魔法少女リリカルなのは〜Lightning storm   作:シティ・マウンテン

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誤字報告ありがとうございました
長くなっちゃいましたが、ではどうぞ〜


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「それで、俺に話って?」

カフェへ到着した三人は適当に注文

を済ませて席に着くと早速本題に入る。

「はい…実は」

そうしてアインハルトが話し始めたのはやはりというかなんと言うか、通り魔をした理由と彼女の身の上話だった。

「・・・なるほどなぁ。つまり君はそのずっと前の覇王の記憶を継いでいるんだ」

「はい……」

アインハルトの話を聞き終えると二人は真剣な表情で考え込む。

(覇王の記憶と魔力資質を受け継ぐ少女ねぇ……。確かにそれはとんでもない存在だ)

トワは決勝戦で戦った少女を思い出していた。彼女も似たような素質を持っていたらしい。

「覇王イングヴァルトの子孫でしかも記憶も引き継いでるなんてすごいね!でもどうして普通にジムとか通わなかったの?」

「私の確かめたかった強さは表の舞台にはないと思っていました」

 

「まあ、そうだよな」

アインハルトの言葉を聞いてトワは納得する。覇王の子孫であるなら試合での強さではなく、死合での強さを証明したいのだろう。

「それに私には目標があるんです」

「目標?それって何?」

「私は強くなりたいです。誰よりも強くなって覇王流が最強だと証明することです」

アインハルトは力強く宣言すると拳を強く握りしめる。そんな彼女を二人は黙ったまま見つめた。

「…お前の強さへの欲求はよく分かった。だが、お前の実力じゃいくら鍛えてもたかが知れているぞ」

「ッ!?」

アインハルトの覚悟を聞いたトワは冷たく言い放つ。その言葉に彼女は驚き、目を見開く。

「ど、どうしてですか!」

「単純な話さ。今のお前では覇王の技を使いこなすどころか、満足に扱うことすらできないからだ」

「そ、そんなことはありません!」

アインハルトは声を荒げて反論するが、トワはそれを鼻で笑う。

「どうだかな。お前が使っている技が見様見真似にしか見えないんだよ」

「えっ……どういう意味ですか?」

アインハルトはトワの言葉の意味がわからず首を傾げる。

「そのままの意味だよ。えっ〜と、確かめ覇王断空拳だっけ?あれなら俺が真似しただけでお前の数倍の威力は出せるぞ」

「な、何を言って……」

「信じないなら別にいいぜ。ただ、今のままじゃお前は弱いままだってことだ」

トワの言葉にアインハルトは何も言えず俯く。自分が一番よく分かっていたのだ。自分より強い相手がゴロゴロいるこの世界で自分の力など大したことはないことを。

「あのさ、覇王流を極めれば勝てると思ってるみたいだけどさ、それは無理だと思うんぞ」

「・・・どういう意味ですか?」

アインハルトは視線を上げてトワを見る。彼の瞳からは先程までのふざけた感じはなく、真剣な目で武術家としての雰囲気を漂わせていた。

「まず、覇王流が最強だとして、それはあくまで『覇王』だから最強なんだ。そしてお前はその覇王様じゃない」

「私は……覇王じゃない?」

 

「ああ、そうだ。はっきり言うが今のお前は覇王の記憶を受け継いだだけのただの女の子って訳だ」

「うぅ……」

トワの言葉にアインハルトは再び項垂れる。しかし、それでも彼女は諦めなかった。

「だったら、私が覇王に成ります!覇王が最強の存在であるように、私も覇王になってみせます!」

アインハルトは顔を上げるとそう叫んだ。

 

「そうか頑張れ、後お店ではもうちょい静かにな」

「はい……」

トワに注意されてアインハルトは恥ずかしくなり顔を赤らめながら縮こまる。

「ふふ、なんか君って面白い人だね」

「はぁ、何言ってんだお前?」

「うん!決めた!トワ、この子ともう1回試合してあげなよ」

「はぁ?何でそうなる?」

突然の提案にトワは呆れた様子でため息をつく。

「何でって、アインハルトちゃんの覚悟を聞いた以上トワも中途半端な試合は出来ないでしょ?」

「・・・チッ、面倒臭ぇ。」

「それに、トワも気づいてるんでしょ?アインハルトちゃんの力の片鱗をさ」

「……」

トワは無言で目を瞑ると、ユートは今度はアインハルトの方へ向き直る。

「アインハルトちゃんはどう?」「わ、私は……」

アインハルトは少し迷ったが答えは既に決まっていた。

(ここで逃げたら私はまた負け犬のままで終わってしまう。それだけは絶対に嫌!)

