿体ねぇだろうが。
「ゲホッ、ち、違ぇよ!!なんで俺が奴隷なんて買うんだよ!?」
「あ゛ー?違うのかよ…てっきりヤベェ仕事用の肉壁用に買うのかと思ったんだが…」
「いや…お前は俺を何だと思ってんだよ…?
てか、その…城内の奴隷商は…全部、愛玩用だし…よ。」
急に歯切れが悪くなったな…?
まぁ、俺も流石にコイツが奴隷で肉壁なんてやるヤツじゃねぇとは思ってる。
つーか、仮にも俺に名前を付けたヤツがそんなんだと俺もやる瀬ねぇしな。
「…てか、愛玩用ってなんだ?」
「…は?いや、それは……お、お前!意味わかって聞いてんだろ!?」
「あ゛ー?わかんねぇから聞いてんだよ、知ってることなんざテメェに聞くかよ。」
「ゔ…え、えと…その……あ、愛玩用ってのはだな…その…
アレだアレ!独り身のせい活を手助けしてくれる奴隷だよ。」
生活…あぁ、料理やらの家事をやらせんのか。
まぁ、家政婦やらを雇うよか安上がり…か?
「ほーん…勉強になったわ。
便利そうっちゃ便利そうだな…俺もいつか雇いてぇもんだ。」
「ゔぇぇえ!?だっ駄目だ!!」
何故か顔を真っ赤にして怒鳴るイオリ。
…更年期障害かぁ?まだ俺と同い年の癖に大変だなぁ…
転生者と現地民とじゃ身体の造りも違うだろうしなぁ…
「わかったわかった、買わねぇ買わねぇ…」
「ほっ、ホントだろうな…?」
「んで嘘つくんだよ?」
「い、いや…ホントなら良いんだ…」
そんなにあからさまに安心しましたってツラされると…やっぱ内緒で雇ってやろうか?
ククク…俺が内緒で愛玩奴隷雇ってたのを知ったコイツがどんなツラするか今から愉しみだぜ。
「まぁ、わかった。良いぜ…俺も手伝ってやるよ。」
「ほっ、ホントか!?」
「だからぁ、なんで嘘つかなきゃなんねぇんだよ。」
「そっ、そうだよな!じゃあ…宜しくなナナシ!」
そう言って差し出された手を少し迷ったがとる。
この時は、とれたんだ。
「よっしゃあ!6匹目ぇ!」
剣を振り回し狼の魔物を狩るイオリ。
だが…詰めが甘ぇ。
「十二の天座一つ欠き、彩る色の一つ識り、象るものの一つ奪う。其は始原の約定に従い、悲しみに能わざる者。
俺の魔術で造られた壁はイオリに飛び掛かって来ていた蟷螂の魔物の首を刎ねる。
「おお!サンキューナナシ!」
「…んな前に出るからだ阿呆。いつもいつも勝手に飛び出しやがって…」
ったく、コイツが前に出るから俺は後方支援に回らなけりゃならなくなる。
お陰で苦手だった魔術もちぃと小マシになったがよ。
「悪ぃって!でも俺が前でナナシが後ろってのが上手く行ってんだし良いだろ?」
「良くねぇよ…上手く行ってるってか無理矢理形にしてるだけだろうが。」
今のだって俺の詠唱が間に合わなかったらどうする気だったんだコイツは…
「あー…でもさ、俺が前に出てりゃ…その……お、俺が手柄立てられっからよ!!
それに、ナナシが怪我しなくて済むし…」
「あーそうですか。
……怪我して欲しくねぇのは俺もだド阿呆。
わかったら勝手に飛び出すなよ?」
「へ…?ナナシ、それってどういう……?」
「チッ、さっさと次行くぞ。」
「あっ!待てよ…もっかい!もっかいさっきの言ってくれよ!なぁ!ナナシ!!」
「あ゛ーうるせぇうるせぇ!さっさと行くって言ってんだろ。」
顔が熱いし変に心臓が鳴る。
……俺も更年期か?
