劇場版 僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order 作:小野屋陽一
第1話
side三人称
白熱の期末試験が終わり、林間合宿を間近に控えた夏休みのある日―
「―ん、立希君!」
「―んぐ……ふわぁ……あー……」
「んふふ♪ようやく夢から覚めたようだね。ほら、見えて来たよ。」
雄英高校の夏制服姿で、立希は窓ガラスから景色を覗く。
「…あー……着いたんだ。ありがと、ダ・ヴィンチちゃん。起こしてくれて」
今、立希とダ・ヴィンチが乗っているのは小型ジェット機。そしてその飛行機は立希が見ている島―巨大な人工島へと向かっている。
「あそこが、一万人以上の科学者たちが住む、学術人工移動都市―通称『I・アイランド』さ!」
side立希
時は数日前まで巻き戻る。夏休みに入り、自分と姉はカルデアに帰還し、ゆっくりと休みを満喫していた時だった…
「―ちょっと出掛ける。」
「ん。どこに?」
夏休みの宿題が一区切りついた時、姉がそう言って来た。
「……焦凍君に呼ばれた」
「へぇ……まぁ行ってらっしゃい。デート楽しんで「ちゃうわ!!」タコス!!」
軽く姉を茶化したら思いっきりボディブローを喰らった…そのまま姉は出掛け、自分は腹の痛みを我慢してると、ダ・ヴィンチちゃんがやって来た
「ダ・ヴィンチちゃん参上!さあ、万物の成り立ちを話し合―おや?何があったんだい?立希君」
「ちょっと姉を茶化したら殴られた…まぁいつもの事だよ…アダダ…」
「おやおや、立香ちゃんがお出掛け…二人に聞かせたかったけどまぁ後ででもいいか!」
姉に殴られた所をさすりながら立ち上がる。
「それで、何か自分に用?」
「そう!正にその通りだよ!立希君は私が経営してる会社の事は知ってるよね?」
「勿論。CDF でしょ?」
『CDF (カルデア・ダヴィンチ・ファクトリー)』レオナルド・ダ・ヴィンチとロマニ・アーキマンを含め総勢100程度の会社。主に戦闘衣装やサポートアイテムの製作・発注が基本だが、世界中度肝を抜く技術力があってかなりの大企業。ここカルデアを本部とし、世界各国に支部を設置している…余談だけどセキュリティはBBちゃんが遊び半分で作り上げ、尋常ではない強固さをもっている…
「それがどうしたの?」
「ふっふっふ…実はそのCDFの社長―つまり私宛に『I・アイランド』の招待ペアチケットが届いたのさ!!」
そして今に至る。
「―でだ!この『I・アイランド」は世界中の才能を集め“個性”の研究、ヒーローアイテムの発明等を行うための人工島!因みに島は移動可能!研究成果や科学者たちを敵から守るため。警備システムはタルタロスに匹敵する程の能力を兼ね備え―「ストップストップ。ダ・ヴィンチちゃん。頭が痛くなる…」おや、残念。」
状弁に語るダ・ヴィンチちゃんを何とか止めると
『まもなく、当機はI・アイランドへの着陸態勢へと入ります』
機内アナウンスが流れた。
「おっと、もう時間が来たようだ。立希君、ヒーローコスチュームの準備が出来てるかい?」
「当然だよ。楽しみだ。」
いよいよ到着。自分は期待に胸を膨らませる。
「ところで、立香ちゃんはよかったのかい?」
「あー、大丈夫。姉は別の手段で来るから。」
そう言いながら、自分は準備をする。
side立香
「(…どうして…こうなったの?)」
私はチラリと横を見る。そこにいるのは―
「…………」
同じクラスメイトで、クラストップのイケメン……焦凍君がいる。
「…?立香、どうした?口元を抑えて…具合、悪りぃのか?」
「だ、大丈夫だよ!!(本当に…どうしてこうなったの!?)」
小型ジェット機に乗ってから、私は何度も同じセリフを心の中で叫んだ…
時は数日前まで遡る。夏休みに入って、カルデアに帰還し、のんびりと過ごしていた時だった。急に焦凍君から電話が来た。焦凍君と電話するのは職場体験以来…あの出来事が一瞬甦って顔が熱くなる。
『もしもし、立香』
「ひゃ―はい!な、何かな?焦凍君!?」
『?……今、大丈夫か?』
「う、うん。大丈夫だよ。実家でのんびりしてて…何か私に用?」
「ああ…大丈夫なら、今会いたいんだが…」
「っ!?(お、落ち着け私…オーケー…) う、うんいいよ!何処に行けばいいかな?」
「そうだな―」
そうして焦凍君が指定して来た場所に向かう。急いで向かうと既に彼がいた。
「お待たせ!待ったかな?」
「いや。俺も丁度来たばっかりだ。すまねぇな、夏休みで実家に戻ってたのに…」
「ううん。大丈夫だよ…えーと、で、私に何か用?」
「ああ…実は……『I・アイランド』の招待ペアチケットを親父からもらってな―」
…という事で今に至る…いや、うん…即OKした過去の私よ、もう少し考えて行動しようよ…
「い、今更だけど、私も一緒でよかったの?」
「ああ…本当なら親父が行く予定だったが、こういうのには興味無ぇからな。俺はその代理だ……それで職場体験の時、迷惑かけちまったから…その謝罪もある…嫌だったか?」
少し困った顔になる焦凍君に私は首を振って否定。フォローする。
「ううん!全然!え、えと…職場体験の事は気にしてないというか忘れて欲しいというか…兎に角!誘ってくれてありがとう」
「…それなら良かった……」
ふぅ、と私は一息つく。大丈夫だ。別に私と焦凍君だけじゃない。後で合流するけど立希もダ・ヴィンチちゃんと一緒にI・アイランドに行くって言ってたし…けど…
「(こういうのも…いいかも…) フフッ楽しみだね。焦凍君」
「ああ」
『まもなく、当機はI・アイランドへの着陸態勢へと入ります』
「そろそろか…立香はヒーローコスチューム持ってきてるか?」
「勿論だよ。」
いよいよ到着。私は期待に胸を膨らませる…
side三人称
I・アイランドの入場ゲートに、とある一団が現れる。その一団を率いている男の顔には大きな傷があった。その男は会場を見渡す。冷めた視線にはこれから楽しむという気配な微塵もなかった。男はどこかに連絡する。
「会場内に問題無く入れた…で、ブツはいつ届く?」
『15時に66ゲートで受け取ってくれ』
「了解した。」
そんな簡単な受け答えをし、通話を終わらせる。男が視線を向けたのは、I・アイランドの中央から島を守るようにそびえ立つ塔―『セントラルタワー』を見て不気味に笑っていた……