「お願いします!私と戦ってください!!」

「…わかったよ」

アインハルトの決意が伝わったのかトワは観念したかのように溜息を吐き、了承する。するとアインハルトの顔がパァっと明るくなった。

「ありがとうございます!えーと……」

「トワでいい」

「はい、トワさんよろしくお願いします!」

「あぁ、こちらこそよろしく。それで日程は?」

「次の日曜日に練習試合の予定があるのでその日で良ければ」

「分かった。それじゃあ俺の方も予定を空けておく」

「あっ、でもその日は少し見る人がいることになるのですがよろしいでしょうか」

 

「まぁそれぐらいなら」

アインハルトの言葉にトワは軽く返事をする。

「それでは、私はこれで失礼します。今日は本当にありがとうございました」

「気にすんなって。んじゃ、日曜日に場所はまた送ってくれ」

「はい、わかりました。楽しみしています」そうしてアインハルトは席を立つと、足早に去っていった。

「さてと、俺達もそろそろ帰るとするか」

トワが立ち上がって帰ろうとすると、それをユートが止める。

「待ってトワ。まだ話したいことがあるんだけど」

「なんだ?」

「ちょっと相談があるんだ。ここじゃアレだし場所を変えよう」

「分かった。じゃあ、とりあえず外に出るか」

トワ達は会計を済ませると店を出て歩き出す。

「それで、俺に相談ってなんなんだよ」

人気のない公園まで来るとトワはベンチに座りながら質問した。

「実は、アインハルトちゃんの事についてなんだけど……」

「あいつの事がどうかしたのか?まさか惚れたとか言わねぇだろうな」

「そんな訳ないじゃん!僕はトワと違ってロリコン趣味はないからね」

「誰がロリコンだコラ!ぶっ飛ばすぞテメェ」

「はいはい、落ち着けって。それでアインハルトちゃんのことなんだけど、このままだと多分彼女は潰れちゃうと思うんだよね」

「…どういう意味だよ?」

「そのままの意味さ。覇王の記憶を受け継いだといっても所詮はまだ子供。力があっても精神がついていかない。それに覇王という存在に依存しすぎてる。だからトワが彼女を鍛えてくれないか?」

「俺が?」

「ああ、トワは武術家だから彼女の気持ちは分かるんじゃないかな?」

ユートはトワを見つめる。彼の目からは強い意志が感じられ、意思は変わらないとため息を吐く。

「俺は覇王流は知らねぇぞ」

「それでも構わない。トワの得意分野でアインハルトちゃんを導いてあげて欲しいんだ」

「はっ、随分とお節介だな」

「そうかな?でも、僕にはアインハルトちゃんが昔のトワに似てるように思えて仕方がないんだ」

「……」

ユートの言葉にトワは黙り込む。そして暫くして口を開いた。

「はぁ……分かったよ。引き受けるよ」

「本当かい!?良かった、ありがとう」

「勘違いすんな。お前の為じゃなくて、あの覇王を名乗る女のためだ」

「それでもいいよ。とにかく、これからはアインハルトちゃんの事を頼んだよ」

「はいはい、分かりましたよ」

トワは面倒くさそうに答えると立ち上がった。

「それじゃあな。俺もそろそろ帰るとするわ」

「うん、またねトワ」

トワは背を向けると公園を後にする。ユートはその姿が見えなくなるまで見送った。

トワは自宅に着くと、リビングでくつろいでいたトワの義母に声をかける。

「ただいま」

「あらお帰りなさいトワ君。今日は遅かったのね」

「ちょっと友達と会っててな。飯は?」

「もうすぐ出来るわよ。先に着替えてきたらどう?」

「そうだな。それじゃあ、風呂入ってくる」

トワは自室に戻ると部屋着に着替えると、洗面所で手を洗う

(さっきのユートの話、一体どういう事なんだ?)

トワは鏡を見ながら考える。確かに覇王としての力は凄まじいものがある。だが、その記憶は彼女を苦しめているようにも見えた。

「チッ、分からねえ」

トワは舌打ちすると頭をガシガシとかく。

(まぁいいか。アイツが何を考えてるかなんて知ったこっちゃねぇ)

トワは深く考えないようにすると、その日は早めに就寝した。

 

★☆

 