「ナナシ!やったな!!これで俺らもサン・テレサの住民だ…戸籍さえあれば……やったんだ…!!」
コード持ちの魔物の討伐という大仕事を果たした俺達は国から結構な額の褒賞金と戸籍を手に入れた。
結局コイツが突っ込んでった時には肝を冷やしたが…無事で良かった。
……別に、コイツがどうなろうと構やしねぇがパーティー組んでる俺の評価が落ちるのは我慢ならねぇからな。
………本当にそんだけだ。
「で?結局何買うんだよ?褒賞金も入ったし大概なんでも買えんだろ?いい加減教えろよ。」
「ゔ!……えぇと、その……ひ、秘密だ!その…ナナシには特に!」
しどろもどろって感じで赤くなるイオリ。
…意味がわからん。
「そーですか…なら勝手にしな。」
「…へ?あっ、おい待てよ!ナナシ!!」
俺はイオリを置いてとっとと自分の取ってる宿に戻りそのままベットに倒れ込む。
「あ゛ー…何やってんだ俺は……」
イオリとは本当に長い付き合いになる。
この世界に来た時に初めて会ったのがイオリだ。
そこからずっと一緒に居て…色んな馬鹿もやってきた。
二人で孤児院の壁に落書きしたり、二人で山に行って果物を採ったり…まぁ、色々だ。
俺の名前…ナナシってのもイオリが付けたものだ。
名無しのナナシ…安直っつーかなんつーか、まぁアイツらしくてちょっと笑えるからなんだかんだ気に入ってる。
だから…俺に隠し事するアイツに対してなんかモヤモヤすんのは多分、仲のいいダチに置いてかれたような…そんなアレだ。
そう、きっとそうだ……なら、なんで胸が痛ぇんだ…?
わかんねぇよ…
「ナナシ!その……コレ!俺の気持ちっつーか…えーと…
お、俺と付き合ってくれ!!」
暫くして、イオリは俺に小さい箱を持ってそう言ってきた。
…んだコレ?魔導具とかか?
別にこんなもん無くたって冒険ぐれぇ付き合うってのに…
「まぁ良いけどよ…何だコレ?」
ひょいとその箱をイオリから取って開ける。
中には俺の髪と同じ色の宝石が嵌ったリングが入っていた。
「指輪……?なんでこんなもん……」
「お、オッケーなのか…?や、やったあぁぁ!!!
ナナシィ!!」
「なっ!?何してんだお前!や、やめろ!!」
イオリは泣きながら俺を抱きしめて来た。
「良かったっ!断られたらどうしようかって俺…良かったぁ!!」
顔が勝手に赤くなるし心臓がヘンになる…
訳わかんねぇ…けど、もうモヤモヤはしなかった。
心臓は、滅茶苦茶バクバク鳴って痛ぇけど。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ…クソ…」
14年…俺が転生してからそんだけ経った。
忘れかけてたが、あの神とやらが言った魔王は本当に誕生した。
「ナナシ…っ!俺ごと早く…早く倒せぇ!!」
「うるせぇ!黙ってろ!!」
【寄生】のコードを持つ魔王は最悪なことにイオリの首筋に喰い付き一体化していた。
今はまだイオリの意識が残ってる…だから速くぶっ殺して二人で帰れば問題ねぇ、問題ねぇんだ!
「帰んだよ…二人で、一緒に!!』
イオリの振り降ろしに合わせて一瞬で後ろに回り込み首の魔王を斬り捨てる。
同時にイオリの首からも血が吹き出すが、すぐに治療すれば問題ない程度だ。
「よし!これで…」
『Class
クラススキル
魔王を斬り捨てると同時に頭にそんな声が響いた。
「な、なんだ今の…
いや、今はんなもん気にしてる場合じゃねぇ!
イオリ!今助けて…っ!?な、何だよコレ…触れねぇ…!??」
イオリを抱きかかえようと伸ばした俺の手はイオリに触れる少し手前で見えない壁みたいなものにぶつかる。
「どっ、どうなってんだコレ!!おい!どうなって…っ!やめろ…やめろよ!!」
何度手を伸ばしても払い除けられるように触れない。
俺がそうしてる間にもイオリの首からはどんどん血が流れて…
「イオリ…っ!イオリィ!!お前がなんかしてんのか!?いや、魔王が…!クソっ、クソォォォォ!!!」
手持ちの回復薬は戦闘中に使い切っちまったし、回復魔術なんて俺には使えない。
だから、イオリを助ける為には今すぐ治療院に連れて行くしかないのに…!