「ノーヴェさん、すいません日曜日の練習試合の件で少しお願いしたいことがあるのですが」

トワ達と別れたアインハルトは自宅に帰って来るなり、ノーヴェへ連絡を取った。

「ん?アインハルトじゃないか。日曜の試合なら場所は送っておいたぜ」

「いえ、そういうことではなくてですね。私の試合相手の事でして……」

「対戦相手?」

アインハルトの言葉にノーヴェは首を傾げる。

「えーと、ヴィヴィオ以外に戦いたい奴がいるのか?」

「はい、そうなんですが……その……」

「なんだ歯切れが悪いな。何か問題でもあるのか?」

言い淀むアインハルトを見て、ノーヴェは不思議そうにする。

「実は、私が通り魔をした時に負けた相手なんです」

「なるほどな。そりゃあ言いにくいか」

「ですから、その……ヴィヴィオさんとの試合の後で良ければなんですが…」

アインハルトは申し訳なさそうに言うと、ノーヴェは難しい顔をしながら答えた。

「う~ん、まぁヴィヴィオともしっかり戦うってんならいいんじゃねぇか?」

「本当ですか!?」

「ただし、条件があるぞ」

「条件ですか?それはなんでしょうか」

アインハルトは身構える。しかし、ノーヴェの出した条件は意外なものだった。

「そいつとヴィヴィオも戦うこと」

「……え?」

「アインハルトに勝ったぐらいなんだ、強いんだろ?」

「は、はい!とても強いです」

「おう、ならヴィヴィオの方も練習になるだろうし、相手にはアインハルトから伝えといてくれ」

「あ、ありがとうございます!」

アインハルトが礼を言うと通信が切れる。彼女は急いでメールを打ち始めた。

「これでよし」

送信ボタンを押すと、直ぐに返信が帰ってきた。その内容はOKという短い文だった。

アインハルトは嬉しそうに微笑みながら返事を送る。

「楽しみです」

力強く拳を握り、練習試合に向けて気持ちを昂らせた。

 

★☆

そしてとうとう、練習試合の日を迎えた。この日は朝早くからアインハルトは指定された場所へ向かっていた。

「お待たせしました、アインハルト・ストラトス参りました」

「よっ、待ってたぜ」

「アインハルトさん、来ていただいてありがとうございます」

集合場所へ行くと既に待っていたノーヴェやヴィヴィオ達が挨拶をする。

「いえ、このような場所を用意していただきありがとうございます」

アインハルトは少し緊張しながら答える。

そんな彼女の様子にノーヴェは苦笑いを浮かべた。

「相変わらず堅いなアインハルトは。まぁいいけどさ」

 

「それよりアインハルト」

 

「はい、何でしょう」

「お前が相手したいって奴は?」

ノーヴェの言葉を聞いてアインハルトの顔色が曇った。

「……そ、それがその、まだ来てないみたいなんですよ」

「まぁまだ集合時間まで時間があるしいいだろ」

「はい、分かりました」

アインハルトはそう答えると、ストレッチを始めた。そしてノーヴェは少し離れたところでヴィヴィオに声をかける。

「なあヴィヴィオ」

「なに?ノーヴェ」

「アインハルトが戦いたいって奴とも戦って欲しいんだけどいいか??」

「もちろんだよ。でも、その相手の人って?」

「ありがとな。私もよく知らないんだけど、アインハルトがどうしても戦いたいやつなんだと」

ヴィヴィオは笑顔で答える。その隣ではコロナが興味深そうに話していた。

「アインハルトさんの知り合いの人が相手になるんですね。一体どんな方なんでしょうか?」

「さあな、アインハルトも教えてくれないし、分からないんだよな」

ノーヴェが困っていると、遠くの方からフードを被った人物がこちらに向かって歩いてくる。

(あれは……)

「悪い、遅れちまったか?」

「いえ、時間通りですよ」

フードを深く被ったジャージ姿の男性、だろうアインハルトさんとも仲良さげに話す姿を見て、ノーヴェは驚嘆する。

「え?マジで誰だアイツ?」

「わかんない、でもどこかで見たことあるような?」

「アインハルトさんのお友達でしょうか?」

「ん~、多分違うと思うぞ」

ヴィヴィオ達四人は首を傾げる。そんな中、アインハルトは男性へ話しかけた。

「すいません、わざわざご足労頂いて」

「いいってことよ、俺もお前に見せたいものもあるしな」

「え?」

アインハルトは不思議そうな顔をするが、男性はそれ以上何も言わずノーヴェ達のところへ向かった。

「えーっと、アインハルトの紹介で来ました、トワって言います」

「ああ、よろしく頼むぜ」

二人は握手を交わす。その様子を見て、ヴィヴィオ達は首を傾げた。

「あの~、アインハルトさん、この方は?」

ヴィヴィオの言葉にアインハルトは答えようとする。しかしその前に男性が口を開いた。「ん?こいつらがアインハルトの言ってた奴らか?」「ええ、そうです。ヴィヴィオさんとコロナさん、それにリオさんですよ」

アインハルトの紹介を受けて、三人とも軽く頭を下げる。

「どうも」

「初めまして」

「宜しくお願いします」

「おう、よろしくな」

軽く自己紹介をすると、リオがまじまじと俺の顔を見る。

「……何かついてるか?」

「あ、いや、フード取らないのかなって」

「ん?あ、忘れてた」

俺は慌ててフードを取る。すると、ヴィヴィオ達が驚いたように声を上げた。

「え!?」

「うぇ!?」

「あぁ!」

三人は驚くが、それも無理はないかもしれない。何故なら、そこには見覚えのある顔がというより憧れの選手である『トワ・リンフォード』がいたからだ。

 

★☆

ヴィヴィオ達が仲睦まじく話しているのを遠巻きからアインハルトは見て少し俯く。

 

(やっとトワさんと戦える……。でも、どうしてヴィヴィオさんたちは驚いているんでしょう?)

アインハルトが疑問を抱いていると、ノーヴェがアインハルトの肩に手を置いた。

「お、おいおいアインハルト、まさかトワ選手にストリートファイトを仕掛けたのか?」

「は、はい、手も足も出ませんでしたが…あの、何かあるのですか?」

アインハルトが尋ねると、ノーヴェは少し困惑した表情を浮かべる。

「いや、だってよ……なぁ?」

ノーヴェはチラリとヴィヴィオたちの方を向いた。それに合わせてアインハルトもそちらを見ると、何やらサインを頼まれているようだ。

「サインください」とか、「写真撮っていいですか」など言われていた。

「ヴィヴィオさん達は何をしてるんでしょうか?」

「いや、まぁ気持ちは分かるけど、ヴィヴィオ……」

「ノーヴェさん、私にも詳しく教えてください」

「いやまあ簡単に言えば、あのトワ選手はな、格闘競技において、ミッドで知らないものはいないほどの有名人なんだ」

「えっと?確かインターミドルの準優勝でしたっけ?」

「そう、つまり十代で全世界で二番目に強い人ってのもあるがかなり人気はあるぜ。実力もあるし、試合も面白いからな」

ノーヴェの言葉を聞いてアインハルトは少し落ち込む。そんなアインハルトを見てノーヴェは苦笑いをした。

 

「それに練習試合するにも結構予定入ったはずだぞ、何せ十代の世界二位だからな大人に混ざっても充分な実力は認められているからな」

アインハルトは少しずるいことをしてしまったと思った。しかし、それでも戦いたかったのだ。

「……トワさん、私と戦ってくれますか?」

「ああ、そのためにここに来たんだ」

「ありがとうございます」

アインハルトが礼を言うと、ノーヴェはアインハルトの肩を叩く。

「よし!じゃあそろそろ始めるか」

「はい!」

アインハルトは元気よく返事をする。そしてノーヴェはアインハルトを連れてコートへと向かった。

★☆

(凄い…対面すると改めてプレッシャーに押しつぶされそうに感じる)

トワの攻撃をかわしながらヴィヴィオは考える。トワは確かに強く、自分の攻撃もかすりもしない。だが、それは自分の実力を出せていないということではない。

自分とトワの差は明確にある。トワには圧倒的なまでの強さがある。

「アインハルトと戦った時もあんな感じだったのか?」

「いえ、私と戦った時はもっと強かったですよ。私の拳が全く当たりませんでした」

(そりゃそうだよなぁ~、ヴィヴィオとの実力差も分かってくれてるみたいだし怪我の心配は無さそうだな)

トワはヴィヴィオの攻撃を軽々とかわす。その動きはまるで、練習試合というより指導に近い。

 

「ヴィヴィオ、頑張れー!」

「トワさんも頑張ってくださ~い」

ヴィヴィオを応援する声援を聞き、ヴィヴィオは気合を入れる。

「トワさん!」

「おう、どうした?」

「全力でいきますよ!!」

「あぁ来い!」

ヴィヴィオは一瞬で間合いを詰めると、強烈な一撃を叩き込もうとする。

「はあぁぁぁぁ!!!」

「ッ!?」

トワはその一撃に驚きながらも余裕で防御に成功する。

「今のを防ぐなんて……やっぱり強いですね」

「いや、ヴィヴィオこそ中々のパンチだっぜ……」

「えへへ、ありがとうございます。でもまだまだこれからです!」

ヴィヴィオは笑顔で言うと再び構える。

(本当に楽しそうに試合するな…さっきの威力は中々のだったし、これは将来が楽しみだな)

 

「けど、そろそろ終わらさせてもらうわ」

トワはそう言うと、一気に踏み込み攻撃を仕掛ける。先程までの軽い雰囲気とは一変して鋭い目つきになる。

「オラァ!!」

「ぐぅ!?」

重い打撃音と共にヴィヴィオは吹き飛ばされた。

 




ではでは、次回の更新をお楽しみに〜
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