「どうなってんだよ!コレはぁ!!!いやだ、イヤだ、嫌だぁ!!イオリ!!死ぬなイオリ!俺と一緒に居るって言ったろうが!!俺を…俺をもう一人にしないでくれ!!
一人に…しないでよ……!」
涙が勝手に出てくる。
「おいおい…んなボロボロ泣くなよ……折角の、綺麗な顔が…台無しじゃねぇかよ…」
スッと、イオリの指が俺の涙を拭う。
「イオリ…?今、俺に触って…!お、俺に掴まれイオリ!!
すぐに治療院に行って…そしたら…」
イオリはにへりと笑って呟く。
「もう…間に、合わねぇ…かな……?
悪ぃ、ナナシ…俺、お前を一人に…しねぇって、言ったのに…」
「いい!もう喋んな!!間に合うから!!だから…だから速く俺に……俺に…」
「ナナシ…頭、下げてくれ…」
言われるがままに頭を下げるとポンと手を乗せられる。
「お前は……結構、寂しがりだからよ……俺が、居なくなったら…案外、泣いちまうん…じゃ……ねぇの?」
コイツは本当に阿呆だ。
泣いてるよ…もう。
「ああそうだよ…寂しいよ!!だから…だから!死ぬんじゃねぇ!!もっと、俺と…俺と一緒に…!」
「ごめんなぁ…ナナシ……愛し……」
ぼとり、と力無く手が落ちる。
この日、俺はまた一人になった。
「いやー!ちゃんと魔王を倒すなんて僕も鼻が高いよ!」
魔王を討伐した次の日。
俺はまたあの神と対峙していた。
「……コレはなんだ?」
「んー?コレって?」
「とぼけんじゃねぇ!!あの日から人どころか生き物に触れねぇんだよ!テメェが何かしたんだろ!!テメェが…テメェがイオリを!!」
「勘違いだよ…ソレは君のClass。頑張った君へのご褒美さ。でも…僕が選んだんじゃあないよ?
君さ…誰に対しても不干渉、そんな君だから発現したクラススキルだよ?僕に当たるのはお門違いってやつさ。」
事も無げに微笑みながらそう言ってきた神。
俺の…せい?俺がこんな人間だからイオリが死んだ…?
そんな事…そんな……
「そうだ!僕からもプレゼントしよう!
君はチートやらは要らないそうだから…うん!これがいい!
「本当の……?」
「あぁそうさ!君を捨てた親が君に与えていた本当の名前…名無しなんかじゃない、君だけの名前さ!」
イオリがくれた名前…名無しのナナシ……俺は…
「多賀城恋ちゃん…うん!魔王を討った女傑に相応しいね!!
そうだ!君の…恋ちゃんの新たな誕生祝いに、コードもプレゼントしよう!
うんうん!君の晴れやかな門出を祝して…僕って本当に、優しい神様だろう?」
昔から俺に近寄るヤツは一人も居なかった。
一人だけ居たけど…今はもう、誰も居ない。
俺は一人だ。
設定集
イオリ
コード【鉄拳】の前所有者。
最期に恋に触れたのはその為。
小さい頃から恋に惚れていた。
多賀城恋
これ以降、誰も彼女に寄り付かなくなった。
彼女は祓う者…救う者では無い。
差し伸べられた手も、悪しきものも…等しく祓うのみ。
神/微睡む混沌のアザトホート
全ては掌の上。
矮小なる人間の絶望こそが、微睡む彼女の唯一の娯楽である。
これが見たかったんだろ?
この小説のヒロインは?
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ライザちゃん
-
シュライゼルちゃん
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メアリーちゃん
-
ガルガくん
-
ロミィさん
-
恋ちゃん
-
ナナシちゃん
-
アザトホート